その他ヒカ碁キャラ夢短編
◇薄ピンクの封筒【加賀鉄男】◇
放課後、校内は吹奏楽部の練習している楽器の音に包まれながら、野球部やサッカー部の掛け声が心地よく響いている。そんな校舎を後にするいつもの放課後。
帰り道、私の隣を歩く同じ帰宅部の友達がやけに口数が少ないのが気になる。
「今日、元気なくない?」
すると実はと切り出す友達から出てきたのは1通の手紙。
薄ピンクの可愛らしい封筒は、まだ聞いてないけどまるで中身の内容を顕著に表しているようだった。
「加賀に渡して欲しいの」
「え」
みるみる頬が紅潮する友達を見て、やっぱり。
「1年の頃、あんたと仲良くなってからだんだん加賀のこと気になりだしちゃって。」
「……そっか。オッケー、渡しておくよ。」
同じ幼稚園出身の加賀は、変わらず中学に上がっても私に絡んできた。中学入学したての頃は周りによく私がカツアゲされてるとか誤解を招かれてたけど。
「──意外といい奴だよね。加賀って」
重い物持ってたら変わってくれたり、チビってバカにしつつ少しかかと上げないと届かない黒板の消し残しを消してくれたり。
「そうだね。」
友達が例にあげてくれた加賀の優しい行動の当事者であったのに、いいヤツとかそんなこと全く意識してなかった。
それは優しい事よりも、揶揄われることの方に意識が向いているからだろう。
思ったよりも、この1通のラブレターの存在と加賀が女子に好意を持たれてるという事実は重くのしかかる。
早いところ手放してしまいたい。
「った」
友達と別れた直後。ほのかに香るタバコの臭いと共に、頭の後ろに一瞬、軽い衝撃が走る。
「おー。悪いな、見えなかったぜ」
語尾にチビとつける加賀。すぐさま軽い衝撃の正体はお気に入りの扇子だと分かった。その扇子で叩かれた回数は数知れない。
にしてもチビと言っても背の順になればクラスで真ん中ぐらいなのに、どうやら自分より小さかったらチビらしい。
「……」
「なにシケた面してんだよ」
「──はい、これ。返事は本人に直接言ってあげて。」
一方的に彼の胸板に押し付ける。加賀の手にその手紙が渡ったのを確認して背中を向けて歩いた。手放したかったのに、手放したら蟠りが広がる。
一見、女子には興味が無さそうに見えるけど加賀は全く読めない。明日から友達と今まで通り接していける自信がない。
そして早くなる歩調は、乾いた音に止められた。
振替ると、あの薄ピンクの封筒は真っ二つに破かれて、地面に落ちていた。
「なっ…。読まずして破ることはないでしょ!あんたもうちょっとこう…」
「自分の気持ちをダチ使って言ってくるのに応える気はねえ。」
そう言って今度は加賀が私を追い抜いてすぐのとこで止まった。これから報告する私の身にもなって欲しい。言葉と行動選んでよ。ダメ元で言ったところで案の定、知るかと一蹴される。
「言っとけ。女だからって誰にでも優しくできるほど俺は器用じゃねーって。」
思えば、最初は外見での先入観が強かった内の1人に私の友達もいたわけだ。こういう断り方することくらい、もしかして想像の範疇かも。
そう考えたら、気持ちが軽くなってきた。
「アンタがいつ女子に優しくしたって?」
「てんめェ…」
ほら、隣歩きながらもう冗談が言えるくらい。
また王将と書かれた扇子が飛んでくるかと思ったら代わりに肩に手が伸びてきた。
「わっ」
肩を抱き寄せられて一気に縮まった加賀との距離に落ち着きを取り戻したのは、後ろから車が通り過ぎてからの事。
「これで証明できただろーが。」
偶然車が来ただけだと言うのに、胸の鼓動はやけに早くて、鳴り止まなかった。
放課後、校内は吹奏楽部の練習している楽器の音に包まれながら、野球部やサッカー部の掛け声が心地よく響いている。そんな校舎を後にするいつもの放課後。
帰り道、私の隣を歩く同じ帰宅部の友達がやけに口数が少ないのが気になる。
「今日、元気なくない?」
すると実はと切り出す友達から出てきたのは1通の手紙。
薄ピンクの可愛らしい封筒は、まだ聞いてないけどまるで中身の内容を顕著に表しているようだった。
「加賀に渡して欲しいの」
「え」
みるみる頬が紅潮する友達を見て、やっぱり。
「1年の頃、あんたと仲良くなってからだんだん加賀のこと気になりだしちゃって。」
「……そっか。オッケー、渡しておくよ。」
同じ幼稚園出身の加賀は、変わらず中学に上がっても私に絡んできた。中学入学したての頃は周りによく私がカツアゲされてるとか誤解を招かれてたけど。
「──意外といい奴だよね。加賀って」
重い物持ってたら変わってくれたり、チビってバカにしつつ少しかかと上げないと届かない黒板の消し残しを消してくれたり。
「そうだね。」
友達が例にあげてくれた加賀の優しい行動の当事者であったのに、いいヤツとかそんなこと全く意識してなかった。
それは優しい事よりも、揶揄われることの方に意識が向いているからだろう。
思ったよりも、この1通のラブレターの存在と加賀が女子に好意を持たれてるという事実は重くのしかかる。
早いところ手放してしまいたい。
「った」
友達と別れた直後。ほのかに香るタバコの臭いと共に、頭の後ろに一瞬、軽い衝撃が走る。
「おー。悪いな、見えなかったぜ」
語尾にチビとつける加賀。すぐさま軽い衝撃の正体はお気に入りの扇子だと分かった。その扇子で叩かれた回数は数知れない。
にしてもチビと言っても背の順になればクラスで真ん中ぐらいなのに、どうやら自分より小さかったらチビらしい。
「……」
「なにシケた面してんだよ」
「──はい、これ。返事は本人に直接言ってあげて。」
一方的に彼の胸板に押し付ける。加賀の手にその手紙が渡ったのを確認して背中を向けて歩いた。手放したかったのに、手放したら蟠りが広がる。
一見、女子には興味が無さそうに見えるけど加賀は全く読めない。明日から友達と今まで通り接していける自信がない。
そして早くなる歩調は、乾いた音に止められた。
振替ると、あの薄ピンクの封筒は真っ二つに破かれて、地面に落ちていた。
「なっ…。読まずして破ることはないでしょ!あんたもうちょっとこう…」
「自分の気持ちをダチ使って言ってくるのに応える気はねえ。」
そう言って今度は加賀が私を追い抜いてすぐのとこで止まった。これから報告する私の身にもなって欲しい。言葉と行動選んでよ。ダメ元で言ったところで案の定、知るかと一蹴される。
「言っとけ。女だからって誰にでも優しくできるほど俺は器用じゃねーって。」
思えば、最初は外見での先入観が強かった内の1人に私の友達もいたわけだ。こういう断り方することくらい、もしかして想像の範疇かも。
そう考えたら、気持ちが軽くなってきた。
「アンタがいつ女子に優しくしたって?」
「てんめェ…」
ほら、隣歩きながらもう冗談が言えるくらい。
また王将と書かれた扇子が飛んでくるかと思ったら代わりに肩に手が伸びてきた。
「わっ」
肩を抱き寄せられて一気に縮まった加賀との距離に落ち着きを取り戻したのは、後ろから車が通り過ぎてからの事。
「これで証明できただろーが。」
偶然車が来ただけだと言うのに、胸の鼓動はやけに早くて、鳴り止まなかった。