「ぶっ、ちょっ、その恰好！！」
俺は堪え切れずに噴き出した。
「……笑うな」
「そうだよ、こっちは大変だったんだから」
学園に戻ってきて最初に出会ったのは、黒こげになった仙蔵と、泥まみれの伊作だった。
「いやっ、すまねぇな……その、ちょっとインパクトが強くて、ぷっ……ぶふっ……」
俺の言葉にますます顔を歪める仙蔵。
「てか、何でそういう事になったんだよ？」
笑いの波も一通り去った後、俺は質問を投げた。
「鉢屋と久々知にやられた」
「といっても、実際は君の委員会の一年生達だからね」
―――用具委員会の一年生？
一瞬にして合点がいった。理解したと同時に、再度笑いが込み上げる。
「笑うなっ、留三郎！！」
「いや、仙蔵……本当、喜三太としんべヱに弱いよな」
事細やかに聞かなくても大まかな流れは把握した。まず伊作と仙蔵の相手が、鉢屋と久々知だったこと。その五年生の二人が出した作戦が、喜三太としんべヱだった事。そして二人が負けて、絵巻物を取られた事。何故か一年は組の用具委員と仙蔵の相性は最悪だ。こればかりはどうしようもない。
「……まぁ、災難だったな。それと、他の奴らは？」
「あいつらか？？あの二人なら―――楽しそうにやり合ってるぞ」
俺の言葉に、仙蔵は少し不満そうに答えた。