和谷夢短編集
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◇ふざけんなよ!◇
「ふざけんなよ。」
電話越しの彼の声は私の耳に低く、そして重く響き渡った。これはちょっとやそっとのことで怒ったんじゃないことがよく伝わる。ついに彼にバレてしまった、私のしでかした悪事。
それでも焦ることなく冷静に返す。
「なにがふざけんな、なの?言ってみてよ」
「物的証拠があるってのに、まだしらばっくれんのかお前。……胃腸薬だ胃腸薬!」
「ぷはは!バレたー!今夜の大舞台で緊張しすぎてお腹壊さないかと思ってさ」
お前なー。彼の呆れてはいつつも暖かみのある声が耳に染み渡る。
「でも、サンキュー。おかげで力抜けて緊張ほぐれた」
特に昇段やタイトルがかかってるわけでもないテレビの企画とはいえ、自分の師匠との対局にここ数日どこか落ち着かない様子を見ていた。だから胃腸薬をこういう時にしか使わないまだ真新しいビジネスバックに仕込んだ。
それが効果を成したようで何より。
「うん、頑張れ。」
電話を切って、テレビの目の前のリビングテーブルには湯気のたつ珈琲が入ったマグカップに手を伸ばし一口。こっちこそ気を落ち着かす。彼の対局が始まるまで、もうまもなく。一手たりとも見逃さないようテレビの画面に張り付く準備は万全。
「ふざけんなよ。」
電話越しの彼の声は私の耳に低く、そして重く響き渡った。これはちょっとやそっとのことで怒ったんじゃないことがよく伝わる。ついに彼にバレてしまった、私のしでかした悪事。
それでも焦ることなく冷静に返す。
「なにがふざけんな、なの?言ってみてよ」
「物的証拠があるってのに、まだしらばっくれんのかお前。……胃腸薬だ胃腸薬!」
「ぷはは!バレたー!今夜の大舞台で緊張しすぎてお腹壊さないかと思ってさ」
お前なー。彼の呆れてはいつつも暖かみのある声が耳に染み渡る。
「でも、サンキュー。おかげで力抜けて緊張ほぐれた」
特に昇段やタイトルがかかってるわけでもないテレビの企画とはいえ、自分の師匠との対局にここ数日どこか落ち着かない様子を見ていた。だから胃腸薬をこういう時にしか使わないまだ真新しいビジネスバックに仕込んだ。
それが効果を成したようで何より。
「うん、頑張れ。」
電話を切って、テレビの目の前のリビングテーブルには湯気のたつ珈琲が入ったマグカップに手を伸ばし一口。こっちこそ気を落ち着かす。彼の対局が始まるまで、もうまもなく。一手たりとも見逃さないようテレビの画面に張り付く準備は万全。