2020バレンタインデー/ホワイトデー(2話完結)
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◇バレンタインデー2020◇
2月の土曜日、研修手合い日がある週で、たまたま朝早く目が覚めたからいつもより早く棋院に着いて、入り口で見慣れた後ろ姿に声をかける。
「はよっ」
「うわ゛っ!!」
普通に声かけただけなのに過剰に反応される。俺、そんな驚く様なことしたか?
「んだよ、幽霊が出たみたいなその反応。」
「いつもこの時間ってまだ和谷居ないからさ」
「俺が早く来てなんか文句ある?」
「無いよ、別に。ただ、和谷の順位を下げる戦略を考えようと思ってたから残念だなって」
安定の捻くれ具合に安堵する。コイツとは紙一重の差で一勝さえも落とせない。仲悪いわけじゃないけど、実力が近ければやっぱり意識して対抗心燃やしてしまうわけで。
「こんにゃろぉ……来週覚えてろよ」
「そっちこそね」
ちょうど来たエレベーターに乗り込む。時間が早いからか、さすがに他に乗ってくるやつも居なくて研修手合いの部屋の階まで2人。碁以外で何を話していいか分からなくて手持ち無沙汰で内心困った。エレベーターの時間がいつもより長く感じた。
着いて走ろうかとも思ったけど、どこかわざとらしい行動するのも気が引けるから早歩きしよう。
そんなどうでもいいことをエレベーターのボタンの前で考えていると、いつの間にか目的の階に着いて扉が開いた。
あいつより数歩ぐらい先を歩いたところで、上着の左袖を引っ張られて振り返る。
「口に合わなかったら、捨ててくれていいから!……一応、甘さ控えめにはしてる、はず」
即座に手渡されたのは中身が見える紙袋に入ったマフィン2つ。特に俺の反応も見ずに今度は追い越して行ってしまった。
あれ、今日誕生日でもないのに、なんだ?と不思議に思いつつあとから来た女子達のやりとりを見ているとバレンタインデーであることにやっと気づき、来週どんな顔すればいいのかが分からなくなった。
他の女子にも貰ったから、あいつも義理だろ、義理。そう自制をかけつつも、心のどこかでは男には誰にもあげていないのに期待を寄せていたことを打ち明けられたのはちょうど1ヶ月後の話。
2月の土曜日、研修手合い日がある週で、たまたま朝早く目が覚めたからいつもより早く棋院に着いて、入り口で見慣れた後ろ姿に声をかける。
「はよっ」
「うわ゛っ!!」
普通に声かけただけなのに過剰に反応される。俺、そんな驚く様なことしたか?
「んだよ、幽霊が出たみたいなその反応。」
「いつもこの時間ってまだ和谷居ないからさ」
「俺が早く来てなんか文句ある?」
「無いよ、別に。ただ、和谷の順位を下げる戦略を考えようと思ってたから残念だなって」
安定の捻くれ具合に安堵する。コイツとは紙一重の差で一勝さえも落とせない。仲悪いわけじゃないけど、実力が近ければやっぱり意識して対抗心燃やしてしまうわけで。
「こんにゃろぉ……来週覚えてろよ」
「そっちこそね」
ちょうど来たエレベーターに乗り込む。時間が早いからか、さすがに他に乗ってくるやつも居なくて研修手合いの部屋の階まで2人。碁以外で何を話していいか分からなくて手持ち無沙汰で内心困った。エレベーターの時間がいつもより長く感じた。
着いて走ろうかとも思ったけど、どこかわざとらしい行動するのも気が引けるから早歩きしよう。
そんなどうでもいいことをエレベーターのボタンの前で考えていると、いつの間にか目的の階に着いて扉が開いた。
あいつより数歩ぐらい先を歩いたところで、上着の左袖を引っ張られて振り返る。
「口に合わなかったら、捨ててくれていいから!……一応、甘さ控えめにはしてる、はず」
即座に手渡されたのは中身が見える紙袋に入ったマフィン2つ。特に俺の反応も見ずに今度は追い越して行ってしまった。
あれ、今日誕生日でもないのに、なんだ?と不思議に思いつつあとから来た女子達のやりとりを見ているとバレンタインデーであることにやっと気づき、来週どんな顔すればいいのかが分からなくなった。
他の女子にも貰ったから、あいつも義理だろ、義理。そう自制をかけつつも、心のどこかでは男には誰にもあげていないのに期待を寄せていたことを打ち明けられたのはちょうど1ヶ月後の話。