潮江文次郎
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パチンパチンと算盤を弾く音が部屋に響く。その音が規則正しければ正しい程、夢の中へと近付いていく。
「……文次郎先輩、意識が飛びそうです」
「飛ばすな、そして手の動きも止めるな」
目線は算盤のままなのに、何故かあたしの手が止まっている事を指摘される。
「話してないと飛んじゃいます」
「なら手を動かしつつも、喋ってろ」
「話し相手になってくれますか?」
ここで先輩がやっと顔を上げた。
「今でもなってるだろうが、バカタレが。とっとと話すなら話せ」
相変わらず眉間に皺が寄ってるし、隈が濃い。
「それじゃぁ、質問です。惚れ薬って見た事ありますか?」
「――――はぁ?」
「今度は文次郎先輩の手が止まってますよ」
指摘された事に軽く舌打ちをして手を動かす先輩。
「なんだ、千代。惚れた男でもいるのか?」
「違いますよ」
からかうような口調の先輩を一蹴する。
「くのたまの下級生が欲しがってるようなんです。だから作ってプレゼントしてあげようかなぁと思って。ただ、そこである問題が発生したんですよ」
「問題?」
「はい、そうです。惚れ薬って噂で聞いた事があっても、実際に見た事がありません。それに薬学書で探しても存在しないんですよ。媚薬とか催淫剤とかはいっぱいあるんですけどね」
あたしの言葉に先輩は記憶を辿っているのか少し考え込む。
「……確かに、話に聞いた事があっても見た事は無いな」
「まぁ、普通に考えたらそうですよね。惚れ薬は媚薬と違って、好き嫌いの感情をコントロールさせるものですから」
「じゃぁ、作るのを諦めたのか?」
先輩の言葉にあたしは首を振る。
「まだ構想段階なんですけどね……よく恋愛をすると胸の高鳴りや動機が早くなるっていうのを聞きませんか?」
「まぁ、そうだな。この前、くのたまの一年が仙蔵を見て、キュンキュンするって言ってたな」
確かにくのたまの下級生の間では立花先輩は人気である。
「そうなんですよ。その現象を医学的にいうと、ある神経から細胞に特殊な物質が放出されるからです。それを放出されると人間は興奮をします。するとその興奮が自律神経から全身に連絡をされます。つまり心臓に伝わると鼓動が早くなり胸がドキドキしますし、顔に伝わると頬が赤くなったり、目が潤んだり。これは恋愛特有の症状です」
今度は少し意味が分かってないようだが、先輩は相槌を打つ。
「そこで考えた結果、薬でその恋愛特有の症状を引き起こす事は出来ないかと」
先輩は少し訝しげな表情を浮かべた。
「出来るのか?いくらお前でも難しいんじゃないのか?」
「うーん、ちょっと実験してみないと分かんないんですよね。なので、今日はそろそろ切り上げ――――」
「却下だ」
うわぁ、即答された。
「……文次郎先輩、意識が飛びそうです」
「飛ばすな、そして手の動きも止めるな」
目線は算盤のままなのに、何故かあたしの手が止まっている事を指摘される。
「話してないと飛んじゃいます」
「なら手を動かしつつも、喋ってろ」
「話し相手になってくれますか?」
ここで先輩がやっと顔を上げた。
「今でもなってるだろうが、バカタレが。とっとと話すなら話せ」
相変わらず眉間に皺が寄ってるし、隈が濃い。
「それじゃぁ、質問です。惚れ薬って見た事ありますか?」
「――――はぁ?」
「今度は文次郎先輩の手が止まってますよ」
指摘された事に軽く舌打ちをして手を動かす先輩。
「なんだ、千代。惚れた男でもいるのか?」
「違いますよ」
からかうような口調の先輩を一蹴する。
「くのたまの下級生が欲しがってるようなんです。だから作ってプレゼントしてあげようかなぁと思って。ただ、そこである問題が発生したんですよ」
「問題?」
「はい、そうです。惚れ薬って噂で聞いた事があっても、実際に見た事がありません。それに薬学書で探しても存在しないんですよ。媚薬とか催淫剤とかはいっぱいあるんですけどね」
あたしの言葉に先輩は記憶を辿っているのか少し考え込む。
「……確かに、話に聞いた事があっても見た事は無いな」
「まぁ、普通に考えたらそうですよね。惚れ薬は媚薬と違って、好き嫌いの感情をコントロールさせるものですから」
「じゃぁ、作るのを諦めたのか?」
先輩の言葉にあたしは首を振る。
「まだ構想段階なんですけどね……よく恋愛をすると胸の高鳴りや動機が早くなるっていうのを聞きませんか?」
「まぁ、そうだな。この前、くのたまの一年が仙蔵を見て、キュンキュンするって言ってたな」
確かにくのたまの下級生の間では立花先輩は人気である。
「そうなんですよ。その現象を医学的にいうと、ある神経から細胞に特殊な物質が放出されるからです。それを放出されると人間は興奮をします。するとその興奮が自律神経から全身に連絡をされます。つまり心臓に伝わると鼓動が早くなり胸がドキドキしますし、顔に伝わると頬が赤くなったり、目が潤んだり。これは恋愛特有の症状です」
今度は少し意味が分かってないようだが、先輩は相槌を打つ。
「そこで考えた結果、薬でその恋愛特有の症状を引き起こす事は出来ないかと」
先輩は少し訝しげな表情を浮かべた。
「出来るのか?いくらお前でも難しいんじゃないのか?」
「うーん、ちょっと実験してみないと分かんないんですよね。なので、今日はそろそろ切り上げ――――」
「却下だ」
うわぁ、即答された。