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ヒカルの碁BL、NLごちゃまぜ

◇本命【ヒカあか】◇

中学3年生の2月。部活もとっくに引退してしまい残すところは公立高校の入試のみ。
勉強しなきゃいけないのは分かっているけど小学校からの恒例行事のバレンタインデーはやっぱり外せなくて息抜きと称して今年もお菓子を作った。
囲碁部のみんなやクラスの友達の分。そして、もう一人あげようと思ったけど透明な袋に包装していて黄色いリボンでラッピングした上部だけ焦げたマフィンを見ると意気消沈。
そのままバックからは出さずに、仕舞い込む。すると後ろから聞き覚えのある声で名前を呼ばれる。

「ヒカルってこーいう時に限って声かけるんだから!」
「なんでそんな喧嘩越しなんだよ。」

つい本音を口にしてしまった。

「ご用件は?」
「用がなきゃ声かけちゃいけねーのかよ」
「別にそういうワケじゃないけど」
「……今年は何も無いんだなって思っただけ」

あぁ、またやってしまった。ヒカルを前にするといつもこうだ、素直になれない。
最近また身長も伸びて碁もプロの道に進んでからは遠い存在のように思えるし、どう接すればいいのかが分からない。
なんで今年に限って、自分からバレンタインデーを気にするんだろう。今までこんなことなかったのに。

「ごめんね、ヒカルが気にしてくれてるとは思ってなかったから」
「なんだ、今年もあるじゃんか」
「えっ?……あっ」

ヒカルが指したのは黄色いリボンがいつの間にかほどけていてバックの中から出ている光景。

「これじゃ言い逃れはもう出来ねーな。」
「ちょっと!」

ヒカルは私の許可もなしにバックから焦げたマフィンを取るなり何の気なしに頬張り一言。

「全然問題ない、普通に上手い。」
「──ヒカルの分からず屋っ!」
「はぁ!?」

一応は褒めてもらえたのに、やっぱりちゃんとしたモノを渡したかった。
だってちゃんと失敗せずに作れたものですら未だに本命だって気づいて貰えてないんだから。

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