ソーダ色の帰り道
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じりじりと焼けるような日差しが、グラウンドの土を白く照らしていた。外練習を終えた雷門イレブンは、ようやく解散の空気になり、それぞれ水筒を片手に帰り支度を始めている。
「京ちゃん、大丈夫?」
校門を出たところで、奏音がひょいと顔を覗き込んだ。剣城は片手をポケットに突っ込んだまま、短く息を吐く。
「……別に」
そう返す声に、いつもの鋭さが少し足りない。奏音はじっと剣城の顔を見た。額には汗。白い夏服の襟元は少し開いていて、首筋にも熱の名残が見える。いつもなら姿勢の崩れない剣城が、今日はわずかに肩を落としていた。
「顔赤いよ?」
「暑いだけだ」
「それを夏バテって言うんだよ」
奏音はむうっと頬を膨らませる。剣城は面倒そうに視線を逸らしたが、否定はしなかった。その反応に、奏音は「あっ」と何かを思いついたように目を輝かせる。
「ちょっと待ってて!」
「は?」
返事を聞く前に、奏音は駆け出していた。白い夏服の裾と、横で結んだ髪が軽やかに揺れる。近くのコンビニへ飛び込んでいく背中を、剣城はぼんやり見送った。
「……なんなんだ、あいつ」
小さく呟く。けれど不思議と、追いかけて止めようとは思わなかった。
「お待たせ!」
数分後、元気な声とともに奏音が戻ってきた。その手には、水色のソーダアイスが二本握られている。
「ほら、京ちゃんの!」
「……俺のもあるのかよ」
「当たり前でしょ? 奢りです!」
どん、と胸を張る奏音に、剣城は少しだけ眉をひそめた。
「別にいらねぇって」
「熱中症になったら困るの!」
「……子供扱いすんな」
「してません~これは介護です~」
「誰が要介護だ」
即座に返しながらも、剣城は差し出されたアイスを受け取る。冷気がじわりと手のひらに広がった。奏音は満足そうに笑って、自分のアイスを一口かじる。
「ん~っ、冷た~い!」
その顔があまりにも幸せそうで、剣城は思わず小さく息を漏らした。
「……ガキかよ」
「京ちゃんも食べてみなって!」
急かされるように、剣城は渋々アイスを口に運ぶ。しゃり、と氷が砕ける音。ソーダの甘さと冷たさが、火照った体に染み渡った。思っていたより悪くない。
「……どう?」
隣から期待に満ちた視線が飛んでくる。剣城は少し黙ってから、「……まぁ、普通」とだけ答えた。その瞬間、奏音はぱっと笑顔になる。
「よかった!」
まるで自分のことみたいに嬉しそうな顔だった。剣城はアイスを咥えたまま、ちらりと隣を見る。夏の日差しの中で笑う奏音は、眩しいくらい明るい。暑さで重かったはずの身体が、少しだけ軽くなった気がした。
「……帰るぞ」
「うん!」
二人並んで歩き出す。蝉の声。ソーダアイスの冷たさ。その全部が、やけに夏らしい放課後だった。
「京ちゃん、大丈夫?」
校門を出たところで、奏音がひょいと顔を覗き込んだ。剣城は片手をポケットに突っ込んだまま、短く息を吐く。
「……別に」
そう返す声に、いつもの鋭さが少し足りない。奏音はじっと剣城の顔を見た。額には汗。白い夏服の襟元は少し開いていて、首筋にも熱の名残が見える。いつもなら姿勢の崩れない剣城が、今日はわずかに肩を落としていた。
「顔赤いよ?」
「暑いだけだ」
「それを夏バテって言うんだよ」
奏音はむうっと頬を膨らませる。剣城は面倒そうに視線を逸らしたが、否定はしなかった。その反応に、奏音は「あっ」と何かを思いついたように目を輝かせる。
「ちょっと待ってて!」
「は?」
返事を聞く前に、奏音は駆け出していた。白い夏服の裾と、横で結んだ髪が軽やかに揺れる。近くのコンビニへ飛び込んでいく背中を、剣城はぼんやり見送った。
「……なんなんだ、あいつ」
小さく呟く。けれど不思議と、追いかけて止めようとは思わなかった。
「お待たせ!」
数分後、元気な声とともに奏音が戻ってきた。その手には、水色のソーダアイスが二本握られている。
「ほら、京ちゃんの!」
「……俺のもあるのかよ」
「当たり前でしょ? 奢りです!」
どん、と胸を張る奏音に、剣城は少しだけ眉をひそめた。
「別にいらねぇって」
「熱中症になったら困るの!」
「……子供扱いすんな」
「してません~これは介護です~」
「誰が要介護だ」
即座に返しながらも、剣城は差し出されたアイスを受け取る。冷気がじわりと手のひらに広がった。奏音は満足そうに笑って、自分のアイスを一口かじる。
「ん~っ、冷た~い!」
その顔があまりにも幸せそうで、剣城は思わず小さく息を漏らした。
「……ガキかよ」
「京ちゃんも食べてみなって!」
急かされるように、剣城は渋々アイスを口に運ぶ。しゃり、と氷が砕ける音。ソーダの甘さと冷たさが、火照った体に染み渡った。思っていたより悪くない。
「……どう?」
隣から期待に満ちた視線が飛んでくる。剣城は少し黙ってから、「……まぁ、普通」とだけ答えた。その瞬間、奏音はぱっと笑顔になる。
「よかった!」
まるで自分のことみたいに嬉しそうな顔だった。剣城はアイスを咥えたまま、ちらりと隣を見る。夏の日差しの中で笑う奏音は、眩しいくらい明るい。暑さで重かったはずの身体が、少しだけ軽くなった気がした。
「……帰るぞ」
「うん!」
二人並んで歩き出す。蝉の声。ソーダアイスの冷たさ。その全部が、やけに夏らしい放課後だった。
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