和谷夢短編集
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◇かっこいいよ◇
夕暮れ時、家に入ろうと玄関の鍵を回したところだった。
「こら、その怪我」
「なんでもねーよ」
隣の部屋に住んでる同い年の幼馴染に、手首を掴まれる。
「なんで頬から血出てんの、喧嘩したでしょ!」
「友達とふざけてただけだっての!」
手を振り払おうとすると今度は両手を使ってまでも引き止められる。
「……ホントに、平気だって」
「何も聞かないからさ、せめてうちで手当てぐらいさせてくれてもいいでしょ?」
そう伺いつつも、その両手を離す気は更々ないみたいだ。
昔からそうなったらもう俺が折れるしかない。
「分かったよ。」
お互い親が共働きで、よく晩飯一緒に食ったりで家に行き来していたから今更、家に上がるのに恥ずかしさも何も無かった。
だから家に着いた途端、堂々とリビングのソファーに座れるわけで。
「いって!お前、雑!」
「消毒液なんだから染みるの当然でしょ、はいお終い。」
頬に絆創膏を貼って優しく叩かれた。
「……ところで、原因は?」
何も言ってないけど、麦茶と小分けにされたせんべいが出されて、流れで手を伸ばし口に頬張る。
「……」
何も聞かないんじゃなかったのかよ。
と思いながら、コイツを何かに例えられるものがないか考える。
「碁を馬鹿にされたから」
「自分の好きなものや頑張ってること馬鹿にされるとムカつく気持ちは分かるけど……手はアウト。」
「……そうだな。」
本当の理由は今目の前に居るコイツ。
コイツに告った男子が振られたからって、腹いせに放課後教室で何人かで集って悪口大会してたから、聞いてられなくて。
幸い、その場にいた奴らが抑えてくれて先生呼ぶまでに発展しなかった。
まぁ……さすがに手は良くなかったな。と頭を冷やして反省。
「でもさ、そうやって一生懸命に怒れるのってカッコいいね。」
「っ!?」
不意打ちな爆弾発言に動揺して、麦茶の入ったガラスコップを持った手が滑べりそうになる。
「今回は碁だったけど、これが彼女とか気になってる女の子のためだったらと考えると……カッコいい、惚れ───」
これ以上聞いたら、ヤバイと思って頭に軽くチョップという名の実力行使に出る。
「少女漫画の見過ぎだ、アホっ」
そう言いつつも、内心は少しだけ……
いや、かなり嬉しい。
夕暮れ時、家に入ろうと玄関の鍵を回したところだった。
「こら、その怪我」
「なんでもねーよ」
隣の部屋に住んでる同い年の幼馴染に、手首を掴まれる。
「なんで頬から血出てんの、喧嘩したでしょ!」
「友達とふざけてただけだっての!」
手を振り払おうとすると今度は両手を使ってまでも引き止められる。
「……ホントに、平気だって」
「何も聞かないからさ、せめてうちで手当てぐらいさせてくれてもいいでしょ?」
そう伺いつつも、その両手を離す気は更々ないみたいだ。
昔からそうなったらもう俺が折れるしかない。
「分かったよ。」
お互い親が共働きで、よく晩飯一緒に食ったりで家に行き来していたから今更、家に上がるのに恥ずかしさも何も無かった。
だから家に着いた途端、堂々とリビングのソファーに座れるわけで。
「いって!お前、雑!」
「消毒液なんだから染みるの当然でしょ、はいお終い。」
頬に絆創膏を貼って優しく叩かれた。
「……ところで、原因は?」
何も言ってないけど、麦茶と小分けにされたせんべいが出されて、流れで手を伸ばし口に頬張る。
「……」
何も聞かないんじゃなかったのかよ。
と思いながら、コイツを何かに例えられるものがないか考える。
「碁を馬鹿にされたから」
「自分の好きなものや頑張ってること馬鹿にされるとムカつく気持ちは分かるけど……手はアウト。」
「……そうだな。」
本当の理由は今目の前に居るコイツ。
コイツに告った男子が振られたからって、腹いせに放課後教室で何人かで集って悪口大会してたから、聞いてられなくて。
幸い、その場にいた奴らが抑えてくれて先生呼ぶまでに発展しなかった。
まぁ……さすがに手は良くなかったな。と頭を冷やして反省。
「でもさ、そうやって一生懸命に怒れるのってカッコいいね。」
「っ!?」
不意打ちな爆弾発言に動揺して、麦茶の入ったガラスコップを持った手が滑べりそうになる。
「今回は碁だったけど、これが彼女とか気になってる女の子のためだったらと考えると……カッコいい、惚れ───」
これ以上聞いたら、ヤバイと思って頭に軽くチョップという名の実力行使に出る。
「少女漫画の見過ぎだ、アホっ」
そう言いつつも、内心は少しだけ……
いや、かなり嬉しい。