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比較的平和な文

先日、この場所で髪の長い女を見た。

微かな香が鼻を掠めてその女の匂いだと悟る。

自分の好きな煙もかき消すほど、その匂いが重なる。

目の奥が熱くなる。



・・・久しぶりな感覚。・・・新鮮だった。




出逢い橋、そう噂されている赤い橋で

自分の記憶と重なるその女と、面影を残す攘夷志士に逢う。


・・・・莫迦な。あれは確かに女だった。



もう1度振り向いた時に見たのは、紛れもなく・・・その女だった。




出逢い橋。



昔、互いに想いを馳せた男女がこの橋で逢い誓った橋だという



想いを繋ぎ合わせて互いの心を濡らす。


再びと出逢い、捕えて縛り付け

痛みを嚙み締めて女は抵抗した。

尚更と男の力で押さえつけて唇を奪う。

・・・やがて、女は徐々に力を失った。




出逢い橋。もう1つの名を“刹那橋”
どんなに愛しても叶わない。

だからこの橋はそれら哀しみを戒めるごとき、赤い。

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