ぱろっ
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「ナナ!ナナ!これあげる!」
「笛?」
「うん!僕の専用!」
リンクは大きな尻尾をたくさん振りながらナナに小さな笛を渡しました。
細い形の、穴が開いた筒状の小さな笛。吹いてもナナは聞き取れませんが、狼さんたちは聞き分けることができます。
「僕が村で手伝いしたり外で見回りしてる時に何かあったら吹いてね。絶対吹いてね!」
「わ、わかったから、近い!」
「ナナが怖いって思ったら絶対吹いてね!!」
「わかったってば!!」
リンクは好きな人、ナナに関してはちょっと周りが見えなくなることがあるようです。
「きゃいんっ!」
「落ち着いて!とにかくこれ持ってればいいんでしょ!」
「うん、そう…痛い…」
「これくらいしないとリンク止まらないんだもん!」
だから落ち着かせるためにナナは大きな耳や頬をぎゅうとつまみます。狼であり男性であるリンクの力は、女性であるナナは止められません。
なのでぎゅうとつまんでリンクを落ち着かせるのです。
「でも普段ポケットに入れたら失くしそうだわ…ペンダントとか、そういうのにできないの?」
「あ、できるよ。ペンダントがいい?ブレスレットもできるよ」
「できるんだ…リンクって意外と器用だよね」
「意外…」
彼女に渡した笛を受け取りながらナナの提案を聞きました。
彼は日ごろから趣味で木彫りや小物を作っているようです。彼の家の中にもいくつかの木彫りが置いてあります。
「そんな手先が器用に見えないんだもん。ペンダントでお願い」
「そうかなあ…僕これでも村で器用な方なんだけど…」
しょぼしょぼと先ほどまで振り回していた尻尾がたらんと下がってしまいました。それでもナナの要望に応えて笛をペンダントになるように細工をしていきます。彼の話は本当のようで、手間取るようなこともなく、すぐにペンダントになりました。
「はい。これで大丈夫?」
「すごい!そんなすぐにできるんだ!ありがとう!」
「えへ…じゃあ僕お手伝いに行ってくるからね。すぐに帰ってくるから!家から出るときは必ずそれもっていってね!絶対だからね!」
「うるさーい!早く行ってきて!」
そういうと、ナナはリンクを扉へと押し出しました。リンクは後ろ髪を引かれる思いで村のお手伝いへとでかけていきます。
「もう!今日はゼルダとお話するだけなんだから心配しすぎよ!」
リンクたちの村で住むようになって幾日か経っていました。ナナの男性への怖さはまだまだありますが、挨拶をできるようになっていました。事情を知る優しい人たちのおかげです。
このまま過ごせば、いつかはトラウマを克服することができるでしょう。
「…はぁ」
ナナはため息をつきました。
それからリンクの使っている机を見て、すぐに首を横にふります。
「今はゼルダとのお話を楽しまないと!お茶とお菓子を用意しなきゃ」
準備をしようとすると、扉がコンコンと叩かれました。
「ナナ!遊びにきたわ!」
「やだ!もうそんな時間なの⁉ゼルダまってー!今開けるから!」
ナナが急いで扉を開けると、お友達のゼルダがにこにこと笑顔で立っていました。
「こんにちはナナ!朝から大変だったわね」
「え、まさかあの声聞こえてたの…?!」
「ええ、皆聞いてたわ。狼は耳がいいもの」
「うわぁ恥ずかしい…ごめんなさいうるさくて…」
「気にしないで、他の人たちの声も皆聞こえてるから」
ゼルダは笑って言いました。
ナナは少し顔を赤くしてしまいます。
「でもあのリンクがあんなに必死になるなんてビックリしたわ」
「そうなの?」
「えぇ。いつも寝坊助でぼんやりしてるから」
「そ、そうなんだ…知らなかった…」
「あら…ナナの前だから格好つけてるのかもね」
リンクとナナは、激しいリンクの告白の時から一緒に暮らしています。でも、リンクが寝坊しているところなんて見たことがなかったのです。だからナナはとても驚いていました。
「でもリンクのことだからいつかは寝坊するわ。その時は思いっきりお布団引っ張っていいからね」
「え?」
「大丈夫よ!私がいつもやってたから!」
「え…」
「…?あっ私とリンクがただ幼馴染だっただけよ!全然変なことしてないから!」
「あ、あぁ…うん…」
ゼルダの言葉にナナはあいまいに返事をします。ゼルダはなんだかいつもと様子が違うナナに首をかしげました。
「ナナどうしたの?何かあった?」
「えっ…あーううん違うの、ごめんね」
「嘘は駄目!絶対なにかあったわね!…まさかリンクが酷い事したの⁉」
「違う違う!それは絶対ない!逆に何もないくらいで…」
「何かあればすぐに言うのよ!私が説教するから!」
「ありがとう…」
ゼルダの言葉にナナは笑顔になります。
でも、まだまだ元気がなさそうです。
「ナナ、何があったのか教えて。もしかしたら解決できるかもしれない」
「……そうだね。もしかしたらゼルダならわかるかも」
「うん!」
ナナはすぐにお茶とお菓子を準備して、椅子に座ります。
「何があったの?」
「何かあったというか…何もない…というか」
「何もない?」
「うん…」
「それは…いい事なんじゃないの?」
ゼルダは首をかしげます。
「いい事なんでけど…その、あんまりにも何もなさすぎて…」
「?」
「一緒に暮らしてるだけっていうか、こう…恋人感みたいなのがないっていうか…」
「恋人感…それはちょっと駄目ね」
「でしょ!?」
ナナはしょんぼりしながら続けます。
「告白されて付き合ってるはずなのに…」
「リンクってば女の子の対応が下手なのね!そんな気はしてたけど…まったく何してるのかしら!」
「リンクは何も悪くないんだけどね…でも、もっと何かあってもいいと思うの」
「もう仕方ないんだから!私から言ってあげるわ!」
「えぇ⁉流石に悪いよ!」
「…確かに二人の事を外野の私がうるさく言うのは変ね…じゃあそれとなく促しておくわ。二人で話し合いをして解決するのがいいもの」
「うん、ありがとうゼルダ」
お話をしたおかげで、ナナは少しだけすっきりしたようです。ゼルダも彼女の顔をみて笑顔に戻りました。
そのあとは、二人で楽しくおしゃべりをして、お茶やお菓子を楽しみました。
ゼルダはリンクが帰って来る前におうちに帰ります。その間にリンクに会って、話してくれるそうです。ナナも笑顔で見送りました。
「た、ただいま…」
お昼が少しだけ過ぎた時間に、リンクは帰ってきました。
朝の元気さはなく、なんだかもじもじとしています。
「おかえり…どうしたの入ってきなよ」
「えと…うん…」
リンクは扉をそうっと開けて、中に入り、そうっと閉じました。
「どうかしたの?」
「えぇーと…そのぉ…ちょっとだけお話、しない?」
「…うん」
きっとゼルダが話をしてくれたのでしょう。ナナもリンクの言葉に頷きました。
二人は静かに椅子に座ります。リンクがこほんと咳払いをしました。
「あの、お話なんだけど…」
「うん」
「えぇっと…ナナが考えてる恋人の関係?ってどうなってる…?」
「え?あぁ…えーと。告白して、恋人になって…デートしたり、手を繋いだり、き、キス、したり…」
「きっ!わあっ!!」
「リンク⁉」
キスという言葉に驚いてリンクは椅子から転げ落ちてしまいました。
「大丈夫⁉」
「ご、ごめんっ!あのっやっぱり違うんだって…!」
「違う?何が?」
顔を真っ赤にしたリンクがよろよろとしながら椅子に座りなおしました。ナナも姿勢を戻します。
「その、ね、僕たちとナナの価値観が違うんじゃないかって…昼間、ゼルダに言われて…」
「価値観?ゼルダが?えぇ?どういうこと?」
ゼルダとお話している間、そんな話になってはいません。ナナは困惑しました。リンクがまだ赤い頬のまま話を続けます。
「あのね。僕たちのいう恋人って、家族になる練習みたいなもので…その、きっ…きっ…きすって、結婚する日を決めてから、するんだ…」
「…えぇ⁉どっどういうこと⁉」
「えぇーっと、たぶんだいたいどの狼の村も同じだと思うんだけど、僕たちの結婚っていうのは、子供を作る行為をすることであって…」
「子供をつく…る」
「結婚したら、えと…すぐ、子作りになるから…その前に、二人で暮らす練習をして…いつ頃に子供を作るか決めて、その間に失敗しないように練習するみたいな、流れで…」
「…」
ナナはびっくりして、顔を真っ赤にしながら両手で口を押えました。話を聞いているとなんだか義務的な流れですが、それだけ狼さんたちにとって結婚とは大切なものなのでしょう。
「だから、まだ何も決めてないから僕は何もしないし、ナナとまだ二人で暮らしてたいし、仲良くしてたいし…」
「でっでも告白した時私の」
「あれは!本当は!駄目だったの!でもナナが気づいてくれないから!」
ほっぺをかぷっとした時のことでしょうか。
「うぅーー…嫁入り前なのに…やっちゃったよぉ…一生一緒に暮らすから全然いいけどやっちゃったよぉ…」
「あ、あのリンク、その時はごめん。私は大丈夫だから…その、人間の私たちって個人によるけどそういう行為をする人もいるし…なんなら付き合った初日で、キスとかもあるし…」
「そっそんなことするの!?結婚するの!?」
「しない、こともある…」
「なにその関係!ふしだらすぎるよ!!ナナもまさか…」
「私はない!男の人との関係なんてリンクが初めて!」
「はじ、僕が初めて……ふへ…」
初めてという言葉で、リンクは心がもぞもぞと変に、でも幸せな想いでいっぱいになりました。
「…でもリンクが私に何もしないのってそういう価値観だったからなんだね」
「うん…ゼルダと話してる時にゼルダも僕も不思議になって。もしかしたら文化とか価値観が違うのかもって話になったから」
「そうなんだ…」
「でも二人で話し合って、ちゃんと誤解が解けたみたいでよかった。こういうのも夫婦になる練習だね」
「…う、うん」
リンクはまだ少し赤いほっぺで穏やかに笑いました。彼の中では夫婦になることは決まっているようです。彼の言葉にナナは戸惑いながらも頷きました。
「ねえナナ、やっぱり僕たちの価値観と合わない?これからもそういうのたくさん出てくると思うんだ…もし嫌なら僕がナナに合わせるから」
「ううん。しなくていいよ。ここは狼たちの、リンクたちの村なんだもん。人間の私が押し通していいわけないよ」
「ナナ…」
「私がリンクたちに合わせる。郷に入ってはなんとやらっていうでしょ?人間の私を受け入れてくれたんだもの。しっかり慣れていかなきゃ!」
「ナナ!!」
「ぎゃ!」
落ち着いていたリンクはぷるぷると震えて涙を流しながらナナをぎゅうっと抱きしめました。
「ナナのそういうところも好き!大好き!!一生好き!」
「わかった!わかったから!」
「ちょっとずつ二人で話して解決していこうね!僕頑張るから!不安なことがあったらすぐに言ってね!」
「言う!言うよ!むぐ」
「大好きー!」
「わかったから大きな声で言うのやめてぇー!周りに聞かれちゃうー!」
ぎゅうぎゅう、頭をすりすり。
元気に飛びついて喜びをいっぱい表現します。やわらかいお耳がナナの顔をかすめたり、もっふり当たったりしています。
「ナナが妊娠しても大丈夫なように勉強たくさんしておくね!」
「もういいからー!!」
次の日、村の人たちから暖かい目で見つめられました。
狼はやっぱり怖いかも
「笛?」
「うん!僕の専用!」
リンクは大きな尻尾をたくさん振りながらナナに小さな笛を渡しました。
細い形の、穴が開いた筒状の小さな笛。吹いてもナナは聞き取れませんが、狼さんたちは聞き分けることができます。
「僕が村で手伝いしたり外で見回りしてる時に何かあったら吹いてね。絶対吹いてね!」
「わ、わかったから、近い!」
「ナナが怖いって思ったら絶対吹いてね!!」
「わかったってば!!」
リンクは好きな人、ナナに関してはちょっと周りが見えなくなることがあるようです。
「きゃいんっ!」
「落ち着いて!とにかくこれ持ってればいいんでしょ!」
「うん、そう…痛い…」
「これくらいしないとリンク止まらないんだもん!」
だから落ち着かせるためにナナは大きな耳や頬をぎゅうとつまみます。狼であり男性であるリンクの力は、女性であるナナは止められません。
なのでぎゅうとつまんでリンクを落ち着かせるのです。
「でも普段ポケットに入れたら失くしそうだわ…ペンダントとか、そういうのにできないの?」
「あ、できるよ。ペンダントがいい?ブレスレットもできるよ」
「できるんだ…リンクって意外と器用だよね」
「意外…」
彼女に渡した笛を受け取りながらナナの提案を聞きました。
彼は日ごろから趣味で木彫りや小物を作っているようです。彼の家の中にもいくつかの木彫りが置いてあります。
「そんな手先が器用に見えないんだもん。ペンダントでお願い」
「そうかなあ…僕これでも村で器用な方なんだけど…」
しょぼしょぼと先ほどまで振り回していた尻尾がたらんと下がってしまいました。それでもナナの要望に応えて笛をペンダントになるように細工をしていきます。彼の話は本当のようで、手間取るようなこともなく、すぐにペンダントになりました。
「はい。これで大丈夫?」
「すごい!そんなすぐにできるんだ!ありがとう!」
「えへ…じゃあ僕お手伝いに行ってくるからね。すぐに帰ってくるから!家から出るときは必ずそれもっていってね!絶対だからね!」
「うるさーい!早く行ってきて!」
そういうと、ナナはリンクを扉へと押し出しました。リンクは後ろ髪を引かれる思いで村のお手伝いへとでかけていきます。
「もう!今日はゼルダとお話するだけなんだから心配しすぎよ!」
リンクたちの村で住むようになって幾日か経っていました。ナナの男性への怖さはまだまだありますが、挨拶をできるようになっていました。事情を知る優しい人たちのおかげです。
このまま過ごせば、いつかはトラウマを克服することができるでしょう。
「…はぁ」
ナナはため息をつきました。
それからリンクの使っている机を見て、すぐに首を横にふります。
「今はゼルダとのお話を楽しまないと!お茶とお菓子を用意しなきゃ」
準備をしようとすると、扉がコンコンと叩かれました。
「ナナ!遊びにきたわ!」
「やだ!もうそんな時間なの⁉ゼルダまってー!今開けるから!」
ナナが急いで扉を開けると、お友達のゼルダがにこにこと笑顔で立っていました。
「こんにちはナナ!朝から大変だったわね」
「え、まさかあの声聞こえてたの…?!」
「ええ、皆聞いてたわ。狼は耳がいいもの」
「うわぁ恥ずかしい…ごめんなさいうるさくて…」
「気にしないで、他の人たちの声も皆聞こえてるから」
ゼルダは笑って言いました。
ナナは少し顔を赤くしてしまいます。
「でもあのリンクがあんなに必死になるなんてビックリしたわ」
「そうなの?」
「えぇ。いつも寝坊助でぼんやりしてるから」
「そ、そうなんだ…知らなかった…」
「あら…ナナの前だから格好つけてるのかもね」
リンクとナナは、激しいリンクの告白の時から一緒に暮らしています。でも、リンクが寝坊しているところなんて見たことがなかったのです。だからナナはとても驚いていました。
「でもリンクのことだからいつかは寝坊するわ。その時は思いっきりお布団引っ張っていいからね」
「え?」
「大丈夫よ!私がいつもやってたから!」
「え…」
「…?あっ私とリンクがただ幼馴染だっただけよ!全然変なことしてないから!」
「あ、あぁ…うん…」
ゼルダの言葉にナナはあいまいに返事をします。ゼルダはなんだかいつもと様子が違うナナに首をかしげました。
「ナナどうしたの?何かあった?」
「えっ…あーううん違うの、ごめんね」
「嘘は駄目!絶対なにかあったわね!…まさかリンクが酷い事したの⁉」
「違う違う!それは絶対ない!逆に何もないくらいで…」
「何かあればすぐに言うのよ!私が説教するから!」
「ありがとう…」
ゼルダの言葉にナナは笑顔になります。
でも、まだまだ元気がなさそうです。
「ナナ、何があったのか教えて。もしかしたら解決できるかもしれない」
「……そうだね。もしかしたらゼルダならわかるかも」
「うん!」
ナナはすぐにお茶とお菓子を準備して、椅子に座ります。
「何があったの?」
「何かあったというか…何もない…というか」
「何もない?」
「うん…」
「それは…いい事なんじゃないの?」
ゼルダは首をかしげます。
「いい事なんでけど…その、あんまりにも何もなさすぎて…」
「?」
「一緒に暮らしてるだけっていうか、こう…恋人感みたいなのがないっていうか…」
「恋人感…それはちょっと駄目ね」
「でしょ!?」
ナナはしょんぼりしながら続けます。
「告白されて付き合ってるはずなのに…」
「リンクってば女の子の対応が下手なのね!そんな気はしてたけど…まったく何してるのかしら!」
「リンクは何も悪くないんだけどね…でも、もっと何かあってもいいと思うの」
「もう仕方ないんだから!私から言ってあげるわ!」
「えぇ⁉流石に悪いよ!」
「…確かに二人の事を外野の私がうるさく言うのは変ね…じゃあそれとなく促しておくわ。二人で話し合いをして解決するのがいいもの」
「うん、ありがとうゼルダ」
お話をしたおかげで、ナナは少しだけすっきりしたようです。ゼルダも彼女の顔をみて笑顔に戻りました。
そのあとは、二人で楽しくおしゃべりをして、お茶やお菓子を楽しみました。
ゼルダはリンクが帰って来る前におうちに帰ります。その間にリンクに会って、話してくれるそうです。ナナも笑顔で見送りました。
「た、ただいま…」
お昼が少しだけ過ぎた時間に、リンクは帰ってきました。
朝の元気さはなく、なんだかもじもじとしています。
「おかえり…どうしたの入ってきなよ」
「えと…うん…」
リンクは扉をそうっと開けて、中に入り、そうっと閉じました。
「どうかしたの?」
「えぇーと…そのぉ…ちょっとだけお話、しない?」
「…うん」
きっとゼルダが話をしてくれたのでしょう。ナナもリンクの言葉に頷きました。
二人は静かに椅子に座ります。リンクがこほんと咳払いをしました。
「あの、お話なんだけど…」
「うん」
「えぇっと…ナナが考えてる恋人の関係?ってどうなってる…?」
「え?あぁ…えーと。告白して、恋人になって…デートしたり、手を繋いだり、き、キス、したり…」
「きっ!わあっ!!」
「リンク⁉」
キスという言葉に驚いてリンクは椅子から転げ落ちてしまいました。
「大丈夫⁉」
「ご、ごめんっ!あのっやっぱり違うんだって…!」
「違う?何が?」
顔を真っ赤にしたリンクがよろよろとしながら椅子に座りなおしました。ナナも姿勢を戻します。
「その、ね、僕たちとナナの価値観が違うんじゃないかって…昼間、ゼルダに言われて…」
「価値観?ゼルダが?えぇ?どういうこと?」
ゼルダとお話している間、そんな話になってはいません。ナナは困惑しました。リンクがまだ赤い頬のまま話を続けます。
「あのね。僕たちのいう恋人って、家族になる練習みたいなもので…その、きっ…きっ…きすって、結婚する日を決めてから、するんだ…」
「…えぇ⁉どっどういうこと⁉」
「えぇーっと、たぶんだいたいどの狼の村も同じだと思うんだけど、僕たちの結婚っていうのは、子供を作る行為をすることであって…」
「子供をつく…る」
「結婚したら、えと…すぐ、子作りになるから…その前に、二人で暮らす練習をして…いつ頃に子供を作るか決めて、その間に失敗しないように練習するみたいな、流れで…」
「…」
ナナはびっくりして、顔を真っ赤にしながら両手で口を押えました。話を聞いているとなんだか義務的な流れですが、それだけ狼さんたちにとって結婚とは大切なものなのでしょう。
「だから、まだ何も決めてないから僕は何もしないし、ナナとまだ二人で暮らしてたいし、仲良くしてたいし…」
「でっでも告白した時私の」
「あれは!本当は!駄目だったの!でもナナが気づいてくれないから!」
ほっぺをかぷっとした時のことでしょうか。
「うぅーー…嫁入り前なのに…やっちゃったよぉ…一生一緒に暮らすから全然いいけどやっちゃったよぉ…」
「あ、あのリンク、その時はごめん。私は大丈夫だから…その、人間の私たちって個人によるけどそういう行為をする人もいるし…なんなら付き合った初日で、キスとかもあるし…」
「そっそんなことするの!?結婚するの!?」
「しない、こともある…」
「なにその関係!ふしだらすぎるよ!!ナナもまさか…」
「私はない!男の人との関係なんてリンクが初めて!」
「はじ、僕が初めて……ふへ…」
初めてという言葉で、リンクは心がもぞもぞと変に、でも幸せな想いでいっぱいになりました。
「…でもリンクが私に何もしないのってそういう価値観だったからなんだね」
「うん…ゼルダと話してる時にゼルダも僕も不思議になって。もしかしたら文化とか価値観が違うのかもって話になったから」
「そうなんだ…」
「でも二人で話し合って、ちゃんと誤解が解けたみたいでよかった。こういうのも夫婦になる練習だね」
「…う、うん」
リンクはまだ少し赤いほっぺで穏やかに笑いました。彼の中では夫婦になることは決まっているようです。彼の言葉にナナは戸惑いながらも頷きました。
「ねえナナ、やっぱり僕たちの価値観と合わない?これからもそういうのたくさん出てくると思うんだ…もし嫌なら僕がナナに合わせるから」
「ううん。しなくていいよ。ここは狼たちの、リンクたちの村なんだもん。人間の私が押し通していいわけないよ」
「ナナ…」
「私がリンクたちに合わせる。郷に入ってはなんとやらっていうでしょ?人間の私を受け入れてくれたんだもの。しっかり慣れていかなきゃ!」
「ナナ!!」
「ぎゃ!」
落ち着いていたリンクはぷるぷると震えて涙を流しながらナナをぎゅうっと抱きしめました。
「ナナのそういうところも好き!大好き!!一生好き!」
「わかった!わかったから!」
「ちょっとずつ二人で話して解決していこうね!僕頑張るから!不安なことがあったらすぐに言ってね!」
「言う!言うよ!むぐ」
「大好きー!」
「わかったから大きな声で言うのやめてぇー!周りに聞かれちゃうー!」
ぎゅうぎゅう、頭をすりすり。
元気に飛びついて喜びをいっぱい表現します。やわらかいお耳がナナの顔をかすめたり、もっふり当たったりしています。
「ナナが妊娠しても大丈夫なように勉強たくさんしておくね!」
「もういいからー!!」
次の日、村の人たちから暖かい目で見つめられました。
狼はやっぱり怖いかも