和谷夢短編集
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
◇捨てられないガラクタ◇
「お前、まだそんなの持ってたのか?」
引っ越し荷ほどきの一休み中に、義高から始めてもらったプレゼント(としている)、ぬいぐるみを出すと
背中から顔を覗かせてきた。
このぬいぐるみは、もちろん彼の本意の物ではなくて。
長い付き合いがあるからこそ言える、義高はそんなキャラでは無い。
小さい頃近所でやっていた夏祭りの射的で並んでいた景品の一つだった。
小学生の私は髪も短く、スカートもはかず昼休み、放課後はとにかく男子に混じってサッカー。
女子らしい女子ではなかったので、ぬいぐるみを欲しいと口に出せるわけもなく。
けれども、視線は釘付け。見かねた義高が、取ってくれた。『柄にもなくこんなのが欲しいのか?』なんて、からかいの一言もなしに。
顔も合わせず渡された時、ただ、耳が火照っていたのだけは覚えてる。
「年期が入ってる割には綺麗じゃん。」
「これだけはズボラでも、クリーニングかかさなかったよ」
彼が真っ白な天井に向かってぬいぐるみを両手で掲げる。
「へー。想像もつかなかったな。お前がそんな大事にしてくれてたなんてさ。
渡した翌日には目とか腕が取れて、腹とか綿が飛び出てると思ってたぜ」
「あんた、私をなんだと思ってんのよ」
ずっと、取っていたのには理由がある。最初はただ単に嬉しかったから。
年齢が上がって幼馴染みから抜けた時からは理由が変わった。
喧嘩をしてどうしようもない時、このぬいぐるみを見てはあの夏祭りのことを思い出し、
私は義高のことが好きなんだと何度でも実感する為。
もちろん、そんな理由は本人に一度も口にしたことはないし、するつもりもない。
私だけが知っていればいい、秘め事。
それに気っぷのいい性格してる彼のことだ。このぬいぐるみ一つに意味があることを、これから先聞かれる心配もなさそう。
「お前、まだそんなの持ってたのか?」
引っ越し荷ほどきの一休み中に、義高から始めてもらったプレゼント(としている)、ぬいぐるみを出すと
背中から顔を覗かせてきた。
このぬいぐるみは、もちろん彼の本意の物ではなくて。
長い付き合いがあるからこそ言える、義高はそんなキャラでは無い。
小さい頃近所でやっていた夏祭りの射的で並んでいた景品の一つだった。
小学生の私は髪も短く、スカートもはかず昼休み、放課後はとにかく男子に混じってサッカー。
女子らしい女子ではなかったので、ぬいぐるみを欲しいと口に出せるわけもなく。
けれども、視線は釘付け。見かねた義高が、取ってくれた。『柄にもなくこんなのが欲しいのか?』なんて、からかいの一言もなしに。
顔も合わせず渡された時、ただ、耳が火照っていたのだけは覚えてる。
「年期が入ってる割には綺麗じゃん。」
「これだけはズボラでも、クリーニングかかさなかったよ」
彼が真っ白な天井に向かってぬいぐるみを両手で掲げる。
「へー。想像もつかなかったな。お前がそんな大事にしてくれてたなんてさ。
渡した翌日には目とか腕が取れて、腹とか綿が飛び出てると思ってたぜ」
「あんた、私をなんだと思ってんのよ」
ずっと、取っていたのには理由がある。最初はただ単に嬉しかったから。
年齢が上がって幼馴染みから抜けた時からは理由が変わった。
喧嘩をしてどうしようもない時、このぬいぐるみを見てはあの夏祭りのことを思い出し、
私は義高のことが好きなんだと何度でも実感する為。
もちろん、そんな理由は本人に一度も口にしたことはないし、するつもりもない。
私だけが知っていればいい、秘め事。
それに気っぷのいい性格してる彼のことだ。このぬいぐるみ一つに意味があることを、これから先聞かれる心配もなさそう。