緒方夢短編
◇その気持ちを教えたなら、忘れ方も教えてよ◇
お酒が飲める歳になって久しぶりに中学の友達と飲んでいた。思い出話や恋愛話に華が咲き、結局始発で帰ることに。
朝方、駅の目の前にある信号待ちで私と向かい側に居た男女2人が目に入る。特に男性の白いスーツなんかはあの人のことを思い出す。むしろあの人以外に白スーツ着てる人いたんだ。と目が釘付け状態。裸眼の視力がよくないから全体的にぼやけて見えてつい目を細めてしまう。
すると、まだ人気が少ないのをいいことに、女から男へ口づけを。わっ、目のやり場に困る。
視界を手で塞ごうと思っていたら、信号は赤から青へ。そしてすれ違い様に小さい頃から嗅ぎ慣れたタバコの香りに誘われるように男性の顔を見る。
それがよりにもよって、今まさに好意を寄せていた相手とは。ついさっきまで強面に見せかけて意外と優しいところが好き、彼は白スーツの象徴だとか友人に話したばっかり。
別にまだ付き合ってもないし、気持ちすらも伝えられてない段階で私が文句を言える筋合いは何1つもないのに。
でも最後に1つだけ
────恋する感情を教えてくれたのなら、忘れ方も教えてください。
お酒が飲める歳になって久しぶりに中学の友達と飲んでいた。思い出話や恋愛話に華が咲き、結局始発で帰ることに。
朝方、駅の目の前にある信号待ちで私と向かい側に居た男女2人が目に入る。特に男性の白いスーツなんかはあの人のことを思い出す。むしろあの人以外に白スーツ着てる人いたんだ。と目が釘付け状態。裸眼の視力がよくないから全体的にぼやけて見えてつい目を細めてしまう。
すると、まだ人気が少ないのをいいことに、女から男へ口づけを。わっ、目のやり場に困る。
視界を手で塞ごうと思っていたら、信号は赤から青へ。そしてすれ違い様に小さい頃から嗅ぎ慣れたタバコの香りに誘われるように男性の顔を見る。
それがよりにもよって、今まさに好意を寄せていた相手とは。ついさっきまで強面に見せかけて意外と優しいところが好き、彼は白スーツの象徴だとか友人に話したばっかり。
別にまだ付き合ってもないし、気持ちすらも伝えられてない段階で私が文句を言える筋合いは何1つもないのに。
でも最後に1つだけ
────恋する感情を教えてくれたのなら、忘れ方も教えてください。