和谷夢短編集
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
◇それが必要なのは自分の方◇
毎年恒例の初詣で、忽然と姿を消したから探しに行くと、お守り売り場の列に居るのを見つけた。
「何してんだよ。みんな、行ったぞ。」
「ごめんごめん。どうしてもこれが欲しくて。」
笑いながら謝り、俺に見せたそれは『縁結び』と書かれたお守り。そういえば去年も彼氏が欲しいと言って、買ってたっけ。結局、お守りの効果は成さなかったみたいだけど。
俺はそれを奪い取って、手首を掴んで列の外れへ引っ張る。
「ちょっと和谷!」
背中で怒声を受け取りながらも、歩みを止めずにお守りを元の場所に戻した。
捕獲したことを、冴木さんに連絡して合流場所に向かう道すがら沈黙が続く。無言で睨まれていた。その気まずさを紛らわすかのように、俺から喋り出した。
「お前にあれは必要ねーよ。」
「女盛りと言われる20代の今買わなくて、いつ買うのよ。」
「んなもんに頼らなくたってお前には……。」
「お前には?」
「頼らなくたって…。」
自分からこの会話の流れを作った癖に、言葉詰まる。
お前のこと好きな奴がここにいるんだけど。
なんて、言える訳がないから。
毎年恒例の初詣で、忽然と姿を消したから探しに行くと、お守り売り場の列に居るのを見つけた。
「何してんだよ。みんな、行ったぞ。」
「ごめんごめん。どうしてもこれが欲しくて。」
笑いながら謝り、俺に見せたそれは『縁結び』と書かれたお守り。そういえば去年も彼氏が欲しいと言って、買ってたっけ。結局、お守りの効果は成さなかったみたいだけど。
俺はそれを奪い取って、手首を掴んで列の外れへ引っ張る。
「ちょっと和谷!」
背中で怒声を受け取りながらも、歩みを止めずにお守りを元の場所に戻した。
捕獲したことを、冴木さんに連絡して合流場所に向かう道すがら沈黙が続く。無言で睨まれていた。その気まずさを紛らわすかのように、俺から喋り出した。
「お前にあれは必要ねーよ。」
「女盛りと言われる20代の今買わなくて、いつ買うのよ。」
「んなもんに頼らなくたってお前には……。」
「お前には?」
「頼らなくたって…。」
自分からこの会話の流れを作った癖に、言葉詰まる。
お前のこと好きな奴がここにいるんだけど。
なんて、言える訳がないから。