和谷夢短編集
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
◇『和谷義高』◇
「ただいま」
いつもならすぐ返ってくる、声が聞こえなかった。
玄関からすぐ先のリビングの電気はついている。どっか買い物に行ってるのか、それとも机に突っ伏して寝ているのか。
リビングに着くと予想は大いに外れていたことが分かる。
玄関側に背中を向けてカーペットに座り、リビングデーブルで何かを書いていた。そしてその周りに紙が散乱。
1枚拾ってみると隅から隅まで『和谷義高』の文字。
「……なんだよこれ、俺のこと呪い殺そうとしてんの?」
「違うよ!あ、おかえり」
ようやく、俺が帰ってきたことに気づく。
とりあえず片付けて、晩飯の支度をしながらこの紙にひたすら書かれた俺の名前の訳を聞くと、先日出したばっかの婚姻届が原因だったらしい。
「せめて、自分の旦那の名前の字ぐらいは綺麗に書けるようにしとかないと恥かかせちゃうかなって思って。これからほら、なんか書く機会あるかもしれないし。それに、私の方が字が汚くて恥ずかしかったし、婚姻届」
「ぷっはは!なんだ、そんなことかよ。別に壊滅的に字が汚いって訳でもねーじゃん」
力を入れるところがいつも斜め上をいっていて面白い。
「そうだけどさ…」
「お前は、ただこうやって隣に居て笑わせてくれるだけでいいんだって。」
「そんなこと言って私が字の練習を辞めるとでも?」
「思ってる」
いい意味で単純で
くっ、大正解。と素直に気持ちを表に出して、一瞬表情を渋くするのも、結婚してからさらにまた好きが積み重なっていくのに幸福感を感じた。
「ただいま」
いつもならすぐ返ってくる、声が聞こえなかった。
玄関からすぐ先のリビングの電気はついている。どっか買い物に行ってるのか、それとも机に突っ伏して寝ているのか。
リビングに着くと予想は大いに外れていたことが分かる。
玄関側に背中を向けてカーペットに座り、リビングデーブルで何かを書いていた。そしてその周りに紙が散乱。
1枚拾ってみると隅から隅まで『和谷義高』の文字。
「……なんだよこれ、俺のこと呪い殺そうとしてんの?」
「違うよ!あ、おかえり」
ようやく、俺が帰ってきたことに気づく。
とりあえず片付けて、晩飯の支度をしながらこの紙にひたすら書かれた俺の名前の訳を聞くと、先日出したばっかの婚姻届が原因だったらしい。
「せめて、自分の旦那の名前の字ぐらいは綺麗に書けるようにしとかないと恥かかせちゃうかなって思って。これからほら、なんか書く機会あるかもしれないし。それに、私の方が字が汚くて恥ずかしかったし、婚姻届」
「ぷっはは!なんだ、そんなことかよ。別に壊滅的に字が汚いって訳でもねーじゃん」
力を入れるところがいつも斜め上をいっていて面白い。
「そうだけどさ…」
「お前は、ただこうやって隣に居て笑わせてくれるだけでいいんだって。」
「そんなこと言って私が字の練習を辞めるとでも?」
「思ってる」
いい意味で単純で
くっ、大正解。と素直に気持ちを表に出して、一瞬表情を渋くするのも、結婚してからさらにまた好きが積み重なっていくのに幸福感を感じた。