食満留三郎
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白煙の中から飛び出したのは望月。綺麗に塀の上に着地する。
「おい、あれを見ろ!」
仙蔵の目線は背を向けた望月の右手に握られている絵巻物。
「えっ、留三郎から奪ったの!?」
伊作が驚きの声を上げるが、皆も同じ事を思っている。
「……千代の奴、本当にやったのか」
鉢屋でさえ驚きの表情を隠せない。
「……とっ、留三郎!!」
小平太が白煙の中に向かって叫ぶ。ゆっくりと晴れていく白煙。そこには呆然と立ち尽くす留三郎の姿が。あいつは小平太の声に微動だにしない。
「……伊作、毒か?」
「いや、見た所そんな様子じゃ無さそうだけど……それに留三郎だって千代ちゃんの毒剣には十分警戒しているはずだよ」
長次の言葉に答える伊作。確かに伊作の言う通りだ。俺達は一度あいつの被害を受けた小平太を見ている。留三郎がそれに注意を払わない訳がない。
「――――毒でも薬でもありませんよ」
そう言いながら望月がゆっくりと俺達の方へ振り返る。 月を背に浮かべてこちらを見下ろす望月は、いつもより少し大人びて見えた。
「おい、大丈夫か!?留三郎!!」
二回目の小平太の声にやっと留三郎がピクリと反応した。けれどそのままその場にしゃがみ込み、右手で顔を覆い隠す。その不可解な行動に俺達は顔を思わず見合わせた。
「すみませんね、食満先輩」
望月は少しバツの悪そうな顔をしつつ、しゃがみ込んでいる留三郎に塀の上から声を掛けた。
「でも学園長がよく言っていませんか?」
右手でくるくると絵巻物を回しながら、いつもの調子で話しを続ける。
「兵法にとって大事なのは、敵に先を読ませぬ意外性であるって」
確かにその言葉は学園長がよく言っている台詞である。その言葉から察すれば、留三郎は何か突拍子も無い事をされてあの状態に陥った訳となる。
――――あいつは、何をしたのか?
「……もう何も言うな、俺の負けだよ」
留三郎はそう言いながら立ち上がった。今度は右手で口元を覆っている。
「おい、留三郎!何があったんだ!?」
俺の方をチラリと見るが、何も言わず直ぐに目を逸らした。白煙の中で何があったのか俺達には分からない。そしてその様子からして留三郎は俺達に何があったのかを語るつもりは無いのだろう。一呼吸してから望月の方へと振り返る留三郎。
「まさか、そんな手で来るとは思わなかったぜ」
「いやぁ、こんな手を使うのは最初で最後ですよ」
そう言って望月は少し困ったような笑みを浮かべた。つかの間の静寂。心地良い夜風が辺りへ吹き抜ける。その静寂を破ったのは留三郎。
「……あぁ、他の奴らには絶対するなよ」
一瞬だけ驚いた表情を浮かべた望月。そして、いつもみたいにヘラヘラと笑った。
「――――はい、分かりました」
「おい、あれを見ろ!」
仙蔵の目線は背を向けた望月の右手に握られている絵巻物。
「えっ、留三郎から奪ったの!?」
伊作が驚きの声を上げるが、皆も同じ事を思っている。
「……千代の奴、本当にやったのか」
鉢屋でさえ驚きの表情を隠せない。
「……とっ、留三郎!!」
小平太が白煙の中に向かって叫ぶ。ゆっくりと晴れていく白煙。そこには呆然と立ち尽くす留三郎の姿が。あいつは小平太の声に微動だにしない。
「……伊作、毒か?」
「いや、見た所そんな様子じゃ無さそうだけど……それに留三郎だって千代ちゃんの毒剣には十分警戒しているはずだよ」
長次の言葉に答える伊作。確かに伊作の言う通りだ。俺達は一度あいつの被害を受けた小平太を見ている。留三郎がそれに注意を払わない訳がない。
「――――毒でも薬でもありませんよ」
そう言いながら望月がゆっくりと俺達の方へ振り返る。 月を背に浮かべてこちらを見下ろす望月は、いつもより少し大人びて見えた。
「おい、大丈夫か!?留三郎!!」
二回目の小平太の声にやっと留三郎がピクリと反応した。けれどそのままその場にしゃがみ込み、右手で顔を覆い隠す。その不可解な行動に俺達は顔を思わず見合わせた。
「すみませんね、食満先輩」
望月は少しバツの悪そうな顔をしつつ、しゃがみ込んでいる留三郎に塀の上から声を掛けた。
「でも学園長がよく言っていませんか?」
右手でくるくると絵巻物を回しながら、いつもの調子で話しを続ける。
「兵法にとって大事なのは、敵に先を読ませぬ意外性であるって」
確かにその言葉は学園長がよく言っている台詞である。その言葉から察すれば、留三郎は何か突拍子も無い事をされてあの状態に陥った訳となる。
――――あいつは、何をしたのか?
「……もう何も言うな、俺の負けだよ」
留三郎はそう言いながら立ち上がった。今度は右手で口元を覆っている。
「おい、留三郎!何があったんだ!?」
俺の方をチラリと見るが、何も言わず直ぐに目を逸らした。白煙の中で何があったのか俺達には分からない。そしてその様子からして留三郎は俺達に何があったのかを語るつもりは無いのだろう。一呼吸してから望月の方へと振り返る留三郎。
「まさか、そんな手で来るとは思わなかったぜ」
「いやぁ、こんな手を使うのは最初で最後ですよ」
そう言って望月は少し困ったような笑みを浮かべた。つかの間の静寂。心地良い夜風が辺りへ吹き抜ける。その静寂を破ったのは留三郎。
「……あぁ、他の奴らには絶対するなよ」
一瞬だけ驚いた表情を浮かべた望月。そして、いつもみたいにヘラヘラと笑った。
「――――はい、分かりました」