一人暮らしをしようと思ってるって話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
◇一人暮らしをしようと思ってるって話(前編)◇
大手合いの昼休み。カップラーメンと割り箸が入ったビニール袋を揺らしながら、棋院へ続く緩やかな坂道を歩いていた。
「最近、外行かねーじゃん。」
「和谷も今日は店屋物じゃないんだ。」
「おう、たまには。」
「毎日お世話になってるんじゃないの?コンビニ弁当。」
「その二言、余計だっつーの。」
現にお世話になってる自分の事は棚に上げてからかう。
「実は、一人暮らし考えててさ。まずは外食辞めるとこから節約しようと思って。」
おふざけから真面目な話に切り替えたのは、棋院に着いて、エレベーターを待っている時。いや、自炊もしてないのに節約って言えんのか、ソレ。と同じ歳で早くも一人で生計を立ててる和谷に、鼻で笑われるだろうと思ったけど、真面目に話を聞いてくれた。
「そういや院生の頃から、棋院通うの遠いって言ってたもんな。」
「うん。……ねえ、和谷の住んでるアパートの家賃どれくらい?」
「お前な、女の一人暮らしなんだからもう少しマシな物件と吟味しろよ。」
「マシな物件ねえ…。確かに銭湯通いはなァ。」
「防犯意識、皆無かよ。」
小首を傾げると、和谷が次々と例を挙げてくれた。
部屋に侵入されにくい2階以上に住む、カメラ付きインターホンがついてる、などなど。聞けば聞くほど、家賃面が高くなっていく気がして一人暮らしが遠のいていく。
「棋院の仕事の後、飲みに誘われるのも増えただろーに、終電間に合ってんの?」
「今はネットカフェやカラオケって手段も。」
「防犯意識ほんっとにねーな、お前!そんなとこ泊まるくらいなら、俺ん家に──!……や、今のはナシ。」
和谷が口走ったのに、特別意識は向かなかった。
今の私には、和谷がただ、娘を心配する母親にしか見えていなかったから。
「まだ、雑魚寝でもいけるかな。」
1階に着いたエレベーターの扉が開いたと同時に、和谷の手から、お弁当が入ってるコンビニのビニール袋が離れて、床に落ちた。
大手合いの昼休み。カップラーメンと割り箸が入ったビニール袋を揺らしながら、棋院へ続く緩やかな坂道を歩いていた。
「最近、外行かねーじゃん。」
「和谷も今日は店屋物じゃないんだ。」
「おう、たまには。」
「毎日お世話になってるんじゃないの?コンビニ弁当。」
「その二言、余計だっつーの。」
現にお世話になってる自分の事は棚に上げてからかう。
「実は、一人暮らし考えててさ。まずは外食辞めるとこから節約しようと思って。」
おふざけから真面目な話に切り替えたのは、棋院に着いて、エレベーターを待っている時。いや、自炊もしてないのに節約って言えんのか、ソレ。と同じ歳で早くも一人で生計を立ててる和谷に、鼻で笑われるだろうと思ったけど、真面目に話を聞いてくれた。
「そういや院生の頃から、棋院通うの遠いって言ってたもんな。」
「うん。……ねえ、和谷の住んでるアパートの家賃どれくらい?」
「お前な、女の一人暮らしなんだからもう少しマシな物件と吟味しろよ。」
「マシな物件ねえ…。確かに銭湯通いはなァ。」
「防犯意識、皆無かよ。」
小首を傾げると、和谷が次々と例を挙げてくれた。
部屋に侵入されにくい2階以上に住む、カメラ付きインターホンがついてる、などなど。聞けば聞くほど、家賃面が高くなっていく気がして一人暮らしが遠のいていく。
「棋院の仕事の後、飲みに誘われるのも増えただろーに、終電間に合ってんの?」
「今はネットカフェやカラオケって手段も。」
「防犯意識ほんっとにねーな、お前!そんなとこ泊まるくらいなら、俺ん家に──!……や、今のはナシ。」
和谷が口走ったのに、特別意識は向かなかった。
今の私には、和谷がただ、娘を心配する母親にしか見えていなかったから。
「まだ、雑魚寝でもいけるかな。」
1階に着いたエレベーターの扉が開いたと同時に、和谷の手から、お弁当が入ってるコンビニのビニール袋が離れて、床に落ちた。