「ふぉぉおぉっ、ふかふかー！」
あたしは白いふかふかのベットに飛び乗る。
「もー、寝る前にはしゃいでどないするん」
あたしの行動にスペインは苦笑する。
「明日はサラマンカ大学に行くんやろ？今日はゆっくり寝んと、朝起きられんで」
そういって灯りを消し、ベットの中に入るスペイン。ベットの中で久しぶりに感じる人肌。誰かと一緒に寝るのなんか久しぶりだ。
「ねー、しゅぺいん。おはなしして」
「うん？なら罪滅ぼしをした男の話でもしたろか？昔々スペインの田舎町にな、ほんま働き者の娘がおったんよ。その娘はお金持ちの家で働いとってな、一生懸命にお金を貯めとってん。それでな――――」
あたしはスペインのお話に耳を傾ける。初めて聞く物語に聞き入ってみるが、事の顛末は恐ろしい物語だ。
「……ばっどえんど？」
「えー、ハッピーエンドちゃう？」
娘を殺した事を男はそれを隠し通し、普通に暮らそうとするが、結局はばれてしまい処刑されるというお話である。働き者の娘さんがお金の為に殺された時点で、ハッピーエンドにはならないだろう。
「いんがおーほー？」
「難しい言葉知っとるやん。せやな、悪い事したら報いを受けますよー、言う戒めやな」
あたしの頭を撫でながらスペインは笑う。
「あー、ホンマパトリアは可愛いなぁ。ロマーノの昔のパジャマもぴったりやし――――」
スペインの言葉を遮るように、大きな音が響いた。ドンドンと何かを叩くような音。
「うわぁ、何なん、こんな遅くに……もー勘弁してやぁ」
ぶつぶつと文句を言いながらスペインは立ち上がる。ちらりとあたしの方を確認して、一人にするのが不安なのか抱き抱えられる。
「られー？」
「さぁ、お隣さんやろか？」
スペインに抱っこをされたまま質問をしてみるが、スペイン自身見当がついていない様子。
「はいはい、こんな遅くにどちらさんですかー？」
玄関に立ち、ドアをゆっくりと開けるスペイン
「――――げっ……」
相手を見た瞬間、顔を思い切りしかめた。