「どうや、パトリア！」
「しゅっごい！！おっきーふねがいっぱいある！！」
辺りは木材や鉄が運び込まれる造船所。あたしの国の皆も、初めて見る大型造船技術に興味津々だ。
「ねー、つぎはあっちみたい！」
「ほらほら、あんま走ったらあかんて、転んでまうやろ」
駆け出すあたしを後ろから静止するスペイン。
「でも、しゅぺいん……ほんとーにいいの？」
「あぁ、別に構わんで」
あたしは気になった事を質問してみたが、スペインは軽い調子で答えた。先ほどのスペインの反応はあまりイギリスとは仲が良くないような反応だった。イギリスの妹にあたるあたしに、スペイン船の造船を見学させてもらって良いのだろうか？
「まぁ、せやな……ほな、こっちもお願いがあるんやけど、今度パトリアの家に遊びに行っても構わん？」
ここで彼からの提案。スペインの造船技術と引き換えにあたしの家に通行許可。イギリスは怒るかもしれないが、助けてもらったお礼を差し引いても安い買い物だ。
「うん、いいよー！あそびにきてー！」
あたしは彼の言葉に快く答える。
「ねー、しゅぺいん。もしじかんがあったらね、さらまんからいがくにいってみたいの！」
「おっ、パトリアはよう知っとんなぁ。ほんまロマーノも見習ってほしいわ。」
あたしを抱き上げ、肩に乗せるスペイン。
「まぁ、それはまた明日な。そろそろ日も暮れてきたし、俺がスペイン料理をご馳走したるわ」
「たべるっ、しゅぺいんりょーりたのしみ！」
あたしはスペインの提案に目を輝かせてしまう。
「へぇ、パトリアはイギリスの所やから料理には興味無いんかと思っとったわ」
確かにスペインの言う通り、フランスに料理という物を教えてもらうまではそうだった。食事とは栄養を摂取するものだと思っていたが、それは違ったのだ。食感を楽しみ、美味を堪能する。それを知ってから、食事というものが楽しくてしょうがない。
「ほな、今日は腕によりを掛けて旨いもん作らなあかんなぁ」