大人とガキとガキもどき
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新聞を捲る、ぱらりという音がやけに響く。
そんな、静かな居間が好きだ。
私自身は決して大人しい質では無いのだけれど、角都さんが新聞を読んでいる時の居間は、むしろ静かじゃないと落ち着かない。
「なあ名前ー!何でさっきから黙ってんだよー!」
まあ、この銀髪お馬鹿のせいで、滅多に静かにはなり得ないんだけれども。
それでも角都さんの耳はノイズキャンセラー機能が搭載されているのか、ひたすら飛段君の騒音を無視して新聞を読んでいる。
……となると、飛段君のちょっかいは自然と私に向かう訳で。
「名前!俺の膝に来いって!」
「やーデスよー」
「何だよー!前はいっつも膝に乗ってただろ!」
それは飛段君が無理矢理乗せてただけで、断じて私の意志ではない。
そして最近膝に乗ってないのは、単純に私の逃げ足が速くなっただけだ。
そう反論しようとするが、お馬鹿(と書いて飛段君と読む)には何を言っても無駄だと考え、無視する。
それでも、お馬鹿はしつこい。
「名前ー。良いじゃねーかよォ減るモンじゃねーだろ?」
「減るから駄目です」
「何が減るんだよ」
「ライフポイントが」
きょとんとしてる飛段君はちょっと可愛かったけど、それ以上に絡みがウザい。
「角都さーん!何とかして下さいよぅ」
こんな時は、静かにしなきゃなんて気を遣う余裕なんて無い。
角都さんに助けを求めると、角都さんは凄く面倒臭そうに顔を上げる。
「…………いつもの事だろう。我慢しろ」
「えー、角都さん冷たいデスよー」
「知らん」
「ぶー。大体、何で私が飛段君の膝に乗らなきゃいけないんデスかー」
「何だよー。じゃあ角都なら良いのかよ名前は」
「良いデスよ?」
即答した私に、飛段君はがっくりと肩を落とした。
(ちなみに角都さんはというと、全く動じずに新聞を読み続けていた)
全く反応が無いのもつまらないので、私はいそいそと角都さんの側に近寄り、顔を覗き込んで視線を合わせる。
目が合った瞬間、にこりと笑ってみた。
ちなみにこれは、
「乗ってOK?」
というアイコンタクト。
それに対して角都さんは、渋そうに眉をひそめる。
めげずに更ににこーっと笑ってやると、角都さんはため息をひとつ。
それを了承だと都合良く解釈した私は、新聞を持っている角都さんの腕を持ち上げて、初の膝の上にお邪魔した。
「うはー。居心地超良い!S席認定!っつーかもうトリプルS席!」
「意味が分からん」
とか言いながら、何だかんだで容認してくれちゃってる角都さん。
あーもうマジ惚れるって。
「角都ー!ずりーぞ!」
「名前が勝手に乗ってきたんだ」
「名前!俺と角都の、この扱いの差は何だよ!」
「んー、あえて言うならば………包容力デスかねぇ…。大人の魅力ってヤツ?」
ぶーぶーと文句を垂れる飛段君は、やっぱりまだまだ大人の魅力に欠けるんだよなぁ。
そんな事を呟いて角都さんに同意を求めると、角都さんは少し笑って、わしわしと頭を撫でてくれた。
(立つから退け)
(えー!)
(お前も少しは大人になれ!)
→御礼
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