本編
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朧くんと知り合いになってしばらくして、登校中にあの灰白色の頭髪を見かけると思わず顔が綻ぶ。私は小走りになって声をかける。
「朧くんおはよう!最近よく会うね」
「…おはよう。確かに、そうだな。よく会う」
「私は嬉しいよ、今まで登校中1人で行くこと多かったし」
「そうか」
彼はいつものように少し歩く速度を緩める。朧くん身長高いし足も長いからありがたい。
ふと彼は歩く速度をさらに緩め、私の後ろに回り込み反対方向に回り込んだ。並んだときの左右のポジショニングにこだわりとかあるのかな?と考えたが車道側に回ってくれたことに気づいた。
「朧くん紳士だね〜ファンクラブとかありそう…」
「?」
思ったことを率直に言ってしまったことに慌てて話を逸らす。
「そういえば朧くんはどこの高校なの?」
「…天照院高校だ」
「なんか聞いたことあるような…」
質問したはいいが近場の高校に対して興味がなくてあまり調べたことはなかった。クラスで誰か話したのは聞いたことあるかも。偏差値高い高校だったりして。
そうこうしているといつもの分かれ道に来てしまっていた。一緒に登校できる距離はそんなに長くなかった。まだ話し足りないなと少し寂しさを感じながら朧くんに向かって手を小さく振った。
「もうこんなとこまで来たんだ。朧くんじゃあね!」
「ああ」
今日は朧くんと話せたしいい1日になればいいな。
あの後クラスで土方くんが例の高校の話をしてた気がするなと思い返して聞いてみたら思いもよらない事実が発覚した。
あまり世間に露出してない高校らしく、でも生徒がいっぱいいて強いらしい。強い…?
「強いって勉強とか?」
「ちげーよ。喧嘩だよ」
「怖!…大丈夫かな」
「なんか心配事でもあんのか」
土方くんが不思議そうに目をやる。私は彼のことが心配になった。朧くん見た目は怖いけど優しいし不良に絡まれてたりしてたら…
「いや、その高校に最近知り合いができて」
「オイオイ大丈夫かそれ?ヤバいやつじゃないのか」
「違うよ!紳士的だよ」
「ふ〜ん…?」
そう話してるうちに沖田くんの消しゴムが土方くんの頭を直撃して2人の乱闘が始まったのでこの話は強制終了してしまった。また会ったときにもっと聞いてみようかな。
授業を終え委員会の手伝いも終わり、さて帰ろうとスクールバッグを揺らしながら歩いていると珍しく噂の灰白色の彼を見かける。え!偶然!帰り道で一緒になるなんて珍しいなぁと思いながら声をかけた。
「朧くん!今帰り?」
「名前か、そうだ」
「いつも帰る時間これくらいなの?部活とか」
「いつもはもう少し早い。…今日は用があった」
よく見ると学ランに土埃や少し赤い。……血?のようなものがついているのをみて慌ててハンカチや絆創膏がないかカバンを漁った。
「何をしている?」
「え!?いや朧くん怪我してない?!血がついてる…これ使って!」
持っていたハンカチと絆創膏を握らせる。もしかして高校の不良の人たちに怪我させられたんじゃ…と内心ハラハラしている。すると彼は少し微笑んで言った。
「ああ、これは………ゴミの処理で付いたものだ。別に俺が怪我したわけではない」
「え…あっそうなんだ」
よくよく見ると学ラン以外の彼の素肌に顔の傷以外の傷は見当たらない。早とちりして恥ずかしくなった。
「や、ごめん!てっきり高校の怖い不良の人たちに巻き込まれたのかと思っちゃって…なんか喧嘩強い人が多いみたいなの聞いたから…」
「知っていたのか」
「今日友達に聞いたの」
早とちりしちゃったな〜とか、朧くんそういう学校の手伝いとかしてるんだな〜とかそんな話をしているといつも出会う場所まであっという間だった。
「またね、朧くん」
「また」
また明日って言えないのがなんだかもどかしいなと思いながら1日に2度会えたことにどこかふわふわした浮ついた気持ちで家に着いた。