「なぁなぁ、望月ってどんな奴なんだ？」
わくわくした様子の小平太に伊作、文次郎、長次は考え込む。
「……態度とかは鉢屋みたいな野郎だ」
「野郎はおかしいでしょ、女の子なんだから」
少し考えて口を開いた文次郎に、伊作はツッコミを入れる。
俺達からしてみれば、鉢屋みたいな女は勘弁だ。
「なぁ、長次。他に特徴は？」
「……よく笑っている、表情が豊か」
筋骨隆々で鉢屋みたい態度。そのイメージで笑うとなれば、崖の上とかで高笑いをしている姿しか思い浮かばない。
「……お、恐ろしいくのたまだな」
多分同じ想像をした仙蔵がポツリと呟いた。
「えー、そんな事ないよ？？可愛い女の子だよ」
「そうか？あの溺れてる形相は女の面とは思えなかったぞ」
「そりゃ、溺れてる表情が可愛かったから化け物だよ。大体、溺れさせたのは文次郎でしょう」
その言葉から再度伊作の説教が始まった。
「会ってみたいなー、どんな奴なんだろう？」
俺達とは裏腹に小平太は興味津々で言う。
「会っても良い事ねぇぞ……さっ、俺は食い終わったし、三木衛門に用事があるから先に行くぞ」
「あっ、こらっ、文次郎！？まだ話は終わってないよ！」
伊作の言葉を無視して、朝食を掻き込んだ文次郎はその場から飛び出すようにして逃げ出した。