雨の日は仲良く部屋遊び
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私は窓辺に頬杖をついて、今朝から降り続けている雨を眺めていた。
しとしと、なんて可愛らしい降り方では無い。
土砂降りだ。趣きもクソも、あったもんじゃない。
私はわざとらしくため息をつき、珍しくアジトに来ているリーダーを横目で睨み付けた。
本日何度目かの私の視線を感じてか、リーダーが顔を上げる。
「………何か言いたそうだな」
「……雨デスねぇ」
「ああ、雨だな」
………分かっている。別に、この雨はリーダーが故意に降らせているものではない事くらい分かっている。
だがしかし、リーダーは自他共に認める(であろう)究極の雨男なのだ。疑いたくもなる。
「雨降ったら外に遊びに行けないしー!暇ぁぁぁ!」
「…………」←無視。
「雨くらいパパッと止めちゃって下さいよ!神様でしょ!」
ちなみに今日は他のメンバーはアジトにいないので、言いたい放題である。
私は理不尽な事(自覚は有る)を言いながら、リーダーの背中をばしばしと叩く。
「無茶を言うな。いくら何でも、天然の雨を止めるのは無理だ」
「はっ!神様の名が聞いて呆れますね!」
「そう苛々しないで、名前」
折り紙を折っていた小南ちゃんが、見かねて口を挟んだ。
私の手元に、真っ白な折り鶴がぱたぱたと飛んでくる。
私はそれを両手で包み込む様にして捕まえた。
「名前も、一緒にどう?」
「私が折っても、小南ちゃんのみたいに動きませんもん」
「折るだけでも、良い暇潰しにはなると思うけど」
「そーデスねぇ。リーダーで遊ぶのにも飽きてきたし……」
「何と無く遊ばれている気はしていたが、やっぱりか……」
私は小南ちゃんの隣に移動して、何年かぶりに鶴を折り始めた。
リーダーが若干除け者になっている現状にほくそ笑みながら折っていると、不意にリーダーがまだ綺麗なままの紙に手を伸ばした。
「え、リーダーも折るんデスか?」
「悪いか?」
「悪くは無いですけど面白いです非常に」
リーダーは、じと、と私をひと睨みすると、無言で手を動かす。
どうやら鶴を折っているらしい。
「ふーん、リーダーが折り紙ねぇ……。天下の暁のヘッドが折り紙………ぶ、くく……」
「笑うな」
結構真剣に鶴を折っているリーダーの横顔を見て、良い事を思い付いた。
私はにやにやしながら、せっせと目当てのものを折る。
「………よし、出ー来た!」
私はそれを手に取ると、至近距離からリーダーの横顔に向かって投げつける。
余程油断していたのか、リーダーはそれをまともに喰らった。
……まあ喰らったって言っても、只の折り紙で作った手裏剣だけど。
だが地味に痛かったのか、リーダーは物凄く嫌そうな顔をして私を見る。
「ふはは、油断してるからそうなるんデスよリーダふぎゃ!」
リーダーの神羅天征によって、私は椅子ごと後ろに引っくり返った。
毎回思うけど、リーダーのこの技って反則臭いよなあ。
「ペイン!」
目が回ってしまっていた私の代わりに小南ちゃんが憤慨するが、当のリーダーは涼しい顔をしている。
「名前が先に喧嘩を売ってきたんだろう?」
「暁のリーダーが、そんな餓鬼っぽくて良いんデスか!?ええ!?」
私はすぐさま立ち上がって再び紙の手裏剣を投げるが、小南ちゃんの紙手裏剣みたいに切味が良い訳でもなく、リーダーには神羅天征という超チート技がある訳で。
「ふん、効かん」
「あー!ムカつくーこの全身ピアス野郎!」
激しい攻防(私が一方的に攻撃して、リーダーが一方的に防いでるだけだけど)を繰り広げている私達を、どうやらじゃれているだけと認識したらしい小南ちゃんは微笑ましげに眺める。
「ふふ。2人共、随分仲良くなったのね」
「「どこが!」」
私とリーダーが即座に否定したにも関わらず、小南ちゃんは優しげな瞳で私達を見つめる。
………そんな小南ちゃんを見つめ返していたら、後ろから後頭部を思いっきり叩かれた。
「い……ったあ!!!」
「油断してるからそうなる……だろ?」
勝ち誇った様に口角を吊り上げるリーダーに、私の中の何かがぷつりと切れた。
「………っいつか絶対泣かす!!!」
高らかに宣言した私は、再び不毛な争いの火蓋を落としたのだった。
(次の日、アジトの窓辺には幾体もの折り鶴が並んでいたとか)
→御礼
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