ぱろっ
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昔々あるところに、旅をするリンクという青年がおりました。
彼は平和はハイリア王国に立ち寄り、そこで魔物が現れるという話を聞きます。
なんでも国で討伐隊や、討伐の依頼があるとのことでした。
リンクは旅費を稼ぐ目的でも、その討伐依頼を受けます。
魔物が出るというのは王国の隣にある暗い森からです。
討伐隊や、依頼を受けた賞金稼ぎに混ざり、リンクも森へと入っていきました。
「うわぁ、思ってたより暗いんだな…」
辺りを見渡しながら魔物を探します。森へ進めば進むほど、光はなくなり、霧がでてきます。鳥が飛び立つ音、一緒に来た人たちの足音が不気味になってきました。
「他の人たちは大丈夫かな…あれ?」
ふと気が付けば自分一人だけになっていました。これは大変危険です。
「まずいな…霧で離れちゃった…戻れるかな」
気配を探りますが、生きものの気配はありません。リンクは困ってしまいました。闇雲に動くのは危険ですが、じっとしていて見つけてもらえる可能性も低いのです。
「仕方ない、進もう。もしかしたら抜けられるかも」
リンクは動くほうに賭けました。
霧深く、光のない森はどんどん冷たくなっていきます。
しかし遠くに明るいものが見えました。速足でそこを目指すと、森が急になくなり、草原が広がっていました。
「抜けた…?違う、森の中にあるのか?なんだろうここ…それに」
よく見れば森の中に開いた開けた場所だったようです。
近場では小さな滝が流れ落ち、川ができています。しかしそれよりも何よりも、森には不自然な高い塔が目につきました。
「なんだろうこの塔…入口がない…誰が建てたんだこんなの」
大きく立派な塔でしたが、人が出入りできそうなところがありません。物御台だとしたらこれでは何の役にもたたないでしょう。
「昔に作って捨てられちゃったのかな…」
塔の周りを調べて、てっぺんを見上げます。すると見間違いでしょうか、中に人がいるのです。
「えっ人がいる!」
「!?」
思わず大きな声を出してしまいます。中にいる人もそれに気づいて身を乗り出してきました。
「あ、あの!大丈夫ですか⁉」
「だ、だれ!あなたなに⁉魔物!?」
「ハイリア人です!」
「は、はいりあじん…!?何!?しらない!」
「それより閉じ込められてるんですか⁉今助けるんで」
「私の家に来ないで!」
「家ぇ⁉」
中の人、少女の言葉にリンクは驚きました。なんとこの塔は家だというのです。しかし出入り口もないここに一体どうやって暮しているのでしょうか。
「あ、あんたなんか怖くないから!」
「いや僕盗賊とかじゃないんだけど」
「はやくあっちいって!じゃないと魔法で焼いちゃうわよ!」
「えぇ、どうしよう…」
「…リンク、リンク」
「あっナビィ…」
帽子の中から淡く光る妖精のナビィが姿を現しました。今まで姿を隠していたようです。
「大体の事情は聞いてるわ。あのコを説得してくる!」
「あっ危ないよ!」
「大丈夫!逃げることなら得意よ!」
そう言ってナビィはリンクを置いて塔のてっぺん、少女のところまで飛んでいきました。
「きゃあ!」
「初めまして!私妖精のナビィっていうの」
「よ、ようせい…?」
「そうよ、知らないかしら?珍しいものね!下にいるのは私の友達の」
「ようせいって、あの妖精!?本で見たわ!」
妖精の意味を理解したのか少女は、興奮して本棚の所に走って一つを手に取り戻ってきました。
「これ!ここに載ってるの!すごい本当にいるんだ!ねえ大妖精ってどんな感じなの!?他にも妖精っているの⁉」
「あ、あのおちついて…」
「怪我を治せるって本当⁉」
「ナビィー!大丈夫ー!?」
リンクの声で少女もナビィも我に返ります。
「大丈夫よー!」
「…」
「よかったー!」
「ね、ねえナビィ…さん?下のハイリア人…と知り合い?」
「そうよ!リンクと友達よ!だから怖がらないでほしいの…」
「ともだち…」
ナビィの言葉に少女はゆっくりと下を見ます。リンクはそれに笑って答えました。
「…ともだち」
「ここが君の家だと思わなかったんだ!驚かせてごめんね!」
「…」
「でもどうやって暮してるの!出入口ないけど!」
リンクは気になっていることを聞きました。
「でいりぐち…?」
「ここから出られないでしょう?」
「でる…?あの、さっきから何を言っているの?」
「暮らし方よ?これじゃお外に出るの大変じゃない?」
「そと?そとってなに?」
「え?」
先ほどから少女と会話がうまくかみ合いません。
「り、リンクー!」
ナビィが文字通り急いで飛んで帰ってきました。なにやら慌てている様子で体を激しく点滅させています。
「どうしたのナビィ!」
「た、大変よ!あのコ!」
「あの子がどうかしたの⁉」
「あの場所から外に出たことがないのよ!」
「…どういうこと?」
ナビィの言葉をリンクは理解できません。
「だから、あのコはずっとあそこで育ってるのよ!」
「育つって、そこで暮してるからそれは当然で…」
「違うのよ!あの部屋から一歩も外に出たことがないらしいの!」
「え、えぇ⁉」
そんなことがありえるのでしょうか。
少女はなんとあの塔から出たことがないというのです。出入口がないなら当然かもしれませんが、それすらもおかしいことだと思っていないのです。
「それって監禁ってやつじゃ!」
「ど、どうしよう。やっぱり助けたほうが良いかしら…!」
「でも急に説得するのは難しいじゃないかな…」
二人がひそひそと相談をしていると、少女はまた下を覗いてきました。
「あの、そとって、本に書いてあることのこと!?」
「本?」
「本にせおとのせかいの話が書いてあるの!せかいはほろんでるって本当⁉」
「ちょっとまってその本なに⁉君はどんな本を読んでるの⁉」
「違うの?教えて!どうなってるの⁉」
彼女がどんな本を読んでいるのかわかりませんが、もしかしたらそういう知識しかもっていないのかもしれません。
リンクもナビィも困惑します。
「お、教えてあげたいけど、ここからじゃ難しいよ!」
「…ちょっとまってて!」
少女は中に引っ込みました。
しばらくすると金色の縄が落ちてきました。
「それで、どうにかできない!?」
「大丈夫!」
リンクはその縄を取れないか引っ張り確認しました。それからしっかり落ちないように腕に絡みつかせ、塔に足をかけて登り始めます。
よいしょと登りきって、縁に手をかけました。ゆっくりと頭をだして中を見ます。
「こにんちは」
「こっこんにちは!」
「僕はリンク。よろしくね」
「あ、あの、私、ナナです」
「ナナだね!中に入っても大丈夫かな?」
「はいどうぞ!」
戸惑いながらも受け入れてくれるナナの言葉に、リンクは頷いて中に入りました。
ナナはリンクを遠巻きに、でも興味があるような視線でじろじろと見ています。
「えっと…僕珍しい?」
「初めて見た」
「初めて!?」
「私と体が違う…これが、男っていうものなの?」
「しかもそこから!?参ったな…思ってたより知らないこと多そうだ…」
「そうね…」
特殊な状態のナナを助けようとしたことをリンクは少しだけ後悔しました。
まず世界のこと、ハイリア人のことを彼女に説明します。ナナは顔を変に歪めたり、驚いたり、興奮したりと様々な表情を見せました。
どの話にも彼女は真剣に、楽しそうに聞くのです。
「本に書いてあることって、嘘なんだね…」
「全部が嘘じゃないよ?でもこの本は物語だね」
「ものがたり…って?」
「うーん…僕も詳しい人じゃないからなぁ…物語は物語としか…」
普段当たり前のように使っている言葉が、ナナには通用しませんでした。質問される度にリンクもナビィも頭を抱えます。
彼女の質問攻めをなんとか潜り抜けたリンクとナビィは普段の旅よりも疲労感がありました。
「あ、あの、僕そろそろ帰らないと…」
「かえる?かえるってなに?」
「あ、あー…」
「ナナみたいに、リンクにも家があるのよ。そこに行くの」
「そう…」
一日の数時間しか会話をしていませんが、ナナはすっかりリンクに懐いていました。
見た目は彼と変わらないぐらいのはずですが、なんとも純粋な子供のようです。
「じゃあね…あ、縄ある?」
「なわ…?」
「ほら、僕を登らせてくれた」
「のぼる…あぁかみね!」
「かみ?紙なの?」
「ちょっとまってね」
彼女は部屋にある金色の毛糸のような物を編んでいきます。質問攻めで気にする余裕がありませんでしたが、部屋はベッドと本棚、そして大きな金色の毛糸が目立ちました。
「それ紙…?」
「そうよ、魔力があるから強いの!」
「魔力?確かにその毛糸からすごい量の魔力を感じるけど…」
「ナビィって魔力が見えるの⁉すっごい!」
しかしどう見ても紙には思えません。紙は基本白い物です。金色のものなんて彼は見たことも聞いたこともありませんでした。
「もしかして、髪の毛?」
「さっきからそう言ってるじゃない!私の髪よ!」
「えぇー!?」
またしてもリンクとナビィは驚いてしまいました。
大の大人一人は寝れそうなくらいはありそうなおおきさの髪束は全てナナの物だったのです。
「なんでこんなに長いの⁉」
「普通はこれくらいじゃないの?」
「違うよ!ほら僕の見て!」
帽子を取って自分の頭を見せました。
「えっ!ない!」
「無いはやめて!僕たち男は基本これくらいだよ。女の人でもそんなに長い人はいないよ」
「そうなんだ!知らなかった…」
みつあみにして強度を増した髪をリンク達が入ってきた窓から垂らします。
「塔の高さに足りるくらい長いのか…」
「すごいね…」
「さぁこれでかえる?よね?」
「うん…ありがとう」
「また、会ってくれる?」
「…そうだね、また来るよ」
「くる?くるっていうの?」
「また会いに行くってこと。じゃあね」
リンクは髪を使って素早く降りていきます。外はもう夕暮れです。
「あっどうやって帰ろう…」
「川があったわよね?それをたどっていけばいいんじゃない?」
「そっか!」
リンクは急いで川沿いを走って森の中に入りました。
それをナナは窓から見送ります。
「…そと」
それ以来、リンクは川沿いを頼ってナナに会いにきました。
質問に答えられるように少しだけ本を読んだり、自分が旅をしてきた思い出を話します。
ナナはリンクの話をいつも楽しそうに聞いていました。
「外ってすごい広いんだね!」
「僕もまだ全部見たわけじゃないけどね…」
「外ってすごいな…」
「…ナナは自分の髪を使って降りられないの?」
「あ…えっと…」
これだけ長ければできそうだと彼は思いました。しかしこの質問にはナナは今までの受け答えとは違う態度を示します。
「やっぱり監禁されてるんじゃ…」
「違うの!違う…ううん、リンクとナビィになら話しても大丈夫よね」
「何?」
ナナは髪束を持ち上げます。
すると、中から大きな水晶が現れました。
「これは?」
「魔力を使う水晶だって、お父様は言っていたわ」
「これが?」
「うん。私の髪は魔力がたくさん詰まってて、それをこの森のために役立ててるんだって」
「じゃあ、この辺りの自然は全部ナナの魔力で保ってるってこと?」
「そうなの!でもその代わり、水晶と私の髪は絶対に離れない。水晶も動かせないの。だから私ここから動けない」
透明度の高い水晶は鏡のようにリンクとナビィの顔を映します。
「私ね、リンクの話を聞いて嬉しかった。私の魔力が、リンクや皆が綺麗だって思う景色を作れてるんだって!私すごく、すっごく嬉しかった!」
「ナナ…」
「だからね、外に行かなくてもいいかなって思う」
「そっか」
ナナは本当に嬉しそうに笑いました。
リンクは少し残念に思いましたが、彼女が笑っているのなら良いのかなと考えました。彼女の笑顔はいつしか彼の心の中に残るようになっていたのです。
「なら、僕が外の話をたくさんもってくるよ」
「本当⁉」
「旅のお話もまだまだあるものね!」
「うん」
「ありがとうリンク!ナビィ!」
持っていた髪束を投げてリンクに飛びつきました。リンクは驚いたもののしっかりとナナを受け止めます。
こんなに女性と、まして気になる女の子の接触は彼には刺激が強すぎるのか顔を真っ赤に染めてしまいました。
「ナナ…その」
「なあに?」
「ぼ、僕もだきしめていい?」
「いいよ?」
彼はナナの背中にゆっくりと手を回して、抱きしめました。ナナの温かさが心地よく、不思議とリンクを安心させます。
しばらく抱き合っていると、ナナが少しだけ身をよじりました。
「あ、ごめん嫌だった?」
「違うの。なんだか、熱くて、しんぞうがはやくて…」
「え…っと」
「こんなこと初めてで、ど、どうしよう…!」
顔を赤くしてしまったナナを見て、リンクも同じように真っ赤に顔を染めてしまいました。お互いがお互い困ってしまい、言葉が出てきません。
「大丈夫よナナ!落ち着いて!」
「ナビィ」
「病気とかじゃないから安心して。リンク!しっかりしなさいよ!」
「ハッごめん!?」
助け船を出したナビィに体当たりをされてリンクは戻ってきました。
「今日は帰るね!」
「う、うん」
「…あー、えーと…そうだ!お父様って言ってたけど、どんな人?」
「直接会った事はないの。水晶から話かけてくれるから」
「水晶から?」
「うん!赤い髪が綺麗な人よ」
「…名前、聞いていいかな」
「ガノンドロフお父様よ!」
宿の一室でリンクとナビィは考え込んでいます。
「城に伝えたほうがいいのかな…」
「そんなことしたらナナがどうなっちゃうかわからないわよ!」
「そうだよね…でもこのまま放っておけないよ。ナナはきっと利用されてるんだ」
「そうね、魔力を使って何かをしてるんだわ」
ガノンドロフ。
旅人のリンクも良く知る名前でした。世界全土を支配しようと、度々村や国を襲う魔王と名高い男です。リンクも旅の途中で壊された村を見たことがありました。
「今からナナの所行ってくる」
「どうするの?」
「なんとかして外に出るように説得してみるよ。いきなり言われても信じてもらえないだろうしね」
「…わかったわ!私も行く!」
荷物をもって出かけようとすると、遠くで笛の音が激しく響きました。
夜の森は彼女が知る森ではなくなっていました。
魔物が地面から何匹も現れてどこかへまっすぐ走っていくのです。それをナナは驚きと恐怖の目で塔から見ていました。
「何よこれ!本で見たやつらがこんなに…!リンクが帰る所に向かってるの…?」
そう思うと彼女はさらに恐ろしくなりました。
国や村には人がたくさん住んでいること、その人たちは魔物に対抗できる力がないこと。
「やめて!とまって!行かないで!」
どれだけナナが叫ぼうとも魔物が言うことをきくはずがありません。彼女の声と足音が森に響きます。
「でやぁぁ!」
二つの音以外に別の音が聞こえました。
「リンク!ナビィ!」
「ナナ!大丈夫!」
「ナナー!」
魔物たちを退けながらリンクとナビィは塔へとやってきてくれました。ナナは急いで髪を垂らします。
リンクは急いで塔に登り、ナナの無事を確かめました。
「よかった!何も怪我はしてないよね!?」
「私は平気!でもっ森から魔物がっこんなのなかったのに!」
「落ち着いてナナ!あなたの魔力を止めるの!」
「魔力を止める…?何それ?」
「やっぱりわからないか!」
リンクとナビィは焦りながらも深呼吸をしました。
「よく聞いてナナ、あれは君の魔力を利用して生み出されてるんだ」
「なんて…?」
「君はガノンドロフに利用されただけなんだ!」
「こんな時に何言ってるのよ!お父様は関係ないでしょ!」
「ナナ、あの魔物からアナタと同じ魔力を感じたわ」
「ナビィ?」
突然のことが起こりすぎて、ナナは二人から距離を取ります。
「ナナが止めれば魔物も止まるの!お願いよ!」
「し、知らない…私じゃない、お父様も関係ない!二人ともおかしいよ!」
「お願いだよナナ、あいつは人をなんとも思ってないヤツなんだ!君を育てたのはきっとこのために」
「知らないくせに悪く言わないで!」
「じゃあナナはそのお父様の何を知ってるんだよ!」
リンクの言葉に、ナナは言葉が詰まってしまいました。知っているはずなのに何も思いつかないのです。
ただ水晶で、話しをするだけの人だったのです。
リンクのように怒ったり、褒めたり、笑ったりなんてしませんでした。
「違う、だって私、育ててもらって」
「実際に、会ったことはあるの?」
「…」
「この塔に、僕みたいに人が来たの?」
「…」
ナナは涙をこぼしました。
「ナナ、お願い、魔力を止めて」
「…わからない、止め方なんて知らない…そんなこと、教えてもらってないよ…」
「なら、僕を信じてくれる?」
離れた距離をリンクは埋めます。
ナナの手を下から救うように握りました。
「僕はナナを外に連れて行く。君が見たい景色も、やってみたいことも全部僕がやらせてあげる」
「何言ってるの…今そんなの、どうでも」
「ナナが信じてくれたら、僕が魔物たちを止める」
涙の止まらない顔を彼に向けました。リンクはまっすぐにナナを見つめます。
「でも、でも…」
「信じて」
握っていた手を離し、ゆっくり後ろに下がって距離を開けました。まっすぐの綺麗な青い目だけは彼女から外しません。
ナナは動けませんでした。
自分のせいでこんなことになっていることが信じられませんでした。
自分の信じた父親がただ利用しただけなんて信じられませんでした。
でも
「ナナ、信じて」
こんな時でもあなたの声が、私によく届くのです。
「ありがとう…!」
「リンク、助けて…助けて…」
「助けるよ。絶対に」
駆けだした足は真っ直ぐ彼に向かいました。
彼は彼女をしっかりと抱き留めました。
「でも、ごめんね」
「え」
リンクは背中の剣を抜き取り、素早くナナの髪をまとめて剣を振り下ろしました。
ナナの髪が、切り落とされたのです。
「リン、ク?」
「ごめん、君の髪、綺麗だったのに」
切り落とされた髪は、床に落ちていきます。
すると段々と外の騒がしい音が小さくなっていきました。
「リンク!魔物が減っていくわ!」
「よかった…!」
ナナという魔力供給が遮断されたせいでしょうか。魔物は現れる数を減らしていきました。ナビィの言葉にリンクは息をつきます。
「ごめんなさい…ごめんなさいっ私が、私が」
「大丈夫だよ、ナナは何も悪いことしてないよ」
「私が、だって、私が魔力を」
「ナナが僕を信じてくれたから止められたんだよ。だからありがとう」
「うぅ、うわぁああ…あぅ…」
またぽろぽろと涙が落ちていきました。
リンクは微笑みながらナナを抱きしめます。
夜明けが近づいていました。
二人は残った髪で縄をつくり、そっと地面に居ります。ナナはリンクに抱きかかえられていました。
「り、リンク、私、どう、どうし」
「落ち着いて?」
「深呼吸よ深呼吸!」
塔から初めて出た景色にナナは緊張で困惑していました。リンクとナビィが落ち着くように声をかけます。
「地面、歩いてみない?」
「じめん…」
「僕が言ってた土と草だよ。柔らかくて、ちょっとくすぐったいんだ」
ゆっくりと彼女は足を降ろします。
先に草が足を撫でました。驚いてすぐにひっこめましたが、またゆっくりと降ろします。
少し時間をかけて片足が地面に付きました。
「じめん、これが、草、土…!」
「そう、全然違うでしょ?」
「すごい、なにこれ、すごい!くすぐったい!面白い!」
両足を付けたナナはリンクから離れて走りました。
どれだけ走っても壁に当たりません。
声が反射しません。
何にもすぐに手が届きません。
「リンクー!これがそとなのー!?」
「そうだよー!」
「うふふっ楽しそうね!」
一通り走り、またリンクの元へと戻ってきます。
「すごい!明るくてくすぐったくて、とにかくすごいの!」
「ナナ、こんなところではしゃいでたら、この先持たないよ?」
「この先?なにがあるの?」
「森を抜けて、人がたくさんいる町だよ」
「町!リンクみたいな人がたくさんいる所ね!楽しみ!早くいこ!?」
「落ち着いてって、ちゃんと連れていくから!」
小さな子供のようにはしゃぐナナにリンクは笑って言いました。もう悲しそうな顔も、涙もありません。
期待と希望であふれた笑顔しかありませんでした。
「リンク、ありがとう!」
「ん?」
「そとに連れてってくれて、ありがとう!」
「…髪、切ったこと怒ってないの?」
「あぁ…その、まだ慣れないけど、でも怒ってないよ!あれがあったら私ここにいなかったもん!」
「うん…」
「それにね、これ、その…」
「うん」
「おそろいっていうんでしょ?リンクと同じ!」
子供の笑顔から、恋をする少女の笑顔へと変わりました。
リンクは思わず力いっぱい抱きしめてしまいました。
「リンクっくるしいよ」
「うぅーーー…」
「きいてる?!」
リンクは心に何か、キュン、とするものを感じました。それを何と呼ぶのか彼にはわかりませんでしたが、彼女のことが好きなことだけははっきりとわかったのです。
「ナナ、好き」
「私もリンクが好き!ナビィも好きよ!」
「ありがとう!でも今はちょっとちがうかも…」
その後、ちゃんとナナに好きの意味を説き、無事にお付き合いをすることができたそうです。
めでたしめでたし
一人ぼっちにさようなら