和谷夢短編集
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◇かなり斬新なお守り◇
「ぶえ゛っぐしょいっ!」
女子らしからぬくしゃみを塾に行く道を1人歩きながら夕方、一発かます。
もう11月の終わりだというのに、今年の微妙な気温のせい(にして置いて)で我が家は衣替えのタイミングを逃し、マフラーすらもまだ平気だろうと舐めてかかって巻いてなかった。
結果、ズルっと音を立てて鼻をすする。
ちょうど誰も居なかったから1人で制服のスカートのポケットに両手を突っ込みながら呟いていると
「あ゛ー……さ、むっ?!」
一瞬、視界が遮られて勢いよく後ろを振り向く。
「びっくりした?」
「和谷、お前かっ!」
彼の名前を言うのと同時に首元の温もりに気づき、見るとそこには
某有名なスポーツ用品取り扱うブランドのロゴマークが入った黒いネックウォーマー。
「……これは、一体どういうこと?」
「お前、くしゃみしてたから」
「だからって……」
だからって普通、そこまでしてくれる?特別仲が良いわけでもないただのクラスメイトに。
強いて言うなら
「俺、知ってるぜ。去年の秋から自分の偏差値よりかなり上の高校狙って、お前が頑張ってんの」
「なぜそれを知っている」
「母さんから聞いた」
パート先が一緒で、小学校から母親同士が仲が良いクラスメイト。
おかげでプライバシーも何もないわけで。卒業した後のこともしばらくは筒抜けほぼ確定なんじゃないかと。
現に和谷本人から聞いてなくても碁のプロ試験に受かった当日に、情報が耳に入るくらいだ。
母親同士、相当仲良しなんだろう。
「あと、親に黙ってたまに夜遅くコンビニに行った帰りにお前の部屋の電気ついてるのよく見かけるからさ。
遅くまで頑張ってんだなって。」
「そっか」
ネックウォーマーの話から遠ざかってると思いきや
「んで、それ見て俺も自分に一喝入れて、朝まで碁の勉強すんの。だからそのお返し。……って言えるほどのお返しじゃねーな、コレ。まぁ、とりあえずお前の進路落ち着いたら、なんか奢らせてくれよ。」
何もしていないのにお返しだなんて言うから思わず笑ってしまった。
「いいよ無理しなくて。気持ちだけで充分。ありがとう。洗濯してお母さん経由で返すから。」
学校で手渡しじゃさすがに恥ずかしいと思ってのことで言ったのに
「いい、それやるよ。お守り代わり。」
そう言われてしまうと返しにくい。
「合格祈願ってこと?」
「それもあるけど、まずは風邪引くなよ、受験生。って願掛けもしといた。」
「あんたそれ、今考えたでしょ!」
「バレた?」
このかなり斬新なお守りを受験当日、なんとなく鞄に入れてたおかげかは分からないけど、無事第一志望には合格した。
「ぶえ゛っぐしょいっ!」
女子らしからぬくしゃみを塾に行く道を1人歩きながら夕方、一発かます。
もう11月の終わりだというのに、今年の微妙な気温のせい(にして置いて)で我が家は衣替えのタイミングを逃し、マフラーすらもまだ平気だろうと舐めてかかって巻いてなかった。
結果、ズルっと音を立てて鼻をすする。
ちょうど誰も居なかったから1人で制服のスカートのポケットに両手を突っ込みながら呟いていると
「あ゛ー……さ、むっ?!」
一瞬、視界が遮られて勢いよく後ろを振り向く。
「びっくりした?」
「和谷、お前かっ!」
彼の名前を言うのと同時に首元の温もりに気づき、見るとそこには
某有名なスポーツ用品取り扱うブランドのロゴマークが入った黒いネックウォーマー。
「……これは、一体どういうこと?」
「お前、くしゃみしてたから」
「だからって……」
だからって普通、そこまでしてくれる?特別仲が良いわけでもないただのクラスメイトに。
強いて言うなら
「俺、知ってるぜ。去年の秋から自分の偏差値よりかなり上の高校狙って、お前が頑張ってんの」
「なぜそれを知っている」
「母さんから聞いた」
パート先が一緒で、小学校から母親同士が仲が良いクラスメイト。
おかげでプライバシーも何もないわけで。卒業した後のこともしばらくは筒抜けほぼ確定なんじゃないかと。
現に和谷本人から聞いてなくても碁のプロ試験に受かった当日に、情報が耳に入るくらいだ。
母親同士、相当仲良しなんだろう。
「あと、親に黙ってたまに夜遅くコンビニに行った帰りにお前の部屋の電気ついてるのよく見かけるからさ。
遅くまで頑張ってんだなって。」
「そっか」
ネックウォーマーの話から遠ざかってると思いきや
「んで、それ見て俺も自分に一喝入れて、朝まで碁の勉強すんの。だからそのお返し。……って言えるほどのお返しじゃねーな、コレ。まぁ、とりあえずお前の進路落ち着いたら、なんか奢らせてくれよ。」
何もしていないのにお返しだなんて言うから思わず笑ってしまった。
「いいよ無理しなくて。気持ちだけで充分。ありがとう。洗濯してお母さん経由で返すから。」
学校で手渡しじゃさすがに恥ずかしいと思ってのことで言ったのに
「いい、それやるよ。お守り代わり。」
そう言われてしまうと返しにくい。
「合格祈願ってこと?」
「それもあるけど、まずは風邪引くなよ、受験生。って願掛けもしといた。」
「あんたそれ、今考えたでしょ!」
「バレた?」
このかなり斬新なお守りを受験当日、なんとなく鞄に入れてたおかげかは分からないけど、無事第一志望には合格した。