君はどっち?
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「…………あのさー……良い加減にしてくれないかな」
私はソファに座って正面を見据えたまま、自分の両脇に座っている2人に向かってそう言った。
大人しく、本(『クナイはこう投げる!』)を読んでいただけだというのに、気が付けばこの状態だ。
芸術コンビ、と称されるこの2人。
悪役ながら芸術に対する独自の美学とプライドを持っている点に定評がある(まあ、人気の半分は見てくれだろうけど)この2人。
確かに私も、2人の芸術に対する情熱は凄いと思う。
思うけど。
「そういうさ、どっちの芸術がどうのとか言う論議はさ、他所でやってくれませんかね」
「「名前の意見が聞きたいんだ!(うん!)」」
………ホント、他所でやってくれないかな。
「ンな事言われたって、私芸術とか分かんないデスよ?」
「第三者の意見を聞く事に意義があるんだよ、うん」
「で、名前。永久の美と一瞬の美、どっちが本物の芸術だと思う?」
サソリさんが、いつに無く真剣だ。
私なんかに聞いても……と思ったが、多分違う。
コイツらは第三者の意見を聞きたいんじゃなくて、とにかく自分達の収集のつかない議論に新規の別れ道が欲しいだけなんだ。絶対そうだ。
「………別に、どっちでも「「どっちでも良いが一番困る!」」
………夕飯何が良い?って聞いたお母さんみたいな反応だな。
このまま流すのも無理な雰囲気なので、私も真剣に考えてみる。
ぶっちゃけ言うと、私はデイダラ君の芸術観の方がしっくりくる。
カタチ有るもの、いつかは朽ちるって言うしね。
………だけど素直にそれを口にしたら、十中八九サソリさんを怒らせる。
それだけは御免こうむるぜベイべー。
第一、造形師って言ったら芸術家っぽいけど、デイダラ君は只の爆弾魔……いや、この辺でやめとこう。
「…………どっちらかって言うと……サソリさん、かなー……なんて」
私がそう言うと、サソリさんは「やっぱりな」とか言いながら、私の肩に腕を回して引き寄せた。
「何でだよ名前ー!うん!」
デイダラ君は、怒らせてもこの程度だから楽だ。
「お前こないだ、オイラの作品見てスゲーって言ってただろ!うん!」
「いや、そりゃスゲーですけど、単純に感心しただけであって……」
「ほらみろデイダラ。大体テメェはな……」
「うるせーぞ旦那!うん!」
だから、何で私を挟んで喧嘩するかな。
両耳が痛いぞリアルに。
しかもなにげにサソリさんの顔が至近距離にあって、心拍数も上昇する。
体に悪い喧嘩だなぁ……しかもとばっちり。
「やめて下さい2人共ー。私の為に争わないでー」←棒読み。
「「誰がテメーの為だ」」
全く。ハモるとこはしっかりハモるんだから。
仲が良いんだか、悪いんだか。
少し冷静になったらしいサソリさんは、私を引き寄せている事にようやく気付いたらしく、ちょっと眉間に皺を寄せて私を離した。
あれ?何かすっげえ失礼じゃね?
「………今、一瞬凄く嫌そうな顔しませんデシタ?」
「……人間、興奮すると何しでかすか分かんねぇな」
「うわっ!失礼ー!名前ちゃんの純情なハートに傷が付きましたよ!
責任取って旦那になって下さい!」
「黙れ!」
ガスッ!とサソリさんのチョップを脳天に喰らって痛がっていたら、デイダラ君がよしよしと撫でてくれた。
(でもやっぱ、鮫さんが作る御飯が一番芸術デスねー。うまー)
(ありがとうございます。でもあの2人が睨んでますよ凄く)
→御礼
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