潮江文次郎
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「おい、ちゃんと手を動かせっ!」
そんな声が室内に響くが、その言葉自体に反応は無い。そりゃそうだ、あたし以外にその言葉は届いてないのだから。
「……チッ、鍛練が足りておらん」
「……鍛練とかそんな話じゃないですよ、分かります?」
眉間に寄った皺はさらに深く刻まれた。
「佐吉は筆を持ったまま固まってるし、団蔵は目を開けたまま寝てる。左門は魂が抜けてるし、三木は真っ白になってる」
潮江先輩はあたしの言葉に深く溜息を吐いた。
「それにお前に至ってはヤル気が無い、と」
「ヤル気とかそんな話じゃないです。さっきからあたしの言いたい事が分かりませんか?」
今度はあたしが溜息を吐く番だ。
「三徹で帳簿合わせとか無理ですよ!!」
「無理ではない!気合が足りんだけだっ!」
「気合でどうにかなるんだったら、世の中みんな不眠不休で生きていけますよ!!このバカッ!!」
潮江先輩のこめかみにピキピキッと青筋が走った。
「ほぉ、先輩に向かってバカとはなんだ、バカとは」
普段だったらあたしもここまで言わないが、寝不足のせいでか歯止めが聞かない。
「後輩にバカって言わすような先輩に、問題が有ると思いますけどねぇ」
「良い度胸だ。よーし、おいっ!お前ら起きろ!」
潮江先輩の大きな怒声に後輩達の意識は戻ってきた。
「本来であれば帳簿が合うまで続けるが、今の状態では合うものも合わん!!今日は各自今から寝て、明日に備えるように!!」
「ほ、本当ですか!?」
潮江先輩に目を輝かせる団蔵。残念ながらその目の下には濃い隈がある。
「二度も言わせるな、とっとと長屋に戻って寝るように」
潮江先輩の気が変わる前にと慌てて片付けをする後輩達。そんな後輩達に遅れを取らぬよう、あたしも立ち上がる。
「――――望月、お前は俺と一緒に朝までだ」
「……はっ?」
あたしの動きはピタリと止まった。
「だからお前は居残りだ」
「いやいや、意味が分かりません」
あたしが居残り?
『潮江先輩、千代先輩!お疲れ様でした!』
「ストォォオップ、団蔵!?佐吉!?左門!?」
三人はあたしの言葉に振り向きもせず、部屋から飛び出した。あっ、あいつら逃げやがった…!慌てて振り返ると三木と目が合う。目が合った瞬間、全力で逸らされた!数秒続いた沈黙。それを先に破ったのは三木だった。
「……千代先輩っ、すみません!」
「三木っ、こらっ、逃げるな!」
「逃げようとしているのはお前だ、バカタレ」
その場から全力で走り去った三木を追いかけようとするが、後ろから襟首をがっしりと掴まれる。それでもあたしはジタバタしながらも前に進もうとするが、苦しくなって断念した。
「気が済んだなら、とっとと続きを始めるぞ」
「……済んでないないから、始めないです」
「お前はガキか、バカタレ」
そんな声が室内に響くが、その言葉自体に反応は無い。そりゃそうだ、あたし以外にその言葉は届いてないのだから。
「……チッ、鍛練が足りておらん」
「……鍛練とかそんな話じゃないですよ、分かります?」
眉間に寄った皺はさらに深く刻まれた。
「佐吉は筆を持ったまま固まってるし、団蔵は目を開けたまま寝てる。左門は魂が抜けてるし、三木は真っ白になってる」
潮江先輩はあたしの言葉に深く溜息を吐いた。
「それにお前に至ってはヤル気が無い、と」
「ヤル気とかそんな話じゃないです。さっきからあたしの言いたい事が分かりませんか?」
今度はあたしが溜息を吐く番だ。
「三徹で帳簿合わせとか無理ですよ!!」
「無理ではない!気合が足りんだけだっ!」
「気合でどうにかなるんだったら、世の中みんな不眠不休で生きていけますよ!!このバカッ!!」
潮江先輩のこめかみにピキピキッと青筋が走った。
「ほぉ、先輩に向かってバカとはなんだ、バカとは」
普段だったらあたしもここまで言わないが、寝不足のせいでか歯止めが聞かない。
「後輩にバカって言わすような先輩に、問題が有ると思いますけどねぇ」
「良い度胸だ。よーし、おいっ!お前ら起きろ!」
潮江先輩の大きな怒声に後輩達の意識は戻ってきた。
「本来であれば帳簿が合うまで続けるが、今の状態では合うものも合わん!!今日は各自今から寝て、明日に備えるように!!」
「ほ、本当ですか!?」
潮江先輩に目を輝かせる団蔵。残念ながらその目の下には濃い隈がある。
「二度も言わせるな、とっとと長屋に戻って寝るように」
潮江先輩の気が変わる前にと慌てて片付けをする後輩達。そんな後輩達に遅れを取らぬよう、あたしも立ち上がる。
「――――望月、お前は俺と一緒に朝までだ」
「……はっ?」
あたしの動きはピタリと止まった。
「だからお前は居残りだ」
「いやいや、意味が分かりません」
あたしが居残り?
『潮江先輩、千代先輩!お疲れ様でした!』
「ストォォオップ、団蔵!?佐吉!?左門!?」
三人はあたしの言葉に振り向きもせず、部屋から飛び出した。あっ、あいつら逃げやがった…!慌てて振り返ると三木と目が合う。目が合った瞬間、全力で逸らされた!数秒続いた沈黙。それを先に破ったのは三木だった。
「……千代先輩っ、すみません!」
「三木っ、こらっ、逃げるな!」
「逃げようとしているのはお前だ、バカタレ」
その場から全力で走り去った三木を追いかけようとするが、後ろから襟首をがっしりと掴まれる。それでもあたしはジタバタしながらも前に進もうとするが、苦しくなって断念した。
「気が済んだなら、とっとと続きを始めるぞ」
「……済んでないないから、始めないです」
「お前はガキか、バカタレ」