短編
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2月14日、この日は待ちに待っている人は待っているバレンタインデーだ。男たちはソワソワと落ち着かない様子で逆に女の人たちは決意を固めた顔をしたり、そんな日。
私は買い出しに行き屯所に帰るところだった。路上販売の店など目をやりながら歩いていると見覚えがある姿を見かけた。
「あ、さっちゃんさん」
「あら名前、貴方ももしかして…それ」
さっちゃんだ。彼女が私の買い出しの袋を指差す。私はうなずいて袋を開いて見せた。
「チョコレートだよ。真選組のみんなに渡すから業務用の小さめのやつ…というかさっちゃんさんのそれ何?」
彼女は人1人入れそうなポリバケツと…チョコ?溶けたチョコレートが入ってるけどまさか。
「全身コーティング用よ。これは銀さんにバレンタインデーは私を食べて❤︎作戦なの。これでもう間違いなく勝つわ」
そうさっちゃんが拳を握る。いや絶対盛大なツッコミをされるオチな気がするが彼女の相変わらずな行動に感心する。堂々と渡そうと?してて凄いな、わたしには…なかなか勇気が出ない。
「本命は?その義理チョコみんなに豆まきするみたいに配るだけ?」
「そんな行事を一緒くたにみたいな…」
彼女の問いに少し動揺して口籠る。
「いや割と人数多いから食堂にまとめてご自由にお取りくださいの方が受け取る側も気楽かな〜全部義理だし!でも感謝は伝えたいしなぁ」
「そう、貴方も大変ね。お互い頑張りましょうね」
ふ〜んと訝しげに見られた。いたたまれなくなって私はじゃあ!と手をあげてその場を後にしようとした、が
何もないところで思いっきり躓いて盛大に転けてしまった。ザザッと中の小さなチョコレートたちが鞄から出て行く。その中に少し大きなものが一緒に転がった。
「「あ」」
1つだけ、ハートの個装がされたチョコレートが他のチョコレートの上にちょこんとのっていた。
さっちゃんがそれを持ち上げる。
「全部義理、だっけ?」
「ちちちちちちがう違うちょっと当たり要素入れてみよっかな〜なんて」
チョコレートを取り返すため早く起き上がらなきゃ膝に力を入れた時、さっちゃんがチョコレートの箱を裏返した。
そこにはメッセージカードが貼り付けてあり、山とだけ書いてその上にマジックで斜線を入れていた。
「あなたカマトトぶって誰でも平等に接します〜みたいな態度してバリバリ本命あるじゃないの、特別感ありまくりじゃない」
「あー!見ないで…別にあげるとは決まってないし…というか仕事でお世話になってるし感謝の意を込めてみたいなカバディとかバトミントンで運動してるからあんぱん以外の糖分とかどうかなってあの」
ド正論のツッコミを頂き顔がすごく熱くなって掌で冷やす。ダメだ恥ずかしすぎる。地面にへたり込みながらうんうん唸っていると、彼女がさっさと転がったチョコレートたちを拾ってくれていた。
「ま、お互い頑張りましょうね、女は度胸よ」
「はい…」
最後に本命チョコを鞄に入れて私に渡して彼女はポリバケツを抱え万事屋へ歩いて行った。友人のエールと優しさにギュッと袋の持ち手を握る。
せめて、せめて直接じゃなくても匿名だとしても渡すということを目標にして屯所に向かった。
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