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探偵ワトソンは眠らない



#1 探偵と密室(事件編)




シャーロック・ホームズ  ________  19世紀後半に活躍したイギリスの小説家、アーサー・コナン・ドイルの創作した、シャーロック・ホームズシリーズの主人公である、架空の探偵

          …………wikiから引用……

冷静沈着で天才的な推理能力と観察眼を持つ言わずと知れた名探偵

これは、ホームズに憧れる頭脳明晰、かつ可憐な少女が難事件を解決していく物語であるッッ____(ドヤッ)


「……と!ちょっと!ちょっと聞いてるの?!動かないでって言ってるでしょ!」



『アッはい』



何だよ今いいとこなのに…
心の中でそう呟きつつ顔の横でピースサインをつくる



そんな僕は全身青を基調としたなんとも可愛らしい衣装を身に纏っている

セーラーの襟にネクタイ、フリル付きのスカート、リボンのついたベレー帽……


ん?何故、探偵である僕がこんな格好でこんなことをしているかって?


ふふふいい質問だね!


まずこれは探偵としての僕の正装なのだよ!!


ほら、部活だってユニフォームがあるだろ?探偵部にもユニフォームがあってもいいじゃないか!!!

ってことでね、僕の中学の制服をリメイクして作っちゃったんだ!!ふふん、僕って器用だろう!


え?探偵部とは何かって?
そんなの難事件を解決する部活に決まってるじゃないか!



部員は僕一人だけどね!! 



まぁ、つまり……まだ部活としては認められてないというかぁ……


おっと、今はそれは置いといて!

事の発端は僕が放課後、探偵としての正装を身に纏って部員集めをしていたときの事だったんだ。


そう、それは1週間前のこと





______

『これでよしっと』

ポスターを貼りながら僕はふぅっとため息をついた


そこには 「探偵部 部員募集!!」と赤く大きく描かれた文字と僕が描いた尊敬すべきシャーロック・ホームズのイラストがあった


探偵といったら探偵部だろう!!と思ったはいいもののこの学校には探偵部なるものは存在しなかったのだ


ならば作ってしまえばいい!


って先生に直談判しに行ったんだけど最低部員が3人いないと認めてくれないんだってさー!ひどいよねー!


これじゃあ部室も貰えないし…ってことでこうやって部員募集してるんだけど実はもう1つ目的があるんだ!


それは有能な助手を見つけること。


だってさ、ホームズには助手ワトソンの存在は欠かせないだろう?

情報はもちろん、ときには事件解決のヒントを与えてくれる存在…

名探偵には助手は不可欠。


だけどなかなかいい人が見つからなくてね…


はぁっ、とため息をついたその時、後から声をかけられた

「ねぇ!君可愛いね!一緒に来てくれない?」

おまわりさーーん!不審者でーす!!
僕は声をかけてきた茶髪の彼女に疑いの目を向ける


「ちょ、ちょっと怪しいもんじゃないって!私ね、美術部の部長をしてるの」


『へぇ、その部長さんが僕に何の用ですか?』


いつもより低い声でぶっきらぼうに言う
部長だからといって不審者じゃないとはいいきれないんですからね


「君、私の絵のモデルになってくれないかな?」


も、モデルぅ??
でも僕は探偵部だしそんなことしてる暇は…


「だってさ、その衣装ちょー可愛いじゃん!!!君に似合ってるよね!!可愛い!!だからその衣装で絵を描きたいんだけど……だめかな?」


彼女は捨てられた子犬のような目で僕を見る


だめじゃないです!!!!!

そんなに言われたら断れるわけないじゃないか…!!


可愛いと言われてまんざらでもない僕は答えた


『ふふふ…そこまで言うなら仕方ないですね………お引き受けましょう!!ただし!条件があります』


「条件?なになに?」


『お知り合いの方に探偵部を宣伝してほしいんです!!実は今部員が足らなくて…』


「あら、そんなことでいいの?お安い御用だよ!
じゃあさ、1週間後の水曜日に美術室に来てくれないかな?」


『もっちろんです!任せてください!』







まぁ、こんな感じで僕はモデルを引き受けたんだ


そうこれは褒められて嬉しかったからではない。

探偵部宣伝のためだ。

探偵としての大事な活動なのだ。



おっと、大事なことを忘れていた
自己紹介がまだだったね

僕の名前は月城セトカ。蒼ヶ岬高校1年A組24番。白髪に青目の将来名探偵と称される美少女探偵なのだ!!


そしてこっちの先輩は3年の高槻桜先輩。美術部の部長さんらしい。


僕のこと可愛いって言ってくれたセンスはあるけど、正直この目元にピースサインのこのポーズは無いと思う。めちゃくちゃ恥ずかしいです。




______

僕がこの恥ずかしいポーズをしてだいぶ時間がたった


今、この部屋には僕と先輩二人きりだが、僕の真後ろのドアが全開なので丸見えである。(今気がついた)(恥ずか死ぬ)


いや、2人きりと言ったがもう一人(?)いる



僕のすぐ左隣、僕より少し背が高く、両手を腰に当てるという謎ポーズをした全裸の男だ。


変態?!違うそうじゃない。


まぁ、よくある美術室の石膏像というやつだな。
モデルになっている間、僕はコイツにトムと名付けてやった。動けない僕の話し相手である。


やぁ、ト厶。お服着ろよ。


『先輩、ト…じゃなくて、このでかい石膏像なんですか?』

「石膏像?ああダニエルくんね」


ダニエル……だと?!


お前…トムじゃなかったのか……!!


密かに衝撃を受ける僕をよそに先輩は続けた


「うん、前の前の部長の友達が名付けたらしいの。今はもう部員同然なんだー!」

部員同然……?

コイツ…部員として数えられるのか……?!

ならば…


『ダニエル……僕と探偵部作らないか?』

………

もちろんダニエルは喋らない。

「ちょっと!ダニエルくんは美術部員だからね!!勝手に勧誘しないでくれる?」


『いーじゃん!!兼部していいからさぁ!!幽霊部員でもいいからさぁ!!部員が欲しいんだよぉぉぉ!!』


「だめです」

きっぱりと先輩が答えた。

いや、違うんですよ。僕はダニエルの意思を尊重するんですよ。先輩の意見は聞いてません。


そう言おうとしたとき、スピーカーからチャイムの音が聞こえた。


『先輩、今のチャイムって…?』

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!やっば!!もうこんな時間?!」

『何か用事でもあったんですか?』


大急ぎで片付けをしながら先輩が答えた


「違うの、君は1年生だから知らないかもしれないかもしれないけど、6時までに校門を出ないと怒られる上に奉仕作業させられるの!!」

ほうほうそんな事情が…
んで今の時間がっと

『5時50分』

うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

超やばいじゃん!!


「もーーうみんな帰るなら声掛けてくれればいいのにーー!!」

『今日は2人っきりじゃなかったんですか?』

「描き始めたときは他に3人いたよ」


え??いたの??僕、あれを他の3人にも見られてたの??超恥ずかしいんだけど


僕が衝撃の新事実に驚いている間に先輩は帰り支度を終えたようだ。


「ほら!!鍵閉めちゃうよ!!」

『あ゛ーーー待ってください閉めないで!!』


僕が出たあと、先輩は物凄いスピードで鍵を締め職員室に鍵を返しに行った


「よっし!これなら間に合いそう!」

『ですね!』


駐輪場に先輩と向かいながら僕は言った。
そう、僕は自転車通学なのだ。僕は歩きながら鞄から鍵を取り出し………取り出し…??


………


ってない?!鍵ないじゃん?!


確か、美術室に行く前はカバンに入っていたのを確認したはず……


…これ、絶対美術室で落としたとかだよね………


『先輩……僕、自転車の鍵を美術室に忘れました』

「えええっ!!!?」


絶望の表情になる先輩、ごめんなさい、僕、奉仕作業します。


「ほら!戻るよ!!」

『えっ?僕だけ戻りますよ!!』

「何言ってるの?部室の鍵あるとこわかんないでしょ?結構分かりづらいとこにあるのよ。それに、まだ間に合うかもでしょ?」


せ、先輩……!!優しすぎます先輩!!ありがとうございます!!

先輩の優しさに僕は泣きそうになる


「まぁ、こんなギリギリになったのは私が注意しなかったのも悪いし……」


それもそうですね

僕の涙は一瞬で引っ込んだ

そんなこんなで僕達は美術室に到着、先輩が鍵を開けてくれている。
時間を見る。56分。これなら間に合うかもしれない。


そう思ったときだった




「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


先輩の叫び声がしたのは



『どうしたんですか先輩!!』

慌てて駆け寄る。入り口で先輩が腰をぬかしている。

「あれ、、、見て、、」

先輩の指差す先、そこには、







首の折れたダニエルが横たわっていた



『だ、ダニエル!!』


僕はダニエルの手首に手を当てる


『脈はもうない…死んでる……』


「そりゃそうじゃん石膏像だもん」

先輩が冷静なツッコミを入れてくる

そりゃそうだけどさぁ!!1回やってみたかったんだもん!!


恥ずかしくて僕は1つ咳払いをする。

「ダニエルくん…でも一体どうして…私、鍵閉めたよね…?!」

そう、部室の鍵は閉まっていた


つまり、


『密室殺人』

僕はポツリと呟く

どうやら探偵というものは事件を引き寄せてしまうものらしい。







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