終わりもあれば始まりもある(2話完結)
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◇終わりもあれば始まりもある(前編)◇
「よお、久しぶり」
「久しぶり」
25になって同窓会で俺が振った彼女と再会。
学年だからか人数の関係で豪華にホテルの会場を貸し切り。
その会場の中にある、バーカウンターで1人座ってるのを見かけて、無性に話したくなった。
「……隣、空いてる?」
「空いてるよ」
しばらく話してないからかぎこちない会話。
座ったのはいいけど、何話そう。
悩んでいると向こうから和谷。と久しぶりに名前を呼ばれる。
「ちゃんと食べてんの?」
「食ってるぜ。さっきも肉とか寿司食ってきたし」
「そうじゃなくて、普段よ。
食べるのも忘れて囲碁1日打ちっぱなしの日もあったじゃない」
別れてからもう数年も経つのに今でも、そう心配されると俺にまだ気があるのかと期待してしまう。
「……そうだったな。うん、ちゃんと食ってるよ」
「まさか、コンビニ弁当じゃないでしょーね?」
「ははっ。ご名答」
「もー。笑い事じゃないわよ。年齢が経つにつれて、出たお腹引っ込めんの大変だよ」
そういう気が利く優しいところ、付き合ってた頃から何も変わっちゃいない。
だから、俺から振った時すごく心苦しかった。今でもあの時の顔が忘れられない。
「まぁ、気をつけるよ。お前は最近元気なのか?」
「うん、とりあえず平和に毎日過ごせてる」
「そっか」
当たり障りのない会話がひと段落すると気になるのは今、彼氏がいるのかどうか。
「……和谷は、今彼女いるの?」
まるで俺の考えてることが筒抜け。
そう言えば、考えてることが分かり易い。なんて言われたこともあったけ。
「いな────」
答えようとしたら
「和谷ー!お前、こっち来いよ!」
「今俺コイツと話して……」
「いいから行くぞー!」
酒で出来上がってるクラスメイトに連行される。
付き合ったのは成人式の後からだから、誰も俺達が付き合っていたことは知らない。
連行されるのを見て、アイツもアイツで口角を上げていってらっしゃいと言わんばかりに小さく手を振るし。
本当、今更ながらアイツのゆとりある精神には救われた。付き合ってる間、衝突したことがない。
それなのに俺から振ったわけで。
アイツに合鍵渡しておいて、冴木さんの家とかで碁を打って朝帰りは当たり前。向こうは大学生で当然生活リズムにズレが生じて、恋人らしいことは何一つしてやれてない。
それでもあいつは俺の家に来ては飯の作り置きをしてくれたり、部屋の掃除、洗濯までしてくれてた。
そんな家政婦みたいな関係になってて、大切にしてやれない申し訳なさが大きくなって
『────ごめん俺、お前のこと大切にしてやれないや。別れよう』
気づけば別れ話を告げていた。
『和谷が、そう言うなら……分かった。』
泣かないように笑顔で隠そうとしていた表情が今でも忘れられない。
それでいて最後には
作り置き冷蔵庫に入ってるから、気が向いたら食べてね。
なんて、最後の最後まで俺のことを考えてくれてた。
数年ぶりに会った今日、絶対に伝えたい。ずっと後悔してたって。
帰り道、酔っ払いのクラスメイトに2次会に連行されるのを振り切りあいつを見つける。
「2次会は?」
「私は帰るよ」
「それならさっき話途中だったし、駅まで一緒にいいか?」
「うん」
適当に理由をつけて駅まで歩くことに。ホテルから駅までそんなに距離は長くないから
「その、俺に今彼女居るのかって話」
「うん」
「……彼女いないって言ったら?」
一呼吸置いて打診する。
彼女もまた一呼吸置いて答える。
「それは、嬉しい話と捉えていいの?」
「あぁ、そうだよ」
この流れならもしかしたら上手く行くかもしれない、そう思った瞬間
「おーい」
「ごめん、お待たせ」
俺から離れて改札前で待ってる物腰柔らかそうな男へ駆け寄る。
そこで全てを察した。
「そちらは?」
「中学校のクラスメイトの和谷君。」
今更よりを戻したいだなんて、虫が良すぎる話だったんだ。と思い知らされる。
「わざわざ、彼女を駅までありがとうございます。」
「あ、いえ」
知らない男と居るというのに嫌な顔一つせずに笑顔でこの態度。
「今日は話かけてくれてありがとう。じゃあね。」
「……じゃあな」
お互い、“また”という言葉は使わずに背中を向かい合わせて別れる。
これで完璧に終わった。
それなのに未練がましく最後の最後にもう一度だけ振り返ってみれば俺の時には見れなかった、アイツの幸せそうな笑顔。振り向かなければよかったとまた後悔。
もし、俺がアイツをもっと大切にすることが出来ていれば今頃、俺の隣でそうやって笑ってくれてたんだろうか。
どんなにそう思ったところで、時間はもう、巻き戻せない。
「よお、久しぶり」
「久しぶり」
25になって同窓会で俺が振った彼女と再会。
学年だからか人数の関係で豪華にホテルの会場を貸し切り。
その会場の中にある、バーカウンターで1人座ってるのを見かけて、無性に話したくなった。
「……隣、空いてる?」
「空いてるよ」
しばらく話してないからかぎこちない会話。
座ったのはいいけど、何話そう。
悩んでいると向こうから和谷。と久しぶりに名前を呼ばれる。
「ちゃんと食べてんの?」
「食ってるぜ。さっきも肉とか寿司食ってきたし」
「そうじゃなくて、普段よ。
食べるのも忘れて囲碁1日打ちっぱなしの日もあったじゃない」
別れてからもう数年も経つのに今でも、そう心配されると俺にまだ気があるのかと期待してしまう。
「……そうだったな。うん、ちゃんと食ってるよ」
「まさか、コンビニ弁当じゃないでしょーね?」
「ははっ。ご名答」
「もー。笑い事じゃないわよ。年齢が経つにつれて、出たお腹引っ込めんの大変だよ」
そういう気が利く優しいところ、付き合ってた頃から何も変わっちゃいない。
だから、俺から振った時すごく心苦しかった。今でもあの時の顔が忘れられない。
「まぁ、気をつけるよ。お前は最近元気なのか?」
「うん、とりあえず平和に毎日過ごせてる」
「そっか」
当たり障りのない会話がひと段落すると気になるのは今、彼氏がいるのかどうか。
「……和谷は、今彼女いるの?」
まるで俺の考えてることが筒抜け。
そう言えば、考えてることが分かり易い。なんて言われたこともあったけ。
「いな────」
答えようとしたら
「和谷ー!お前、こっち来いよ!」
「今俺コイツと話して……」
「いいから行くぞー!」
酒で出来上がってるクラスメイトに連行される。
付き合ったのは成人式の後からだから、誰も俺達が付き合っていたことは知らない。
連行されるのを見て、アイツもアイツで口角を上げていってらっしゃいと言わんばかりに小さく手を振るし。
本当、今更ながらアイツのゆとりある精神には救われた。付き合ってる間、衝突したことがない。
それなのに俺から振ったわけで。
アイツに合鍵渡しておいて、冴木さんの家とかで碁を打って朝帰りは当たり前。向こうは大学生で当然生活リズムにズレが生じて、恋人らしいことは何一つしてやれてない。
それでもあいつは俺の家に来ては飯の作り置きをしてくれたり、部屋の掃除、洗濯までしてくれてた。
そんな家政婦みたいな関係になってて、大切にしてやれない申し訳なさが大きくなって
『────ごめん俺、お前のこと大切にしてやれないや。別れよう』
気づけば別れ話を告げていた。
『和谷が、そう言うなら……分かった。』
泣かないように笑顔で隠そうとしていた表情が今でも忘れられない。
それでいて最後には
作り置き冷蔵庫に入ってるから、気が向いたら食べてね。
なんて、最後の最後まで俺のことを考えてくれてた。
数年ぶりに会った今日、絶対に伝えたい。ずっと後悔してたって。
帰り道、酔っ払いのクラスメイトに2次会に連行されるのを振り切りあいつを見つける。
「2次会は?」
「私は帰るよ」
「それならさっき話途中だったし、駅まで一緒にいいか?」
「うん」
適当に理由をつけて駅まで歩くことに。ホテルから駅までそんなに距離は長くないから
「その、俺に今彼女居るのかって話」
「うん」
「……彼女いないって言ったら?」
一呼吸置いて打診する。
彼女もまた一呼吸置いて答える。
「それは、嬉しい話と捉えていいの?」
「あぁ、そうだよ」
この流れならもしかしたら上手く行くかもしれない、そう思った瞬間
「おーい」
「ごめん、お待たせ」
俺から離れて改札前で待ってる物腰柔らかそうな男へ駆け寄る。
そこで全てを察した。
「そちらは?」
「中学校のクラスメイトの和谷君。」
今更よりを戻したいだなんて、虫が良すぎる話だったんだ。と思い知らされる。
「わざわざ、彼女を駅までありがとうございます。」
「あ、いえ」
知らない男と居るというのに嫌な顔一つせずに笑顔でこの態度。
「今日は話かけてくれてありがとう。じゃあね。」
「……じゃあな」
お互い、“また”という言葉は使わずに背中を向かい合わせて別れる。
これで完璧に終わった。
それなのに未練がましく最後の最後にもう一度だけ振り返ってみれば俺の時には見れなかった、アイツの幸せそうな笑顔。振り向かなければよかったとまた後悔。
もし、俺がアイツをもっと大切にすることが出来ていれば今頃、俺の隣でそうやって笑ってくれてたんだろうか。
どんなにそう思ったところで、時間はもう、巻き戻せない。