和谷夢短編集
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◇嗄声が小さな幸せを運んできた◇
カラオケやライブではしゃぎ過ぎたのか?と言われてもおかしくないほど、ひどく掠れた声で私はバイトをしていた。女子高生という本業の傍らで、週に2.3回はコンビニ店員。そんなペースでも半年経てば自然と常連客の顔は目に染み付いてくる。
「お並びのお客様、こちらのレジへどうぞ。」
嗄声 でありながらも、なんとか並んでるお客さんに自分の声が届くように声量を上げると、咳が出そうになったが堪えた。
誘導したお客さんがレジの前に来ると、見覚えのある顔であることに気づいた。茶色い髪を遊ばせてる、スーツ姿の人。顔はまだ男の子寄りの青年って感じだ。つまり童顔。この人には失礼だけど、スーツとその童顔がどこか釣り合ってなくて印象的だった。多分、私がこのコンビニで働いて一番最初に覚えた常連客。
「お会計、980円になります。」
だからと言って、お会計で他愛のない話を挟むほどの仲でもないんだけど。
「待った。これも追加で。」
一瞬、私に背を向けて取った商品を彼はレジに置いた。
それも追加した金額を彼に伝えて、支払いが済むと私は袋詰めに取り掛かる。そして最後の一つ、さっき彼が追加で持ってきた商品を袋に入れようとしたら、止められた。
「これじゃ気休め程度にしかなんねーだろうけど、それやるよ。早く風邪良くなるといいな。」
そう言って、彼は私にありがとうございましたも言わせず、足早に出口へ向かった。
彼がくれたのは、蜂蜜とりんご味のスティックのど飴だった。
カラオケやライブではしゃぎ過ぎたのか?と言われてもおかしくないほど、ひどく掠れた声で私はバイトをしていた。女子高生という本業の傍らで、週に2.3回はコンビニ店員。そんなペースでも半年経てば自然と常連客の顔は目に染み付いてくる。
「お並びのお客様、こちらのレジへどうぞ。」
誘導したお客さんがレジの前に来ると、見覚えのある顔であることに気づいた。茶色い髪を遊ばせてる、スーツ姿の人。顔はまだ男の子寄りの青年って感じだ。つまり童顔。この人には失礼だけど、スーツとその童顔がどこか釣り合ってなくて印象的だった。多分、私がこのコンビニで働いて一番最初に覚えた常連客。
「お会計、980円になります。」
だからと言って、お会計で他愛のない話を挟むほどの仲でもないんだけど。
「待った。これも追加で。」
一瞬、私に背を向けて取った商品を彼はレジに置いた。
それも追加した金額を彼に伝えて、支払いが済むと私は袋詰めに取り掛かる。そして最後の一つ、さっき彼が追加で持ってきた商品を袋に入れようとしたら、止められた。
「これじゃ気休め程度にしかなんねーだろうけど、それやるよ。早く風邪良くなるといいな。」
そう言って、彼は私にありがとうございましたも言わせず、足早に出口へ向かった。
彼がくれたのは、蜂蜜とりんご味のスティックのど飴だった。