1章
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5日後
緋龍城では16になるヨナの誕生日祝いの宴が行われた
「うっうっう、16かっ。ヨナも立派になったなぁ」
イルはヨナの姿に感動し、涙した。
「父上、やっぱり髪がハネるのよ。今日は結い上げたかったのに。ヒドイわ」
「駄目だ、この娘。髪の事しか頭にない」
ヨナは自分の髪を手でクルクル触りながら、不貞腐れる。
髪のことしか考えていないヨナを見て、イルはこう垂れるしかなかった。そして、祝いに来てくれた人達への挨拶をするようヨナに言い立ち去った。
挨拶回りに行く前にカナはヨナに木箱を渡す。
『姫様、僭越ながらこれは私からの誕生日プレゼントです』
「これは…、髪紐?」
木箱の中には、黄色の組紐が入っていた。
『それは組紐というものだそうです。黄色は赤をより美しく見せることができる色だと知りましたので、私の好きな姫様の赤い髪を結うのにいいかと思いまして。それに、腕などにつけて装飾品としても使える物みたいですので、よかったら使ってください』
「嬉しい、ありがとうカナ。大切に使うわ」
『はい、誕生日おめでとうございます、ヨナ姫様』
その後、ヨナとヨナの付き添いとして共にいるカナは挨拶回りをしていた。
『姫様、スウォン様があちらにいらっしゃいますよ』
カナはスウォンがいる事に気づき、ヨナに伝える。
それを聞いたヨナは、身だしなみを整えてからスウォンの所へ駆けていった。
少し顔を赤らめながら行くヨナを、カナは微笑ましげに眺めていた。そんなカナの隣に外から戻ってきたハクが来た。
「姫さんに、プレゼントは渡せたのか?」
『うん、渡せたよ。嬉しいって喜んでくれた!』
ハクの方へ向いたカナの表情は、ニカッと歯を見せて笑っていた。
『ハクは、姫様に何か渡すの?』
「俺は特に考えてねぇな」
『好きな女の子の誕生日なんだから、用意ぐらいすればよかったのにー』
「うっせ」
カナはニヤリと笑いハクを揶揄うが、ハクはそっぽを向いてしまった。
2人の話が終われば、自然とヨナとスウォンの会話が聞こえてくる。何も言わずに2人はヨナ達の所へ歩く。
「…私の髪、くせっ毛で赤毛でちっともまとまらないのよ。私には似合わないわ」
「えっ、私は好きですよヨナの髪。キレイな紅……暁の空の色です」
ヨナは今まで自分の髪を好きにはなれなかった。だけどスウォンという好きな人に、また小さい頃からずっと姉のように慕っているカナに、自分の髪は綺麗だと、好きだと言われ初めて赤い髪を愛おしく思ったのだ。
いつの間にかヨナとスウォンの間に、ハクとカナがいた事をヨナ達は驚く。
「ハク、カナ!?」
「陛下が探してましたよ、姫様」
「も〜、あの酔っ払いは」
『姫様、私も一緒に行きます』
「大丈夫よ!私からも父上に話したいことあるし」
ハクからイルが探していたと聞いたヨナは、文句を言いながらも早足に部屋から出ていった。
そんなヨナに着いて行こうとカナは言ったが、大丈夫だと断られた。
「…ま、こんな事だろうと思ってました」
『隅に置けませんね、スウォン様』
「えっ」
「スウォン様なら陛下を説得できるでしょう。頑張ってください」
「誤解だよ、ハク、カナ。それに、敬語やめない?
昔みたいにスウォンって呼んでよ」
「身分はわきまえてますから」
『そうですね、幼少期ならまだしも、今は立場というものがありますから…』
もう呼ばれることはないのだと、スウォンは少し落ち込んだ。
「淋しいなぁ、ハク将軍にカナ副将軍」
「それより、何か感じませんか?スウォン様。はっきりとは言えないけど、妙な違和感…。城内に何か入り込んでいるような」
『やっぱり、ハクも感じる?ここ最近、なんか変なんだよね…』
「そういえばヨナもそんな事を言っていた」
「何…っ」
「今日出入りする人間を見張った方が良いかもな」
「『了解』」
「スウォン様は姫を頼んます」
『私達は見回り行ってきますので、お願いしますね』
「だから誤解だってば」
その夜、ヨナはもう一度ちゃんと話せばスウォンのことを分かってもらえると、イルの所へ向かう。宴会が終わり、辺りが静かな道を歩いてイルの部屋の前に着いた。部屋の入口が開いてることに気づき、変に思ったヨナは、いつもは城内に何人も衛兵がいるのにどうして今は衛兵が1人もいないのか、ここに来るまで1人も会わなかったことに疑問を抱く。
「父上…」
扉を開けた先には、誰かがイルを刺している光景が目に映った。
「ひっ…。ち…、父上!?」
倒れたイルに駆け寄るヨナ。
そこにいたのは……
「まだ起きてたんですか、ヨナ姫」
…返り血を浴びたスウォンであった。