スタマイ夢短編

◇グルメカード◇

「やる」

アイツが誕生日だから、全国の色んな飲食店で使えるグルメカードを差し出した。

「……グルメカードですか!?ありがとうございます!」

目を輝かせやがって。犬みてえに尻尾も高速で動かしている幻覚が見えそうだ。ホントこいつ食い意地張ってんな。
しかも、カードの両端持って、まるで宝石でも受け取るみたいに取り扱いやがる。
このまま渡せば、カードの権利はアイツのモノだ。
誰とどこに行って使おうが関係ねえ。

「……あれ、今大路さん?」

アイツがカードを自分の方に引っ張ろうとしたのを、俺が指に力を込めた。当然グルメカードは動かない。

「このカードくださるんですよね?」

この呑気なツラ見てたら、なぜかタダで渡したく無くなった。この気を抜いている隙にカードを、アイツの指から引き離す。アイツがカードを追って手を伸ばしながら、あっ!と、声を上げた。

「タダでやるのは面白くねェ」
「え?」
「このカードを使いたい時は俺に言え。」
「……【やる】の意味とは?」
「つべこべ言うなら他のヤツにやる」
「わー!すみません、分かりました!」

そんなにこのグルメカードが惜しいか。
俺が居なきゃこのカードは使えねえ。その希望通りにはなったはず。
だが、カードに負けた気がして、釈然としねえ。
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