塔矢夢短編
◇やらずの天泣◇
ポツっと、冷たいものが鼻尖を突いた。
それは次第に勢いを増してあっという間に地面を濡らしていき、私が帰路に就こうとするのを阻んだ。
それでも空は雲が1つも無く、抜けるような青が広がっている。
そんな珍しい光景を見ながら私は、幼馴染の家の玄関前で立ち尽くし、「困ったなあ。」と声を零す。
すると、後ろから「困ったね。」とアキラのやけに弾んだ声が返ってきたので振り返った。
幼い頃から見慣れている、邪気の無い笑みを浮かべるアキラを私は訝しげに見つめがら疑問をぶつけた。
「なんで嬉しそうなのよ。」
「都合の良い雨だから、つい。」
笑みを崩さずにアキラは答える。
聞いたものの、私の頭の中はますます疑問が浮かぶばかりだった。
帰ろうとする私に、もう少し一緒に居たいなと密かに思っていた矢先に都合よく雨が降って、アキラが喜んでいたとは知らずに。
ポツっと、冷たいものが鼻尖を突いた。
それは次第に勢いを増してあっという間に地面を濡らしていき、私が帰路に就こうとするのを阻んだ。
それでも空は雲が1つも無く、抜けるような青が広がっている。
そんな珍しい光景を見ながら私は、幼馴染の家の玄関前で立ち尽くし、「困ったなあ。」と声を零す。
すると、後ろから「困ったね。」とアキラのやけに弾んだ声が返ってきたので振り返った。
幼い頃から見慣れている、邪気の無い笑みを浮かべるアキラを私は訝しげに見つめがら疑問をぶつけた。
「なんで嬉しそうなのよ。」
「都合の良い雨だから、つい。」
笑みを崩さずにアキラは答える。
聞いたものの、私の頭の中はますます疑問が浮かぶばかりだった。
帰ろうとする私に、もう少し一緒に居たいなと密かに思っていた矢先に都合よく雨が降って、アキラが喜んでいたとは知らずに。
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