ヒロアカ短編集

◇誕生日◇

『おい、1週間後空けとけ』

朝、仕事に行く準備をしていたら爆豪くんから急に電話がきてコレだ。

「え、その日仕事で1日パンパンだよ」

電話越しの『あ゙ぁ!?』と彼の割れた声が耳に響く。
相変わらずヤンキーだなぁ。つい、口が緩んだ。

「なんか、都合悪かった?」

爆豪くんがご飯以外で予定空けとけっていうのも、そもそも仕事以外での連絡も滅多に無いからなんだかソワソワする。
爆豪くんがため息をついて言った。

『お前、その日誕生日だろーが。』

やけに甘い言葉に聞こえた。

その瞬間、スマホがスルリと手から抜けてカーペットに落ちた。慌てて持ち直す。

信じられない。あの爆豪くんが【他人の『誕生日』】を気にするなんて。
爆豪くんと私は、ただ同じA組だっただけだよね。
女子の中ではよく話していた方なのかもしれないけど。今も現場よく被るから高校時代からの延長線みたいなモノなのかもしれない。

とにかく、気づいてしまった時にはもう手遅れ。
心臓は太鼓のバチで素早く叩かれたかのように鳴っている。

『おい、黙んな』
「ごめん。爆豪くん、人の誕生日気にするヤツだったっけ。って思っちゃって。」

今度は爆豪くんが黙りこくった。

『……飯食いにいくだけだ。バーカ』
「ふふっ、ありがとう。せっかくなら上鳴くんとか誘う?」
『人数増えっと店探すのがめんどくせえ』
「ん、了解」

わざわざ1週間前からの連絡。
私自身よりも、爆豪くんの方がなんだか大切に思ってくれている気がして、謎の期待が風船のように膨らんでいく。
期待しすぎて、破裂しなければいいんだけど。

電話が切れても、緩む唇を戻せなかった。
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