いくら太陽の沈まない国という言葉があっても、それはあくまで例えだ。沈みゆく夕日は、とても綺麗。
「うん、よってみてよかった」
スペインの家から帰る時、彼がオススメの場所を教えてくれた。小さな島でそこは夕日がとても綺麗な場所。丁度帰る航路だったので寄ってみたけれど、こんな素晴らしいスポットを教えてくれたスペインに感謝をしなければならない。
「せっかくだからカヴァでものんでかえろーかな」
お酒は好きだ。酔うという感覚はとても幸せな気持ちにさせてくれる。けれど残念な事に今のあたしの姿ではお店でお酒は出してくれない。
「おにーさん、カヴァをいっぽんちょーだい」
「お嬢ちゃん、お使いなん？遅くならんうちに帰るんやで」
「うん、ありがとー！」
こうやって、お使い帰りの子供として買うのは可能だが。海辺で飲もうと思い、足を進める。向かう途中にある露店やお店からは楽しい声が聞こえる。お店に入って美味しいご飯を食べたいが、この姿では色々と不振に思われてしまう。
「あたしもはやくおとなにならないかなー」
不満を言いつつ、露店で美味しいそうな料理を見繕う。その時、ふと足を止めてしまった。
――――いや、まさか。
その人物をゆっくりと目で追う。あの銀髪に赤紫の瞳。あたしがあの人物を見間違う訳がない。理解した瞬間には駆け出していた。
「――――せんせぇっ！」