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小学校の時に陽介が風邪をひいたことが何回かあった。
俺が1人で学校へ行く支度をしていく中、母親が忙しなさそうにずっと側で陽介の看病していた。その中でりんごを剥いて、丁寧にすり下ろしている母親の後ろ姿が印象的だった。
羨ましかった。
俺が風邪をひいた時、頭元に粥と、薬と、スポーツドリンクが置いてあった。母親は別室で家の事をしている物音だけを聞いていた。
すり下ろされたりんごは出てこなかった。
1人が寂しかった。
※
ぼうっと目が覚める。頭が…身体が重い。
彼女が心配そうに俺を覗き込んでいた。
「陽くん、顔色悪いよ。熱測る?」そう言ってそっと差し出した体温計を受け取り脇に差し込む。
38.5度と高熱が出ていた。
他人事のように数値を見つめていると彼女がそれを受け取って目を丸くしていた。
「わ、すごい熱。今日お仕事休みで良かった。解熱剤と風邪薬あったかな…持ってくるね。陽くん何か欲しいものある?」
そう少し焦りながら話す彼女を見つめる。俺より小さな手が額、首元と順に触れる。ひんやりと心地良い。
「…りんごが食べたい。すりおろしたやつ」
喉の痛みで掠れた口からふとそんな言葉が出ていていた。子供っぽくて少し恥ずかしいわがままかと思われただろうか。
彼女は優しく微笑んで
「確かりんごあったよ、作ってくるね。ちょっと待ってて」そう言って忙しなく台所へ向かう後ろ姿を見送った。
寝室に家にあった薬と水とすりおろしたりんごを盆に乗せてきた彼女は俺の側に来てベッドサイドテーブルにそれらを並べていく。
「食べられそう?」
「うん…ありがとう」
りんごを口に運ぶと冷たくて身体の熱が冷めるような感覚。
「風邪引いた陽くん、いつもと雰囲気変わるね」
そう解熱剤のシートを片付けながら笑う彼女に、少し笑いながらそうか?と少し口角を上げて話す。"陽くんらしく"しないと。
「スポーツドリンクとかないから買いに行こうか?ゼリーとか」
そう彼女は立ち上がる。
「そばにいて」
気づけば彼女の服の袖を掴んでいた。
ひとりにしないで。
「そんな悲しそうな顔しないで、そばに居るよ」
そう言って髪を撫でてくれる彼女を眺めながら安心感と薬でぼんやりと意識が遠のく。
辛い症状と、悪い夢から遠ざかるように
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