幸
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小さなリンクは扉を開けた。
「あ、おおかみさんこんにちは!」
「む、おぉリンク!いらっしゃい!」
不安げな顔だったリンクは、おおかみさんを見ればすぐに笑顔に変わり、元気よく中に入った。
「おおかみさん!またごはんつくって!」
「いいとも!タマはそういうお店だ!では椅子を」
おおかみさんはカウンターから出て他とは違う椅子を持ち出す。
「これはなに?」
「うむ。リンクのような身長でも大丈夫な椅子だ。今までの椅子じゃ食べにくいだろう?」
「ありがとうおおかみさん!」
足がかけられるようになった台形に近い椅子をリンクは軽やかに登り、座った。
「わ!よく見える!」
「うむ、丁度よさそうだな!」
「おおかみさん、これなあに?泥?」
椅子に座ることで、見えなかったものが見えたリンクは、一つの気になるものを見つけた。
「これか、ちょこれーとという食べ物だぞ」
「これ食べ物⁉」
「おおかみさんも初めて見たときは驚いたぞ!でもこれは美味しいんだ!」
トロトロになったチョコレートの鍋を見て、リンクはいろんな角度から見て匂いを嗅いで、見た目のイメージとの違いに驚いた。
「なにこれ!すっごい甘いにおいがする!なにこれ!」
「良い匂いだろ!一口食べてみるといい」
おおかみさんは匙にチョコレートを少しだけ掬いとってリンクに差し出す。おおかみさんの手からそのまま口にいれて、また彼は驚いた。
「あまーい!!おいしー!」
「そうだろうそうだろう!お菓子にするともっと美味しいぞ!」
「おかし!クッキーとかケーキとか⁉」
「そうだ!」
「たべたい!」
「よしきた!」
一口でその美味しさの虜になったリンク。おおかみさんのお菓子という言葉に椅子から立ち上がる勢いで飛びついた。
「だが先に少しだけご飯を食べていけ。お菓子だけでは体によくないからな!」
「はーい!」
「返事ができるのは良い子の証拠だ!」
大変花丸な返答におおかみさんはリンクの頭を少し撫でると、すぐに簡単な料理を作る。
簡単なパスタをこれまた笑顔で完食し、いよいよ本命の出番である。
「よいこのリンクにはちょこぷりんをあげよう!」
「ちょこぷりん?」
小さなお皿にのったぷるぷるの赤茶のプリン。
まずその震える動きが気になり、自分の手でお皿を揺らす。
「すごい!ぷるぷるしてる!なにこれ!」
「ぷりんなので!」
「これさっきのちょこれーと?がはいってるの?」
「もちろん!」
話している間もずっとぷるぷる震えさせている。動きが楽しいのか暫く手が止まらなかった。やっと手を止めて出された匙でまた突いてみる。
「ぷるぷる」
「リンク、あんまりつついているとぷりんが固くなって美味しくなくなってしまうぞ」
「え!そうなの!?」
「そうなの」
ぷるぷるは楽しいが、美味しくなくなるのはよろしくない。
リンクは匙をすぐにプリンに差し込んで一口掬う。そしてそのまま口に入れた。
「やわらかーい!おいしー!」
「うむうむ!」
「ちょこれーとのあじもする!甘くておいしい!おおかみさん!もう一個!」
「お菓子のおかわりは一回までだからな!」
「なんでー!?」
おおかみさんの言葉にリンクは文句を言う。お菓子ばかりでは子供の成長によろしくないことを彼女はよくわかっているからであった。ちゃんと節度を守らなければならない。
「お菓子ばかりでは大きくなれないぞ」
「大きく?」
「うむ。お菓子ばっかりじゃおおかみさんの身長を抜けないぞ」
「えっ!やだ!」
「だからお菓子はほどほどがいいんだ」
「…はぁーい」
身長が伸びないというのはリンクにとって大事なことであったようだ。しぶしぶ納得してまたチョコプリンを食べる。
あまくてぷるぷるのプリンを食べれば、先ほどの不満など吹き飛んでしまう。
すぐに笑顔に戻り、二つ目のプリンも難なく食べきったのであった。
「おおかみさんこんちわ!」
「いらっしゃい!リンク」
狼っぽいリンクが入店してきた。
おおかみさんは笑って向か入れる。だが、リンクはすぐに嗅いだことのない匂いと、見たことない鍋の中身に不審がった。
「なんだこれ、甘い匂いがする…泥か?」
「ちょこれーとという甘い食べ物だぞ」
「これ食べ物?えぇ…」
「見た目は不可解かもしれないが、食べればわかるぞ。ほれ」
匂いと見た目で怪訝な顔になっているリンクは、中身が掬われた匙を受け取り、口に含んだ。
「ん…あまっ…」
「どうだ美味いだろう!」
「美味い…初めて食った」
「お菓子として女子供に大人気なんだぞ!」
「なるほどなぁ」
「む、甘いのは得意ではなかったのか?この前は桜餅を美味そうにしていたが…」
いつものように飛びつくことはしないリンクを、おおかみさんは不思議そうに見た。
「いや、普通に好きなんだけど…なんつーか、これだけってずっと食べるっていうのは、飽きるっていうか…さくらもちは甘くてしょっぱかったし」
「そうか、ちょこれーとだけでは物足りないということか」
おおかみさんは考えるそぶりをして、裏手から苺を持って帰ってきた。
その苺を長い串に刺してちょこれーとにくぐらせる。
「こういうのはどうだ?」
「ん?」
チョコレートがついた苺の串をリンクに差し出し、彼は受け取ってすぐに口にいれた。
「…あっ美味い。これいいな」
「うむ、果物とちょこれーとは合うんだ」
「他の果物も美味そうだな」
「果物でもいいが、くっきーやあいすくりーむにかけてもうまいぞ!」
「へー!それも食ってみたい!」
「ならば先に飯を食ってからだな!でざーとはそのあとだ!何がいい?」
「じゃあからあげ!多めで頼む!」
「まかせろ!」
注文を受けたおおかみさんは、すぐに唐揚げの準備を始めた。
衣が揚がる音にリンクはソワソワしながら待機し、皿に乗った揚げたての唐揚げを笑顔で食べていった。
「よし、果物とくっきーと…そうだな、ぱんなんかもいいぞ!」
「うおっ多いな…」
唐揚げを完食したリンクの前に様々な食材を並べた。
果物はさることながら、そのままでも食べられるお菓子類、白いパンも用意されている。
小さなカップに入れられた暖かいチョコレートはお湯のはいったボウルの中に入れられていた。
「パンにチョコレート?」
「果物と一緒に食べると美味いぞ!」
「へー」
「見たことないものがあれば聞いてくれ!」
「これ何?」
「む、ぱいなっぷるは知らないか」
リンクは次々に果物を串に刺して、チョコレートに浸して食べていく。
「んでさ、俺の村にこういうのなくて」
「そうかそうか、リンクの村は自然を大事にしているのだな!」
普段、料理に舌鼓をしていることがほとんどである。
そのためこうやっておおかみさんとリンクが何気ない会話をするということがなかった。
チョコレートと果物の食べやすさは、こういった良さもあるのかもしれない。
最近空から落ちることがなくなったリンクは、目の前のグラタンを食べつつも裏手にいるおおかみさんから視線を外さなかった。
グラタンは美味しい。だが、これから来る未知のデザートが気になって仕方なかったのだ。
「リンクー!」
「あっなにー!?」
「ぐらたんのおかわりはいいかー!?」
「大丈夫ー!」
「わかったー!もう少しでできるからなー!」
「はーい!」
出来上がるらしい物にむけて、残ったグラタンに手をつけはじめた。
「リンク、できあがったぞ!」
「やった!」
「ほれぶらうにーだ!」
さげられたグラタン皿に代わって、暗い茶色のケーキが目の前に現れた。その見た目に驚きながらもリンクはいろんな角度からケーキを見る。
「これ本当にあの泥みたいなチョコレート⁉」
「そうだぞ!濃厚でしっとりしてて美味しいんだ!」
「濃厚…!」
こちらのリンクは割と甘い物が好きらしく、最初に食べた時もとろりとした甘さに目を輝かせていた。
フォークをブラウニーの先に差し込むと、密度の高さに驚いた。どっしりとした重さのあるケーキを一口食べる。
「んーっ!すっごい美味しい!さっきのチョコレートと全然違うね!」
「うむ!美味しそうでなによりだ!」
「重量感があって食べ応えもあるし、本当に濃厚!もう一切れは食べれそうかな…」
「おかわりはできるからな!」
「とりあえずこれを食べきってから考えるね!」
口の中で溶けていくブラウニーはチョコレートの味を堪能できるケーキであったようだ。食べるたびに顔を溶かすリンクに、おおかみさんは満足そうな笑顔でお皿を洗い始めた。
「これ、持って帰れたらなぁ…」
「すまんな。固くなって美味しくなくなってしまうから数日も持たないんだ」
「うーん、残念」
「その変わり、タマに来てくれればいつでも作るぞ!」
「うん!あ、でもパンと果物のやつも気になる…どうしよう…!」
「どっちも頼めばいい」
「だ、だめだよ!どっちもたくさん食べたくなっちゃう…!残したくないんだよおおかみさんの料理!」
おおかみさんは耳と尻尾を大きく動かした。
「こんにちは」
「いらっしゃいリンク!」
「…なんだか今日は甘い匂いですね」
丁寧に開かれた扉の先からフードを深くかぶったリンクが現れた。店内の匂いに誘われるようにカウンターに近寄り、匂いの元を見る。
「…泥?」
「ちょこれーとだぞ!」
「聞いたことはあります。珍しい食べ物ですよね」
「そうなのか?」
「俺も食べたことはありません」
リンクはそのまま席に座ってチョコレートに対して知っていることを話した。
「なるほど、ならば食べていくといいぞ!」
「そうします」
「チョコレート以外に食べたいものはなんだ?リンクはたくさん食べるからな!」
「では、この前のキッシュと…」
リンクは食べたことがあるもの、特定の材料が使われた料理を次々に頼んでいく。その細身の体のどこに入るのか不思議だが、おおかみさんは笑顔で注文を聞いていく。
すぐにできそうな物から着手し、次々とリンクの目の前に出していく。彼も出された物を一つ一つ丁寧に、たまに豪快に食べていく。顔はあまり動かないが、美味しいのだろう。食べる手は一切止まらない。
ある程度食事が進んだ後、おおかみさんは裏手から何かが入った平らな器をもってきた。
「おおかみさん、それは?」
「うむ、チョコレートだぞ。そろそろかと思ってもってきたんだ」
「流石です」
「ふふん!おおかみさんだからな!」
トレーに入っているチョコレートの上から、同じ色の粉をふりかける。少し温めた包丁で四角に切り分けて、一つ一つを小皿に何個か乗せた。
「ほれ、なまちょこだぞ!」
「生チョコ?」
「ちょこれーとは冷やすと固くなってしまうんだが、生ちょこは固くならないんだ!」
「なるほど」
おおかみさんが綺麗に空っぽになった皿を流し台に入れる。リンクは出されたフォークで一粒刺した。意外と柔らかいそれに少し驚いたが、何の迷いもなく口に入れる。
「…ん、甘い。それに、先ほどのチョコレートより滑らかですね」
「生ちょこの良いところだ!」
「口当たりがよくて美味しいです」
「女子供にも大人気だぞ!」
「なるほど、納得です」
ひんやりとした生チョコは口にいれればすぐに溶けて、滑らかな柔らかい味が広がる。チョコにかかった粉がほどよく苦いため、甘すぎないところもいいようだ。
「小さいから結構すぐになくなりますね」
「リンクはよく食べるから尚更だな!」
「…」
言われて恥ずかしいのか、リンクは少し咳払いをした。
「おかわりはあるぞ?」
「…お願いします」
「任せろ!」
それでも美味しい物を食べたい欲には敵わないらしい。
おおかみさんは喜んでおかわりの生チョコを差し出した。