僕を見て
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僕は耳を疑った。ここで眠るだって?この寒い談話室で彼女は眠っているのか。それも、僕を待ってるだって?
ジニーが去った後も静かに泣き続けるアイ。僕は彼女から逃げて、さらに傷付けたんだ。自分のことばかりで大切な人に向き合うことが出来ていなかった。なんてバカなやつなんだ。彼女にきちんと謝ろう。許してもらえるかわからないけれど。そして、気持ちを伝えよう。
僕は階段を静かに降りた。気付かれないように静かに降りたつもりだったんだけど、彼女は勢いよく顔を上げた。
「や、やあ、アイ。」
彼女は勢いよく立ち上がり、僕の方へ駆け寄ってきて、そのまま勢い良く僕に抱きついてくる。その感覚が何だか懐かしかった。
「ロン!!私、ずっと待ってた!ロンが朝来なくなってからもずっとずっとここで待ってたよ!私、私、ロンに嫌われちゃったの?」
彼女はまた涙を流しながら僕に必死に話しかける。最後の方は小声で声が震えていた。
「ごめん、アイ。僕は君のことを嫌いになんてなってないよ。ただ、僕があの日、そのー僕が君にキスしちゃった日、君が泣いたのを見て君に嫌われるのが怖くて、逃げてしまったんだ。情けないでしょ?だから、アイが泣く必要なんて何もなかったんだよ、何度も泣かせてごめん。」
僕がそう言ってアイを抱き締めて謝ると、彼女はさらに泣き始める。
「私ね、ロンにキスされたのが嫌で泣いたんじゃないの、びっくりしたけど嬉しかったの。嬉しくて涙が出たんだよ。好きな人からキスされたんだもの。」
僕の聞き間違いだろうか。ついに、僕の耳もイカれてしまったか。アイが僕を好きだと言ったように聞こえたんだが。
「アイ今、何て言ったの?僕には君が僕を好きだと言ったように聞こえたんだけど」
「そうだよ。私はロンが好きだよ。大好き。いつも言ってたでしょ?」
彼女はそう言って僕から離れて、潤んだ瞳を僕に向けた。どういうことだろう。あれは兄貴としての大好きだと思っていた。
「君はハリーが好きなんじゃないの?」
「なんで、ハリーなの?」
「だって、君ハリーとチョウのことを気にしていたし、ハリーのことが気になってたんじゃ。」
「あぁ、それは、その、ジニーなの。ジニーがハリーの好きな人を気にしてて、でも、本人には聞けないしロンに聞くのは兄だから恥ずかしいしって悩んでたの。だから、私が変わりに聞いたの。私あの頃ハリーとそんなに話したことなかったから、ロンに聞いたんだけど。」
「なんだ、そうだったんだ。てっきりアイはハリーが好きなんだと思ってた。それで、僕どんどんハリーと仲良くなる君を見てたら嫉妬してあの日耐えられなくなってキスしちゃったんだ。
君が前から好きなんだ。大好きなんだ。」
彼女は僕を見ながらまた泣き始める。そんな彼女を僕は抱きしめた。彼女から抱きついてくることはあっても、僕から抱きしめるのは初めてだ。そして、僕たちはあの日をやり直すかのように甘い口付けをかわした。
「やっと私の想いが伝わった。あの日キスしてくれた時、私の想いが届いてキスしてくれたんだって思ったのに、ロン何も言わず逃げちゃうんだもん!」
「私がこんなにアピールしてるのに、ロンったら全然気付いてくれないんだもん。みーんな、私達が両思いだって知ってたんだよ?」
それから2週間の空白を埋めるように2人で夜通し話をした。どうやら、僕以外の皆は僕の気持ちもアイの気持ちも知っていたようだ。それなら、早く言ってくれればこんな勘違いもせずに過ごせたのにと文句を言うと、彼女は少し照れたように"やっぱり男の人から告白されたいじゃない?"って笑った。そんな顔が可愛くて、もう一度彼女にキスをした。
これからは、君を泣かせたりしないよ。そう心に誓って、談話室で2人眠りに落ちた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
朝起こされた時には僕たちはグリフィンドール生に囲まれていて"やっとか~"なんて笑われながらも皆祝福してくれた。
君を大切にするよ。
アイ、大好きだよ。