ぱろっ
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「文化祭の出し物って専攻クラスごとなんだね」
「ね」
「まあクラス多いし体育祭後だしな。管理が難しいんだろ」
秋が本格化した季節。
1年の三人は掲示板の張り出しと学園内通知で文化祭のことを話していた。
「ナナちゃんはなにやりたい?」
「うーん、特にやりたいのとかはないけど…」
「変なのじゃなきゃいいな。ファッションショーとか誰がやったんだよ…」
「無難に食べ物系が良い気がする」
用紙の出し物内容欄を眺めてそれぞれコメントを残していく。
「後でアンケート箱に入れるんだっけ」
「うん、生徒会が集計してくれるんだって」
「ティアくん大変だろうな…」
「ナナ?」
「えっと、生徒会っていつ休むんだろうねー!」
「僕絶対生徒会に入りたくないな…」
「トキの成績じゃ入れないから安心しろ」
「トワもね」
彼女の後ろでまた地味な喧嘩が始まった。それに苦笑いをしつつ、同い年の副会長は大丈夫だろうかと心配になる。
「でも楽しみだね、私初めてだから」
「そ、そうなんだ!大丈夫僕がわからない所教えてあげる!」
「困ったら言えよ。別クラスだけど話は聞いてやれるし、何か手伝いくらいはできるからさ」
「うん!トキくんもトワくんもよろしくね!」
ナナは楽しそうに笑って二人に答えた。ほぼ学生だけで執り行われるお祭りは普段の学校の常識を取り払う作業が行われる。それがどれだけ面白く、非日常的な魅力があるのか。
数日後のアンケート結果を見たナナは手が震えた。
「なにこのメイド執事喫茶って!」
「十中八九コイツのせいだろ」
「え、うそ!?」
お昼時間にナナは叫んだ。聞いたトワはトキを指さして原因を突き止める。トキは身に覚えがなさすぎて首を横に振って否定した。
「あぁそっかトキくんがいた…そりゃこんなことになるよね…」
「ナナちゃん!?」
「トワくんのクラスは何やるの?」
「お化け屋敷だって。つってもハロウィンがメインの怖くないもんだよ」
「ハロウィン…そっか今月だっけ」
トワの言葉を聞いて彼女は思い出した。文化祭の開催月は10月。ハロウィンという国の一大イベント期間に行われる。
「店もハロウィン一色だもんね。出し物もそれにちなんだのが多くなるのかな」
「だろうな…ま、頑張れよナナ」
そう言って彼は彼女の頭を自然と撫でる。それに驚いて手から逃げるように離れた。
「あ…悪い」
「え、いや、ううん!びっくりしただけ!」
「おいトワ!女の子に馴れ馴れしく触るなんてセクハラだぞ!」
「あ?」
すぐに二人の間を裂くように入ったトキがナナを後ろに隠す。
「いつもくっついてるお前が言える立場じゃねぇだろ」
「僕は触ってない!ちゃんとナナちゃんの許可をとって手を繋いでるだけだし!」
「はぁ??」
なんのマウント取りなのかナナにはわからなかったが、トワはこの言葉で少しキレていた。
あぁこれは長くなると経験で察して彼女は先にお昼ご飯を購入しに向かった。
委員会の仕事担当でナナはソラと同じになった。
「え、ナナさんの所メイド喫茶なの?」
「メイド執事喫茶です。うちのクラスにイケメンがいるの忘れてました…」
「えーと、トキ君のことかな」
「そうです…はー…」
ため息が多いナナにソラは心配になり、再度声をかける。
「出し物嫌だった?」
「嫌っていうか…まぁ自分はやりたくないですね…」
「それはそうか…」
「私くじでメイド服着るんですもん…せめて執事服がよかった!」
「メイド服…ま、まままさか!」
ナナの言葉にソラは一瞬だけ固まったがその意味を理解して慌てた。
つまり彼女は文化祭当日メイド服を着るということだ。
「で、でも裏方ならあんまり目立たないんじゃ」
「交代制です…ずっと裏方は許されません…しかも」
「まだあるの?」
「ハロウィンだからちょっと普通のメイド服じゃないんです!」
ソラは顔を真っ赤にした。
「えぇっと…その、ど、どういうのか聞いてもいいかな…?」
「スカートが短いメイド服です…裾が長いのもありますけど…どっちも私が着るには可愛すぎます…!可愛い人が着るべきですあんな服!」
「短い…」
学生が着るため派手なものではないだろうが、それでも短いと聞けば男の子はざわめかないわけがない。ソラもその中に含まれている。
ナナのメイド服を妄想してどんどん顔が赤くなり、顔をうつむかせていく。
しかし悲しんでいるナナはそれに気づくことができなかった。
「私が着たって笑いものになるだけですよぉ…トキくんの馬鹿ぁ」
「そんなことない!ナナさんなら何着ても可愛いしメイド服だって似合うよ!」
彼女の言葉に彼はここが図書館であることを忘れて大きな声を出して否定した。視線が一斉に集まる。
「ソラ先輩!シーっ!」
「はっ…ご、ごめんなさい!」
注意されて利用している生徒たちに頭を下げた。それから呼吸を少し整えて改めてナナに言う。
「ごめんね急に…でも僕はナナさんならメイド服着ても可愛いと思うんだ」
「えーそうですかねぇ」
「そうだよ、少なくとも僕は可愛いと思う」
「…ありがとうございます。お世辞でも嬉しいです」
「お世辞じゃないんだけど…まぁ今はいいか」
「ソラ先輩のクラスは何をやるんですか?」
「僕の所はお菓子の家だって。ハロウィンだから合言葉を言うと仮想した皆からお菓子やゲームができる出し物だよ」
「楽しそうですね!」
やはりハロウィンというイベントに則ったものが多く出されそうだ。彼のクラスの出し物を聞いてナナは心が少しだけ踊った。
「もし時間があったら先輩のクラスに遊びにいきたいです!」
「ふふ、待ってるよ。僕もナナさんのクラスに遊びに行っていいかな?」
「えっあのっ私が裏方の時になら…」
「うーん、ナナさんが表に居る時がいいな」
「えぇ…」
「あとその喫茶ってメイドさんと写真撮っても大丈夫かな?」
「それは聞いてみないとわかんないですね」
さらに数日後
「ナナの所はメイド喫茶だけど大丈夫?」
「メイド執事喫茶です。全然大丈夫じゃない!」
「だよね」
休日。デパート内にある食事所で女装をしていないティアとナナはご飯を食べていた。
出かける回数が増える度にティアの女装は減り、あの堅苦しい、もとい礼儀正しい態度は軟化していった。今では普通の男子高生と変わらぬ言葉遣いである。
「俺もアンケート見た時結果を改ざんしたくなったよ」
「そこまで?」
「だってナナのメイド服は絶対可愛いから見せたくないじゃん」
「さらっと言うよねこの美人は…」
「本当のことだよ」
頼んでいたメニューが届き、それぞれ手を付け始める。相変わらずティアの頼む量は多い。
「私が着るよりティアくんが着たほうが絶対似合うと思うの」
「そういえばどういう服なのか見てないんだけど…写真とかある?」
「あるよ」
ティアの言葉にナナはスマホの写真を見せる。イメージ画として受け取ったものだが、ティアは食い入るように写真を見ていた。
「これ、着るの?」
「実際にはもう試着したよ」
「…どっちを着るの?」
「スカートが長いほうにきまってるでしょ!」
「そっか…いやそれはそれで…」
ナナはクラシカルという分類になるメイド服を選んだようだ。歴史ある清楚な見た目の服は今どきのメイド服より露出はなく、刺さる人には刺さる服である。
ティアはその言葉に安心したような不満そうな顔をした。
「それに加えて」
「え?」
「ハロウィンだからって小さな角のカチューシャと尻尾つけろって!」
「尻尾?」
「デビルなんだって。一部の女子は小悪魔なんて言って楽しそうだったけど私はもう…」
「ナナの、小悪魔メイド…?」
ティアは真顔になってしまった。それからゆっくりと頬を赤らめてうつむいた。
「え、だ、大丈夫?」
「だいじょうぶ…いやナナが大丈夫じゃないよね。変な男が絶対寄ってくるよね」
「え?いやまぁ、スカート短い組はそうだね…ちょっと心配」
「そっちもだけど、ナナの小悪魔メイドなんて絶対可愛いに決まってる…!」
「私より別の女子が危ないと思うんだけどな…でもほら、先生も見回ってくれるんでしょ?」
彼の心配を和らげるように声をかける。先生も危険がないよう私服で見回るようにしているようだ。
「…ナナ、表に出る時間はわかる?」
「そ、そこまではまだ…」
「わかった。もし出る時間が決まったら絶対俺に報告して。絶対行くから」
「いやティアくん生徒会の仕事が」
「見回るのも仕事の内だよ。だから絶対教えて、絶対」
「は、はい…」
「あとメイドさんとツーショット撮ることってできる?」
「そこは聞いてみないとわかんないかな…」
ソラと同じことを聞いてきた。
波乱が巻き起こるまであと3日。