足に感じた衝撃。
「……あ？」
どこかのガキがぶつかったようだ。
「おいおい、迷子か？」
「まいごじゃないもん！さっきからよんでたのに、せんせーがきづいてくれなかったもん！」
「……え？」
――――そんな馬鹿な、なんでこいつがここにいるんだ？
毛先に軽くウェーブが掛かったブロンドの髪。それにシーグリーンの瞳。あの時、フランスの家で会ったあのガキが。
「せんせー！どーしてここにいるの？」
「……いやいや、それはこっちの台詞だ。お前何してんだ？」
あの時より少し成長したのか、喋り方は前よりはしっかりしている。見た目は五歳程度といった所か。
「はまべでごはんでもたべよーとおもって、やたいをまわってたの！」
確かにこいつの右手にはカヴァのボトルが握られている。一般人からしてみればどこからどう見ても、お使い帰りの子供だ。その酒をこいつが飲むなんてのは想像出来ない。
「……お前一人なのか？」
「うん、そーだよ」
俺は思わず頭を抱える。今日は夜の街に繰り出そうと予定を立てていたが、それは変更。
「ふぉおっ！？せんせー、どーしたの！？」
「うるせぇーよ、今から俺様がお前に付き合ってやるだけだ」
そう言って俺の腕の中で目を白黒させる。
「感謝しろよ――――パトリア」