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つう、と本の縁を撫でる。古くなった本の甘い香りが鼻腔をくすぐった。
「__あ。」
左手の人差し指の腹が真っ直ぐ切れて、赤い点を浮かべている。どこか甘美にも見えるその光景は、痛みをも押し退け、私を釘付けにした。
「ナマエ」
掠れるような声が聴こえて、す、と左手首を掴まれる。指を追って見上げると、そこには白いマスク。
「…マイケル。…ね、手、はなして。だめ?」
返事は帰ってこない。ただ、手を離す気もないようだ。表情のないマスクが、どこか不機嫌なように見えた。
「…マイケル、怒ってる?」
する、と手を離される。この感じは、多分怒ってる。でも、何故?何か怒らせるようなことをしてしまっただろうか。
離された手を見つめる。傷口が空気に触れて、じわりと痛みが広がっていく。もしかして、この傷のせいなのかな。でも、こんなに小さな傷で怒るかな。
ぎい。
彼の体を受け、ソファが沈む。反射的に彼の方に目をやると、その手には絆創膏が握られていた。
彼の大きな左手が、目の前に差し出される。一瞬その意味を考えて、ああ、貼りたいのか、と、左手をその上に差し出す。
ぺり、と紙が離れ、肌と似た色の絆創膏が顔を出す。もう一枚、絆創膏についている紙を剥がすと、ぺた、とガーゼを私の指に当てて、そのまま包んだ。なんで二重になっているんだろう、調べたら出てくるかな、だなんて、意味のないことを考える。
そうこうしているうちに、もう貼り終わったようで、私の手から離れた左手で頭を撫でられる。大きくて、ごつごつしていて、安心できる、彼の手。
「…えへへ。ありがとう、マイケル」
にっこりと微笑むと、優しいハグを返される。彼の匂いが、ふんわりと広がる。本より、ずっと、ずっと、いい匂い。
彼の腕に包まれて、彼とこうしていられて…ああ、私はなんて幸せ者なんだろう。このまま寝ても、彼は許してくれるかな?また、風邪をひいちゃう、って言われるかな。
落ちていく意識の中で、低く、優しい声が聞こえた気がした。
「__もう、怪我しないでね。」
「__あ。」
左手の人差し指の腹が真っ直ぐ切れて、赤い点を浮かべている。どこか甘美にも見えるその光景は、痛みをも押し退け、私を釘付けにした。
「ナマエ」
掠れるような声が聴こえて、す、と左手首を掴まれる。指を追って見上げると、そこには白いマスク。
「…マイケル。…ね、手、はなして。だめ?」
返事は帰ってこない。ただ、手を離す気もないようだ。表情のないマスクが、どこか不機嫌なように見えた。
「…マイケル、怒ってる?」
する、と手を離される。この感じは、多分怒ってる。でも、何故?何か怒らせるようなことをしてしまっただろうか。
離された手を見つめる。傷口が空気に触れて、じわりと痛みが広がっていく。もしかして、この傷のせいなのかな。でも、こんなに小さな傷で怒るかな。
ぎい。
彼の体を受け、ソファが沈む。反射的に彼の方に目をやると、その手には絆創膏が握られていた。
彼の大きな左手が、目の前に差し出される。一瞬その意味を考えて、ああ、貼りたいのか、と、左手をその上に差し出す。
ぺり、と紙が離れ、肌と似た色の絆創膏が顔を出す。もう一枚、絆創膏についている紙を剥がすと、ぺた、とガーゼを私の指に当てて、そのまま包んだ。なんで二重になっているんだろう、調べたら出てくるかな、だなんて、意味のないことを考える。
そうこうしているうちに、もう貼り終わったようで、私の手から離れた左手で頭を撫でられる。大きくて、ごつごつしていて、安心できる、彼の手。
「…えへへ。ありがとう、マイケル」
にっこりと微笑むと、優しいハグを返される。彼の匂いが、ふんわりと広がる。本より、ずっと、ずっと、いい匂い。
彼の腕に包まれて、彼とこうしていられて…ああ、私はなんて幸せ者なんだろう。このまま寝ても、彼は許してくれるかな?また、風邪をひいちゃう、って言われるかな。
落ちていく意識の中で、低く、優しい声が聞こえた気がした。
「__もう、怪我しないでね。」