「そういやぁ、お前バウムクーヘンも一人で食ってたもんな」
「うん、おいしーものすき」
あたしの食欲を見て、先生は少し驚いたようだった。
「でもせんせーがまさかくにだとはおもわなかった」
先程伝えられた衝撃の事実。プロイセンという国名は知っていたが、残念ながらそれ以上の事は知らない。あたしはフランスより東側の国に関してはその程度の知識だ。もっと国際関係について勉強をしなければならないと痛感した。
「俺もお前が国だって知った時はビビったぜ。しかもあの眉毛の領土だったとはな」
少し苦々しそうに言いながら、先生はボトルごとカヴァを一気に飲む。その反応から先生もフランスやスペインと同じ関係なんだろうなぁと思い、イギリスへの心配が募る。彼は同年代の友人はいるのだろうか？
「ところでお前は何でこんな所に一人でいるんだ？」
「スペインのいえによってかえるときにね、ここのごはんがおいしーのとゆーひがきれーっていうのをおしえてもらったらからよってみたの」
「へぇ、お前一人でねぇ……イギリスも丸くなったんだな」
先生はしみじみと呟く。
「うーん、なんかね、さいきんイギリスはいそがしーみたいだから、あたしがかわりにぜんぶするの！」
「あー、そうか、それでか……いや、お前は頑張ってるな、偉いぞ」
先生は少し悲しそうな笑みを浮かべて、あたしの頭をポンポンと撫でた。