幸
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おおかみさんこんにち…いねえ」
この日もミドナに嫌な顔をされながらリンクはタカマガハラを訪れた。だが、いつも笑顔で迎えてくれる店主のおおかみさんは居らず、明かりと家具だけが彼を迎え入れた。
「おかしいな。閉店なんて書いてなかったし…おおかみさーん!」
「んなーー!お客がきてしまったぞ!おおかみさんちょっと離れる!」
店の奥、厨の方からおおかみさんの叫ぶ声がかすかに聞こえた。リンクは居ることに安心して走っているであろう足音を聞いて待った。
「おまたせした!おぉリンクかいらっしゃい!」
「おう、なんか仕込みでもしてたか?」
「うむ!餅をついていた!」
「もち?」
彼女の単語に首をかしげた。
「お米をついてできる食べ物だな!いろんな食べ方ができて美味しいぞ」
「へー!」
「だがまだつきおわらなくてな…時間がかかるからその間何かつまめるものでも作ろう!」
「え、でも誰かいるんじゃないか?」
「む?」
「おおかみさん、誰かと一緒にいるんだろ?さっき言ってた」
「んまあ…だがお客を待たせるわけにも…」
「もちって、一人じゃできないのか?」
「できなくはないが、人がいたほうが美味しくできるのは確かだなぁ」
「じゃあ俺も手伝うよ」
誰かに声をかける言葉、もちというものができていない。ということはもちという料理はとても大変な仕込みであるというのをリンクは感じとった。人が多ければよいのならば、待つより己も手伝ったほうが良いと思ったのだ。
「お客にさせるわけにはいかないぞ!」
「俺力仕事も細かい仕事も結構できるよ?」
「そういうことではない!」
「でももちって人手がいるんだろ?あ、いや料理人に素人が手伝うってのはまずいか…」
「あっあっお、落ち込まないでくれ!もちは誰でもできるものだ!だ、だがお客に手伝わせるのはお店としてだな…」
「今までの飯のお礼だと思ってくれよ」
「だからそれはお気持ちだと」
「人と何かやるのって楽しいし」
「うーーーーっ!!」
嬉しそうに、そういわれてしまったらおおかみさんは手伝わせないわけにはいかない。彼女はかすかな彼の幸せを感じ、店の裏へと案内した。
裏手の扉を開ければ、外からは見えない森林と畑があった。
それよりも手前の広いスペースに、木製の何かと木製のハンマーを持ったうさぎがいた。
「え」
「弓神殿!おまたせした!今からこの子も餅つきに参加させたいんだがいいだろうか!」
「え?」
真っ白い毛並みに赤い模様が入ったつぶらな瞳のうさぎはリンクを一瞥してふすふすと口元を動かすとハンマーを持ち直した。
「よし!ではリンク一度餅つきのやり方を教えるから見ててくれ!」
「え、あのっ」
「では参るぞ!」
リンクの言葉も言い終わらぬうちにおおかみさんとうさぎの餅つきが始まった。
うさぎがハンマーで木製の大きな置物の中心を叩き、おおかみさんが素手でその中心の何かをひっくりかえす。それをひたすら繰り返す。繰り返すのだが。
「はいはいはいはいはいはいっ!」
「…」
速いのだ。あまりにも二人(一匹と一人)の動きが早く何をしているのかはわかるが何が起きているのかはわからない。
うさぎとは思えぬ怪力とスピード、母性の塊のようなおおかみさんが見たことのない顔をして行事をしている。
「はい完成!リンク!わかったか⁉これが餅つきだ!」
「…」
一仕事を終えたうさぎとおおかみさんはお互いにすがすがしい顔で額の汗をぬぐってそう言ってきた。
「リンク?」
「どこから突っ込めばいいんだよ!!!」
この日、腹からの声とお気持ちが店の裏庭に響いた。
「杵をもって、こう、ぐっと打ち付ける」
「このきねってやつ結構重いな」
「うむ、故に男がもって女が餅をひっくり返すのが安全だな。ほれやってみなさい」
「おう」
うさぎの話をされても一切理解ができなかったので、道具の名称と餅つきのやり方を教わる。
「っしょ!」
「うむ、最初はもみこむようにお米をついてくれ」
「こう…か?」
「そうそう!うまいうまい!」
最初はお米、もち米が飛び散りやすいため、まとまるまでは粘土を練るように杵で全体をゆっくりと打つ。たまにおおかみさんが米をひっくりかえし、またそこからゆっくりとついていく。
「ん、え?」
時よりうさぎが杵を手にとってやり方を見せる。元々のセンスもあり、リンクはそのやり方を見様見真似でやっていく。
「うむこれくらいになってから少し高い所からついてくれ。ちょっと足腰の力も入れてな」
「えーっと…っこう⁉」
「そうそう!」
米の粒がなくなってきた頃にようやく杵を段々高い位置から振り下ろす。べちんべちんと白い塊をついて、ひっくり返す。段々粒がなくなり白い一つの塊に代わる。
「リンク、杵をこのお湯で濡らそう」
「え?」
「餅の粘りでくっつくんだ。たまに餅や杵にかけないとくっついたり乾いたりしてしまうんだ」
「そうなんだ」
杵と臼のヘリにお湯をすこし付けて再び餅をつきはじめる。
べちんと弾力のある音が強くなり、餅が伸びるようになってきた。
「ほれもう少しだぞ」
「っはぁ…!ふっ!」
杵を高く持ち上げてはおろし、餅をひっくり返してはまたつく。ひたすらにそれを繰り返していれば、うさぎが合格サインをおおかみさんに見せた。
「よーしよし!リンク餅ができたぞ!お疲れ様だ!」
「ハァ…ハァ…はーーーー…っ!つっかれた…」
「良いお餅になったなぁこれも一生懸命ついてくれたおかげだな!ありがとう!」
「おう…」
慣れぬ力仕事にリンクは杵を臼にひっかけて座り込んだ。
おおかみさんは仕上げに暖かい証拠である湯気を出す餅を丁寧に丸めて、白い粉がまぶされた木板に置いた。
「リンク、リンク」
「あぁ?」
「できたてもちもちの餅を食べてみなさい」
「…あ、もち」
「これは作った者にしか味わえないものだ!遠慮せずに食べてくれ!」
おおかみさんは小皿に黒いタレを少し入れて出来立ての餅を少しだけちぎって小皿に乗せる。
フォークと小皿を渡されたリンクはもらい受け、餅を突いた。
餅はむにりと弾力のある硬さともちもちさがあり、今までに体験したことのない感触だった。
「…はむっあふっあっ!」
「あ、餅は熱いからちょっとずつ食べてくれ!」
熱々が口の中で暴れた。空気を入れて冷まして落ち着かせて嚙み切る。
噛み切る…噛み…
「ひへはは!」
「それが餅の醍醐味だ!」
想像よりも強い弾力とチーズのようにどこまでも伸びる粘度。今までのどの料理とも違う食感にリンクは驚きと戸惑いを隠せなかった。
やっと噛み切れたと思えば噛んでも噛んでも細かくならないもちもちの塊が居座り、いつ飲み込めば良いのか判断ができない。
「口の中で小さくちぎって一つずつしっかり飲み込むんだぞ」
「もごもご…」
言われた通りに少しずつ飲み込み、やっと口の中が空っぽになった。
「どうだリンク!これが餅だ!」
「思ってたよりすごい…もちもちしてた…」
「これを使っていろんな料理が作れるんだ。だが出来立ての餅の味はこの時にしか味わえないものだ」
「そうなんだ…」
「あ、もしやあまり美味くなかったか?!」
「あぁ違う違う!味よりも食感に驚きすぎてまだわかんないんだよ」
「む、そうか。ならば食べて慣れるといいぞ!」
おおかみさんはまた小さな餅を小皿に乗せて勧める。リンクも口にいれてなんとなくの食べ方と味を感じる余裕がでてきた。
「…ん、美味いなもちって」
「そうかそうか!」
「ちょっとしか食ってないのにお腹いっぱいになってきたな…」
「元々米だからな!ちょっとでも腹持ちは良いのだ!」
「他にも料理があるって言ってたよな?」
「うむ、お汁に入れたり甘い物を乗せたり、餅に混ぜたりもできるぞ!」
「へぇー!」
「興味があってなによりだ!」
餅と黒いタレでも十分な美味しさがあったが、別の料理ではまた別の美味しさがあるだろう。リンクは興味を示した。
「ではその料理に使う餅をつかねばならんぞ!」
「え」
おおかみさんは店に戻り、すぐに大きな鍋をもってきて臼に中身を入れた。炊かれた綺麗なもち米。
「さぁリンク!まだまだ餅つきはこれからだぞ!」
「え、え!?これで終わりじゃねえの!?」
「何を言う!お客に出すものだぞ!こんなものでは足りん!」
「うそだろ…!」
うさぎはそのリンクの足を前足でてしてしと叩き、無常にも催促をしたのだった。
この日もミドナに嫌な顔をされながらリンクはタカマガハラを訪れた。だが、いつも笑顔で迎えてくれる店主のおおかみさんは居らず、明かりと家具だけが彼を迎え入れた。
「おかしいな。閉店なんて書いてなかったし…おおかみさーん!」
「んなーー!お客がきてしまったぞ!おおかみさんちょっと離れる!」
店の奥、厨の方からおおかみさんの叫ぶ声がかすかに聞こえた。リンクは居ることに安心して走っているであろう足音を聞いて待った。
「おまたせした!おぉリンクかいらっしゃい!」
「おう、なんか仕込みでもしてたか?」
「うむ!餅をついていた!」
「もち?」
彼女の単語に首をかしげた。
「お米をついてできる食べ物だな!いろんな食べ方ができて美味しいぞ」
「へー!」
「だがまだつきおわらなくてな…時間がかかるからその間何かつまめるものでも作ろう!」
「え、でも誰かいるんじゃないか?」
「む?」
「おおかみさん、誰かと一緒にいるんだろ?さっき言ってた」
「んまあ…だがお客を待たせるわけにも…」
「もちって、一人じゃできないのか?」
「できなくはないが、人がいたほうが美味しくできるのは確かだなぁ」
「じゃあ俺も手伝うよ」
誰かに声をかける言葉、もちというものができていない。ということはもちという料理はとても大変な仕込みであるというのをリンクは感じとった。人が多ければよいのならば、待つより己も手伝ったほうが良いと思ったのだ。
「お客にさせるわけにはいかないぞ!」
「俺力仕事も細かい仕事も結構できるよ?」
「そういうことではない!」
「でももちって人手がいるんだろ?あ、いや料理人に素人が手伝うってのはまずいか…」
「あっあっお、落ち込まないでくれ!もちは誰でもできるものだ!だ、だがお客に手伝わせるのはお店としてだな…」
「今までの飯のお礼だと思ってくれよ」
「だからそれはお気持ちだと」
「人と何かやるのって楽しいし」
「うーーーーっ!!」
嬉しそうに、そういわれてしまったらおおかみさんは手伝わせないわけにはいかない。彼女はかすかな彼の幸せを感じ、店の裏へと案内した。
裏手の扉を開ければ、外からは見えない森林と畑があった。
それよりも手前の広いスペースに、木製の何かと木製のハンマーを持ったうさぎがいた。
「え」
「弓神殿!おまたせした!今からこの子も餅つきに参加させたいんだがいいだろうか!」
「え?」
真っ白い毛並みに赤い模様が入ったつぶらな瞳のうさぎはリンクを一瞥してふすふすと口元を動かすとハンマーを持ち直した。
「よし!ではリンク一度餅つきのやり方を教えるから見ててくれ!」
「え、あのっ」
「では参るぞ!」
リンクの言葉も言い終わらぬうちにおおかみさんとうさぎの餅つきが始まった。
うさぎがハンマーで木製の大きな置物の中心を叩き、おおかみさんが素手でその中心の何かをひっくりかえす。それをひたすら繰り返す。繰り返すのだが。
「はいはいはいはいはいはいっ!」
「…」
速いのだ。あまりにも二人(一匹と一人)の動きが早く何をしているのかはわかるが何が起きているのかはわからない。
うさぎとは思えぬ怪力とスピード、母性の塊のようなおおかみさんが見たことのない顔をして行事をしている。
「はい完成!リンク!わかったか⁉これが餅つきだ!」
「…」
一仕事を終えたうさぎとおおかみさんはお互いにすがすがしい顔で額の汗をぬぐってそう言ってきた。
「リンク?」
「どこから突っ込めばいいんだよ!!!」
この日、腹からの声とお気持ちが店の裏庭に響いた。
「杵をもって、こう、ぐっと打ち付ける」
「このきねってやつ結構重いな」
「うむ、故に男がもって女が餅をひっくり返すのが安全だな。ほれやってみなさい」
「おう」
うさぎの話をされても一切理解ができなかったので、道具の名称と餅つきのやり方を教わる。
「っしょ!」
「うむ、最初はもみこむようにお米をついてくれ」
「こう…か?」
「そうそう!うまいうまい!」
最初はお米、もち米が飛び散りやすいため、まとまるまでは粘土を練るように杵で全体をゆっくりと打つ。たまにおおかみさんが米をひっくりかえし、またそこからゆっくりとついていく。
「ん、え?」
時よりうさぎが杵を手にとってやり方を見せる。元々のセンスもあり、リンクはそのやり方を見様見真似でやっていく。
「うむこれくらいになってから少し高い所からついてくれ。ちょっと足腰の力も入れてな」
「えーっと…っこう⁉」
「そうそう!」
米の粒がなくなってきた頃にようやく杵を段々高い位置から振り下ろす。べちんべちんと白い塊をついて、ひっくり返す。段々粒がなくなり白い一つの塊に代わる。
「リンク、杵をこのお湯で濡らそう」
「え?」
「餅の粘りでくっつくんだ。たまに餅や杵にかけないとくっついたり乾いたりしてしまうんだ」
「そうなんだ」
杵と臼のヘリにお湯をすこし付けて再び餅をつきはじめる。
べちんと弾力のある音が強くなり、餅が伸びるようになってきた。
「ほれもう少しだぞ」
「っはぁ…!ふっ!」
杵を高く持ち上げてはおろし、餅をひっくり返してはまたつく。ひたすらにそれを繰り返していれば、うさぎが合格サインをおおかみさんに見せた。
「よーしよし!リンク餅ができたぞ!お疲れ様だ!」
「ハァ…ハァ…はーーーー…っ!つっかれた…」
「良いお餅になったなぁこれも一生懸命ついてくれたおかげだな!ありがとう!」
「おう…」
慣れぬ力仕事にリンクは杵を臼にひっかけて座り込んだ。
おおかみさんは仕上げに暖かい証拠である湯気を出す餅を丁寧に丸めて、白い粉がまぶされた木板に置いた。
「リンク、リンク」
「あぁ?」
「できたてもちもちの餅を食べてみなさい」
「…あ、もち」
「これは作った者にしか味わえないものだ!遠慮せずに食べてくれ!」
おおかみさんは小皿に黒いタレを少し入れて出来立ての餅を少しだけちぎって小皿に乗せる。
フォークと小皿を渡されたリンクはもらい受け、餅を突いた。
餅はむにりと弾力のある硬さともちもちさがあり、今までに体験したことのない感触だった。
「…はむっあふっあっ!」
「あ、餅は熱いからちょっとずつ食べてくれ!」
熱々が口の中で暴れた。空気を入れて冷まして落ち着かせて嚙み切る。
噛み切る…噛み…
「ひへはは!」
「それが餅の醍醐味だ!」
想像よりも強い弾力とチーズのようにどこまでも伸びる粘度。今までのどの料理とも違う食感にリンクは驚きと戸惑いを隠せなかった。
やっと噛み切れたと思えば噛んでも噛んでも細かくならないもちもちの塊が居座り、いつ飲み込めば良いのか判断ができない。
「口の中で小さくちぎって一つずつしっかり飲み込むんだぞ」
「もごもご…」
言われた通りに少しずつ飲み込み、やっと口の中が空っぽになった。
「どうだリンク!これが餅だ!」
「思ってたよりすごい…もちもちしてた…」
「これを使っていろんな料理が作れるんだ。だが出来立ての餅の味はこの時にしか味わえないものだ」
「そうなんだ…」
「あ、もしやあまり美味くなかったか?!」
「あぁ違う違う!味よりも食感に驚きすぎてまだわかんないんだよ」
「む、そうか。ならば食べて慣れるといいぞ!」
おおかみさんはまた小さな餅を小皿に乗せて勧める。リンクも口にいれてなんとなくの食べ方と味を感じる余裕がでてきた。
「…ん、美味いなもちって」
「そうかそうか!」
「ちょっとしか食ってないのにお腹いっぱいになってきたな…」
「元々米だからな!ちょっとでも腹持ちは良いのだ!」
「他にも料理があるって言ってたよな?」
「うむ、お汁に入れたり甘い物を乗せたり、餅に混ぜたりもできるぞ!」
「へぇー!」
「興味があってなによりだ!」
餅と黒いタレでも十分な美味しさがあったが、別の料理ではまた別の美味しさがあるだろう。リンクは興味を示した。
「ではその料理に使う餅をつかねばならんぞ!」
「え」
おおかみさんは店に戻り、すぐに大きな鍋をもってきて臼に中身を入れた。炊かれた綺麗なもち米。
「さぁリンク!まだまだ餅つきはこれからだぞ!」
「え、え!?これで終わりじゃねえの!?」
「何を言う!お客に出すものだぞ!こんなものでは足りん!」
「うそだろ…!」
うさぎはそのリンクの足を前足でてしてしと叩き、無常にも催促をしたのだった。