〈第2章〉黒色の中でも、希望の光を…
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【原作開始前・18年前】
ー警視庁にてー
水蓮として警視庁を訪れて居た雪菜はこの日、捜査一課強行犯係に来ていた。
「ん? 水蓮さんじゃないか! こんな所で、どうしたんだ?」
『ん?(クルリ) あぁ、目暮巡査部長に松夲警部ですか。 御久し振りですね?』
「あぁ、久し振りだな。 所で……一課に何か用が有るのか?」
『まぁ、そんな所です。
えーっと、佐藤警部を探して居るんですが……彼が今、何処に居るか知りませんか?』
捜査一課のフロアを見渡しながら、廻りをキョロキョロ
「いや、佐藤警部の居場所は分かり兼ねるが…………」
『ん? 何か心当たりでも…?』
「あ、あぁ…。 あっ、そういやぁ……水蓮さんは、先日発生した強盗事件の事を知ってるか?」
『えぇ、知ってますよ? 報告書の記載や部下からの報告で……。』
「…………多分だが、その事件絡みで外に出て居るのだと思うぞ? 佐藤警部は。」
『そう……ですか……。
分かりました。 なら、私も少々外に出て来ますので、此れで失礼します。 では……。
(ペコッ)』
「「い、いや(え)っ! 此方こそ、とんでも無い(有りません)。 (お)気をつけて(け)!!」」
バッ!!
目暮巡査部長と松夲警部は、二人して雪菜に御辞儀を返しつつ、見送ったのだった。
雪菜が退室後、捜査一課のフロアでは──。
「いやぁ~、其れにしても………松夲警部、驚きましたねぇ。」
「あ、あぁ………。」
「私なんて、水蓮さんについての情報は、警察学校時代に噂でしか聞いた事が有りませんでしたよ……。」
「目暮……儂でさえ、直に御会いする事は今迄、殆んど無かったぞ?」
「えっ?! そう何ですか?
じゃあ、何で会った事が無かったのに、顔を判別出来たんです?」
「あぁ、そう言えば……目暮は、配属されてから1年以上立つが……聞く機会が無かったか? 水蓮さんの容姿等についての情報開示は、ある程度の期間……配属から半年~1年程度の経過後でないと、上司や教育係辺りから情報開示の許可が降りない仕組みになっとるんだ。 其れに、この仕組みは……日本の警察組織に於いて、都道府県関係無く適用とされとる。」
「はいっ?! そんなに凄い方何ですかっ?! 彼女はっ!!」
「儂も初めて聞いた時は、目暮同様に驚いた。 其れに、水蓮さんの本名を聞いた事は有るか?」
「水蓮さんの本名……ですか?
いえ、全く聞いた事が有りませんが……。 松夲警部、〝水蓮〟……この名に何か曰くでも有るんですか?」
「儂も詳しい事は知らんが……、〝水蓮〟と言う名は、正確には“呼び名”だそうで……彼女本来の本名では無いそうだ。」
「“呼び名”……ですか?」
「あぁ……。 もっと詳しく聞くか?」
「い、いえ……。 これ以上の詳しい話を聞くのって……な、何か開けちゃいけない〝パンドラの箱〟を、無理矢理抉じ開ける様な感じがするのは……私だけでしょうか?」
「…………儂も、ヒシヒシとそんな感じがしとる。」
「この話は、此れ位にしと来ますか……?」
「そ、そうだな……。」
そんな話をされて居るとは、全く知らない雪菜だった。
* * * *
一方、捜査一課からの情報提供……もとい、松夲警部達の話により外へと向かった雪菜は──?
午後から降り出した雨の中を、傘を差しつつ……仕事用に使用している携帯端末で佐藤警部に連絡を取りながら、走って居た。
タタタッ……! バシャ、バシャ……!
ピポパ、 トゥルルル……トゥルルル……。
『ハァ……、ハァ……。』
息を切らしながら、電話を絶えず……相手に掛け続ける。
《…………ツ-、ッ-。》
ピッ…!
『……っ! 何でこんな時ばかり、あの人は中々電話に出ないのっ?! 全く、もうっ……!! イラッ……。(怒)』
中々、電話に出ない彼の人に怒りが込み上げ……八つ当たり気味な雪菜は、悪態を付きながらも佐藤警部……彼の姿を探すのだった。
そして───漸く、見つけた雪菜は……。
佐藤警部と犯人と思わしき人物が、横断歩道で歩行者用の信号が、赤にも関わらず……揉めて居る様子を目撃したのだった。
『……っ?!! (あの二人は、何をして居るの……?! 早くしないと、車がっ……!!
チッ! 世話の妬ける人達だわっ!)』
ドッ……! ガシッ、グイッ………!!
犯人と思われる人物を佐藤警部が、押すと同時に……彼を雪菜が横断歩道の歩道側へ引っ張り……。
ドンッ……!!
もう一人の犯人と思われる人物を、反対車線の方へと更に……押し出した。
反対車線の車が来て居ないのを、一瞬の内に確認した上で……だ。
キキィ---ッ!! ドンッ!!
耳をつんざく様な車のブレーキ音の後、何かが身体にぶつかる音。
『……っ!!(ぐぅっ……!)』
「………………つっ!?」
バタンッ! タタッ……!
「だっ、大丈夫ですかっ?!」
『え、えぇ……。 私よりもう一人を……。』
「わっ、分かりましたっ!」
「ぐぅ……。 すっ、水蓮さん……?」
『っ! 佐藤警部っ!!』
「うぅっ……。 水蓮さん……はっ、犯人は……?」
『………ご免なさい。 どうやら……怖くなって、逃げてしまった見たいで……。』
「そう……ですか…………。」
『其れより、貴方の方が怪我が酷い……。 手当てをしますから、横になってて下さいね?』
「わっ、分かり……ました……。」
「おっ、おい……?! 貴女の方も、頭から血が出てるじゃないですかっ!?」
『いいえ、この位の頭部からの出血ならば……問題有りませんから。』
「そ、そうか……?」
『えぇ。 ですが……今現在、手当てをして居るもう一人の方が少々、厄介です……。
救急車と警察へは、連絡して下さいましたか?』
「あ、あぁ……。 貴女方を引いた事に気付いて、慌てて駆け寄る前に車の中で電話しました……。」
『有り難う御座います………。 横になって居る仲間に代わり、御礼申し上げます。
此方の方は………足の骨折と、頭部からの出血……其れに加えて、身体への衝撃です。
車との衝撃を私が、間に入る事で和らげましたが………其れでも、多少の衝撃は有った筈ですから。』
ピ-ポ-、ピ-ポ-。 ファンファン、ファンファン。
暫くして、救急車と警察が到着し………。
応急手当てを施した……とは言え、危険に変わりは無い佐藤警部と雪菜は、救急車に乗車し………警察病院へと搬送されたのだった────。
* * * *
ー警察病院にてー
「お父さん………っ!!」
「貴方っ!!!」
『佐藤警部の御家族の方ですか?』
「はっ、はい……。 そうです。
あの、主人は………?」
『………………。 佐藤警部は、被疑者を護送中に交通事故に遭い………今は、医師による処置中です。
医師に寄れば、命に別状は無いそうです。 ただ……足に骨折をして居る為、リハビリは必要見たいですが……。』
「あ、あの………貴女が、主人を助けて下さった方ですか?」
『まぁ……現場に居合わせましたし、応急手当ても私が……。』
「あ、有り難う御座いますっ! 有り難う御座いますっ!
でも……えっと、一般人の方……なのでは無いのですか?」
『いえ、私も……歴とした警察官ですから。
申し遅れました……私は、安倍 水蓮と申します。』
スッ……。
雪菜は、警察官の誰もが……余程の事が無い限り、所持している警察手帳を掲げつつ……自己紹介した。
「……っ!! 主人と同じ警察の方でしたか………。 本当に……主人を助けて下さり、有り難う御座いました。(ペコッ)」
「お姉ちゃん、お父さんを助けてくれてありがとうっ!」
『うぅん、良いんだよ。 人を助けるのは、当たり前の事だから。 其れより……君のお父さんに、死ぬ様な大怪我が無くてホッとしたよ。(ニコッ)』
目線を合わせる為に、屈みながら……。
「お姉ちゃんも頭、ケガしてるのに……お父さんを一番に考えてくれたの……?」
『クスッ。 うん、そうだよ?』
「(パァ………!)本当に、ありがとうっ! お姉ちゃんっ!!」
『フフッ……。』
「では、主人の様子を見て来ます。 本当に、有り難う御座いました。
さっ、行くわよ……美和子。」
「うんっ! お姉ちゃん、バイバーイ!」
『うん、またね。』
フリフリ。 手を振って別れた
* * * *
ピポパ、トゥルルル……トゥルルル……ガチャ……。
《はい、もしもし……。》
『あぁ、総監? 安倍だけど……。』
《………っ!!! すっ、水蓮さんっ!?
どうしたのかと、心配してましたよ!! 頭部を怪我したと……報告が有りましたが、大丈夫なんですか?》
『えぇ……。私の負った怪我は、其れ程深く無い上に……大した事は有りませんでしたから。』
《御無事なら、良いのですが。
其れより、佐藤警部の方は……どうなのですか?》
『あぁ……。 彼なら……つい先程、御家族の方が来られた為、私の方で説明して置いたよ。
怪我は負ったものの、命に別状は無いって。』
《そう……ですか。 良かった……。》
『フフッ、私も少し疲れたので……警視庁に戻って仮眠でも取りますよ。』
《そうして下さい。 我々にとっても、貴女の存在は……大切ですから。》
『………十分過ぎる程、分かってる。 じゃあ、又……連絡する。』
《はい、御武運を。》
ピッ……!
『フゥ……。 さて……と、警視庁に戻って仮眠だなぁ。』
警視総監へ今回発生した交通事故の件について説明後、漸く一息を付く事が出来た雪菜だった。
* * * *
ー警視庁にてー
水蓮として警視庁を訪れて居た雪菜はこの日、捜査一課強行犯係に来ていた。
「ん? 水蓮さんじゃないか! こんな所で、どうしたんだ?」
『ん?(クルリ) あぁ、目暮巡査部長に松夲警部ですか。 御久し振りですね?』
「あぁ、久し振りだな。 所で……一課に何か用が有るのか?」
『まぁ、そんな所です。
えーっと、佐藤警部を探して居るんですが……彼が今、何処に居るか知りませんか?』
捜査一課のフロアを見渡しながら、廻りをキョロキョロ
「いや、佐藤警部の居場所は分かり兼ねるが…………」
『ん? 何か心当たりでも…?』
「あ、あぁ…。 あっ、そういやぁ……水蓮さんは、先日発生した強盗事件の事を知ってるか?」
『えぇ、知ってますよ? 報告書の記載や部下からの報告で……。』
「…………多分だが、その事件絡みで外に出て居るのだと思うぞ? 佐藤警部は。」
『そう……ですか……。
分かりました。 なら、私も少々外に出て来ますので、此れで失礼します。 では……。
(ペコッ)』
「「い、いや(え)っ! 此方こそ、とんでも無い(有りません)。 (お)気をつけて(け)!!」」
バッ!!
目暮巡査部長と松夲警部は、二人して雪菜に御辞儀を返しつつ、見送ったのだった。
雪菜が退室後、捜査一課のフロアでは──。
「いやぁ~、其れにしても………松夲警部、驚きましたねぇ。」
「あ、あぁ………。」
「私なんて、水蓮さんについての情報は、警察学校時代に噂でしか聞いた事が有りませんでしたよ……。」
「目暮……儂でさえ、直に御会いする事は今迄、殆んど無かったぞ?」
「えっ?! そう何ですか?
じゃあ、何で会った事が無かったのに、顔を判別出来たんです?」
「あぁ、そう言えば……目暮は、配属されてから1年以上立つが……聞く機会が無かったか? 水蓮さんの容姿等についての情報開示は、ある程度の期間……配属から半年~1年程度の経過後でないと、上司や教育係辺りから情報開示の許可が降りない仕組みになっとるんだ。 其れに、この仕組みは……日本の警察組織に於いて、都道府県関係無く適用とされとる。」
「はいっ?! そんなに凄い方何ですかっ?! 彼女はっ!!」
「儂も初めて聞いた時は、目暮同様に驚いた。 其れに、水蓮さんの本名を聞いた事は有るか?」
「水蓮さんの本名……ですか?
いえ、全く聞いた事が有りませんが……。 松夲警部、〝水蓮〟……この名に何か曰くでも有るんですか?」
「儂も詳しい事は知らんが……、〝水蓮〟と言う名は、正確には“呼び名”だそうで……彼女本来の本名では無いそうだ。」
「“呼び名”……ですか?」
「あぁ……。 もっと詳しく聞くか?」
「い、いえ……。 これ以上の詳しい話を聞くのって……な、何か開けちゃいけない〝パンドラの箱〟を、無理矢理抉じ開ける様な感じがするのは……私だけでしょうか?」
「…………儂も、ヒシヒシとそんな感じがしとる。」
「この話は、此れ位にしと来ますか……?」
「そ、そうだな……。」
そんな話をされて居るとは、全く知らない雪菜だった。
* * * *
一方、捜査一課からの情報提供……もとい、松夲警部達の話により外へと向かった雪菜は──?
午後から降り出した雨の中を、傘を差しつつ……仕事用に使用している携帯端末で佐藤警部に連絡を取りながら、走って居た。
タタタッ……! バシャ、バシャ……!
ピポパ、 トゥルルル……トゥルルル……。
『ハァ……、ハァ……。』
息を切らしながら、電話を絶えず……相手に掛け続ける。
《…………ツ-、ッ-。》
ピッ…!
『……っ! 何でこんな時ばかり、あの人は中々電話に出ないのっ?! 全く、もうっ……!! イラッ……。(怒)』
中々、電話に出ない彼の人に怒りが込み上げ……八つ当たり気味な雪菜は、悪態を付きながらも佐藤警部……彼の姿を探すのだった。
そして───漸く、見つけた雪菜は……。
佐藤警部と犯人と思わしき人物が、横断歩道で歩行者用の信号が、赤にも関わらず……揉めて居る様子を目撃したのだった。
『……っ?!! (あの二人は、何をして居るの……?! 早くしないと、車がっ……!!
チッ! 世話の妬ける人達だわっ!)』
ドッ……! ガシッ、グイッ………!!
犯人と思われる人物を佐藤警部が、押すと同時に……彼を雪菜が横断歩道の歩道側へ引っ張り……。
ドンッ……!!
もう一人の犯人と思われる人物を、反対車線の方へと更に……押し出した。
反対車線の車が来て居ないのを、一瞬の内に確認した上で……だ。
キキィ---ッ!! ドンッ!!
耳をつんざく様な車のブレーキ音の後、何かが身体にぶつかる音。
『……っ!!(ぐぅっ……!)』
「………………つっ!?」
バタンッ! タタッ……!
「だっ、大丈夫ですかっ?!」
『え、えぇ……。 私よりもう一人を……。』
「わっ、分かりましたっ!」
「ぐぅ……。 すっ、水蓮さん……?」
『っ! 佐藤警部っ!!』
「うぅっ……。 水蓮さん……はっ、犯人は……?」
『………ご免なさい。 どうやら……怖くなって、逃げてしまった見たいで……。』
「そう……ですか…………。」
『其れより、貴方の方が怪我が酷い……。 手当てをしますから、横になってて下さいね?』
「わっ、分かり……ました……。」
「おっ、おい……?! 貴女の方も、頭から血が出てるじゃないですかっ!?」
『いいえ、この位の頭部からの出血ならば……問題有りませんから。』
「そ、そうか……?」
『えぇ。 ですが……今現在、手当てをして居るもう一人の方が少々、厄介です……。
救急車と警察へは、連絡して下さいましたか?』
「あ、あぁ……。 貴女方を引いた事に気付いて、慌てて駆け寄る前に車の中で電話しました……。」
『有り難う御座います………。 横になって居る仲間に代わり、御礼申し上げます。
此方の方は………足の骨折と、頭部からの出血……其れに加えて、身体への衝撃です。
車との衝撃を私が、間に入る事で和らげましたが………其れでも、多少の衝撃は有った筈ですから。』
ピ-ポ-、ピ-ポ-。 ファンファン、ファンファン。
暫くして、救急車と警察が到着し………。
応急手当てを施した……とは言え、危険に変わりは無い佐藤警部と雪菜は、救急車に乗車し………警察病院へと搬送されたのだった────。
* * * *
ー警察病院にてー
「お父さん………っ!!」
「貴方っ!!!」
『佐藤警部の御家族の方ですか?』
「はっ、はい……。 そうです。
あの、主人は………?」
『………………。 佐藤警部は、被疑者を護送中に交通事故に遭い………今は、医師による処置中です。
医師に寄れば、命に別状は無いそうです。 ただ……足に骨折をして居る為、リハビリは必要見たいですが……。』
「あ、あの………貴女が、主人を助けて下さった方ですか?」
『まぁ……現場に居合わせましたし、応急手当ても私が……。』
「あ、有り難う御座いますっ! 有り難う御座いますっ!
でも……えっと、一般人の方……なのでは無いのですか?」
『いえ、私も……歴とした警察官ですから。
申し遅れました……私は、安倍 水蓮と申します。』
スッ……。
雪菜は、警察官の誰もが……余程の事が無い限り、所持している警察手帳を掲げつつ……自己紹介した。
「……っ!! 主人と同じ警察の方でしたか………。 本当に……主人を助けて下さり、有り難う御座いました。(ペコッ)」
「お姉ちゃん、お父さんを助けてくれてありがとうっ!」
『うぅん、良いんだよ。 人を助けるのは、当たり前の事だから。 其れより……君のお父さんに、死ぬ様な大怪我が無くてホッとしたよ。(ニコッ)』
目線を合わせる為に、屈みながら……。
「お姉ちゃんも頭、ケガしてるのに……お父さんを一番に考えてくれたの……?」
『クスッ。 うん、そうだよ?』
「(パァ………!)本当に、ありがとうっ! お姉ちゃんっ!!」
『フフッ……。』
「では、主人の様子を見て来ます。 本当に、有り難う御座いました。
さっ、行くわよ……美和子。」
「うんっ! お姉ちゃん、バイバーイ!」
『うん、またね。』
フリフリ。 手を振って別れた
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ピポパ、トゥルルル……トゥルルル……ガチャ……。
《はい、もしもし……。》
『あぁ、総監? 安倍だけど……。』
《………っ!!! すっ、水蓮さんっ!?
どうしたのかと、心配してましたよ!! 頭部を怪我したと……報告が有りましたが、大丈夫なんですか?》
『えぇ……。私の負った怪我は、其れ程深く無い上に……大した事は有りませんでしたから。』
《御無事なら、良いのですが。
其れより、佐藤警部の方は……どうなのですか?》
『あぁ……。 彼なら……つい先程、御家族の方が来られた為、私の方で説明して置いたよ。
怪我は負ったものの、命に別状は無いって。』
《そう……ですか。 良かった……。》
『フフッ、私も少し疲れたので……警視庁に戻って仮眠でも取りますよ。』
《そうして下さい。 我々にとっても、貴女の存在は……大切ですから。》
『………十分過ぎる程、分かってる。 じゃあ、又……連絡する。』
《はい、御武運を。》
ピッ……!
『フゥ……。 さて……と、警視庁に戻って仮眠だなぁ。』
警視総監へ今回発生した交通事故の件について説明後、漸く一息を付く事が出来た雪菜だった。
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