twin RED
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あーあ、見つかっちゃった……。
私の今生会いたくないランキング5本の指に入る人物は、いつも嵐のように現れる。
今日は空から降ってきた。
「ーーみーつけたぁっ!」
メインストリートから少し外れた通りを歩いていると目の前が真っ白になった。
髪から靴の先まで全身白。
色の付いている部分はと言えば端正な顔に付いた、赤い両の眼だけだ。
「カノンに会いたくて急いできちゃった」
私は会いたくなかった。
「殺人鬼さんも暇ですね」
推定懲役967年の超S級のアクダマ。
カンサイ一の有名人と言っても過言は無いだろう。
そんな彼に、なんの変哲もない私がどういうわけか急に付き纏われるようになったのだ。
「ねえねえ、今日はなにしよっか!?赤い噴水一緒に見る?赤い雨の中でお散歩!?
カノンと一緒ならどんな場所でも楽しいんだろうな〜〜〜っ」
「いえ、家に帰ります」
そう、彼は私には無害なのだ。
全く何もしてこない、どころか守ってくれる。
しかし彼と居ると人は死に、警察が駆けつけ、私の生活がめちゃくちゃになる。
今は誰にも会わないことを祈りつつ、一刻も早く家へ帰るべきだ。
「え〜〜、つまんないの〜」
そう言いながらもピッタリと私にくっついてくる。
不思議と歩く邪魔にはならないのが不気味だった。
「……殺人鬼さんは、私のことは殺さないんですね」
彼も人の子、寂しさを紛らわす相手は必要ということだろうか。長らくの疑問を口にした。
「んーとね」
殺人鬼さんが立ち止まった。
私も反射的に振り返る。
「これ、見える?」
可愛らしく小首を傾げて左手の小指を見せられた。
「指……ですか?」
「ざーんねん。カノンには見えないかぁ」
どうやら外れたらしい。彼には何が見えているというのだろう。
「僕の指からさ、カノンの指に繋がった赤色の糸が見えるんだぁ。キラキラ〜って光っててね、すっごくキレイなんだよ。
どんなに離れてても切れないんだっ!だからね、いつもこれを辿ってカノンに会いに来てるんだ」
そんな馬鹿な話があってたまるか。
しかしそれを信じれば彼がいつも的確に私の前へ現れることへの説明がつく。
頭の痛くなってきた私は自分の小指を見た。
私には何見えない……。
「そっちじゃなくて、コッチ」
私が見ていたのは右手。殺人鬼さんにパッと左手を掴まれたかと思うと、彼の"赤い糸"が出ている方の小指を私のものと絡められた。
「カノンを殺しちゃうと、きっとこのキレイな糸も切れちゃうと思うんだよね」
「死にたくはないけど君と私を繋ぐ糸とやらは切れて欲しいです」
「あ、ひどーい!
……君とのこの糸は切れさせないし、殺さないから。カノンが危ない時も必ず助けに来るよ」
急にスイッチが切り替わるかのように、その顔から無邪気さは消えて真顔になる。かと思うと、
「はいっ!ゆーびきーりげーんまんっ♪」
また底無しの無邪気さに戻る。
この人一体いくつだっけ……。
「できれば私といる時は人殺しもやめていただきたいです」
それがなければ他は我慢できるのに。
「それは約束できないなぁ……」
口を尖らせて繋いだ小指を解く彼。
「だったらもう来ないでください」
「わかった!わかったよお〜!ーーでも、そのかわり」
ちゅ、と口元で音を立てた。
不慣れな感覚に全身が硬直する。
「ご褒美、貰うからね?」
カノンの唇ってマシュマロみたいにふわふわだあ〜!とはしゃぐ彼。
私はいよいよ観念した。
どうか繋がれた赤い糸が、運命の糸とやらでないことを祈って。
end.
私の今生会いたくないランキング5本の指に入る人物は、いつも嵐のように現れる。
今日は空から降ってきた。
「ーーみーつけたぁっ!」
メインストリートから少し外れた通りを歩いていると目の前が真っ白になった。
髪から靴の先まで全身白。
色の付いている部分はと言えば端正な顔に付いた、赤い両の眼だけだ。
「カノンに会いたくて急いできちゃった」
私は会いたくなかった。
「殺人鬼さんも暇ですね」
推定懲役967年の超S級のアクダマ。
カンサイ一の有名人と言っても過言は無いだろう。
そんな彼に、なんの変哲もない私がどういうわけか急に付き纏われるようになったのだ。
「ねえねえ、今日はなにしよっか!?赤い噴水一緒に見る?赤い雨の中でお散歩!?
カノンと一緒ならどんな場所でも楽しいんだろうな〜〜〜っ」
「いえ、家に帰ります」
そう、彼は私には無害なのだ。
全く何もしてこない、どころか守ってくれる。
しかし彼と居ると人は死に、警察が駆けつけ、私の生活がめちゃくちゃになる。
今は誰にも会わないことを祈りつつ、一刻も早く家へ帰るべきだ。
「え〜〜、つまんないの〜」
そう言いながらもピッタリと私にくっついてくる。
不思議と歩く邪魔にはならないのが不気味だった。
「……殺人鬼さんは、私のことは殺さないんですね」
彼も人の子、寂しさを紛らわす相手は必要ということだろうか。長らくの疑問を口にした。
「んーとね」
殺人鬼さんが立ち止まった。
私も反射的に振り返る。
「これ、見える?」
可愛らしく小首を傾げて左手の小指を見せられた。
「指……ですか?」
「ざーんねん。カノンには見えないかぁ」
どうやら外れたらしい。彼には何が見えているというのだろう。
「僕の指からさ、カノンの指に繋がった赤色の糸が見えるんだぁ。キラキラ〜って光っててね、すっごくキレイなんだよ。
どんなに離れてても切れないんだっ!だからね、いつもこれを辿ってカノンに会いに来てるんだ」
そんな馬鹿な話があってたまるか。
しかしそれを信じれば彼がいつも的確に私の前へ現れることへの説明がつく。
頭の痛くなってきた私は自分の小指を見た。
私には何見えない……。
「そっちじゃなくて、コッチ」
私が見ていたのは右手。殺人鬼さんにパッと左手を掴まれたかと思うと、彼の"赤い糸"が出ている方の小指を私のものと絡められた。
「カノンを殺しちゃうと、きっとこのキレイな糸も切れちゃうと思うんだよね」
「死にたくはないけど君と私を繋ぐ糸とやらは切れて欲しいです」
「あ、ひどーい!
……君とのこの糸は切れさせないし、殺さないから。カノンが危ない時も必ず助けに来るよ」
急にスイッチが切り替わるかのように、その顔から無邪気さは消えて真顔になる。かと思うと、
「はいっ!ゆーびきーりげーんまんっ♪」
また底無しの無邪気さに戻る。
この人一体いくつだっけ……。
「できれば私といる時は人殺しもやめていただきたいです」
それがなければ他は我慢できるのに。
「それは約束できないなぁ……」
口を尖らせて繋いだ小指を解く彼。
「だったらもう来ないでください」
「わかった!わかったよお〜!ーーでも、そのかわり」
ちゅ、と口元で音を立てた。
不慣れな感覚に全身が硬直する。
「ご褒美、貰うからね?」
カノンの唇ってマシュマロみたいにふわふわだあ〜!とはしゃぐ彼。
私はいよいよ観念した。
どうか繋がれた赤い糸が、運命の糸とやらでないことを祈って。
end.
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