東雲 歩
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津軽本編読み終えて…勢いからの三角関係
※津軽→ウサ←東雲
東雲ルートのはずだが付き合ってない
桃山「あああ、あますぎだろーーーーーはんばーーーぐ!」
東雲「………」
瀬戸内「桃山先輩がとうとう壊れた…南無南無…」
大石「………(いつものこと…)」
桃山「いや!ふつうに、あまーーいって言いたかったのに拗らせてハンバーグ!の方が出てくるぐらい、気が動転している」
東雲「…あ、そう」
桃山「え!つめたい」
東雲「………」
桃山「んんな!ほっぺうにうにうにゃぐがが」
両頬を手でガッと掴まれてうまく話せない。
瀬戸内「俺はなんでも良いですけどね、な、大石」
大石「桃山先輩は、津軽さんのことが、好きなんですか?」
桃山「!?!?」
大石くんは、大真面目にこちらを向いて質問してきた。
質問に驚いた勢いで、東雲さんから掴まれて手から抜けて、椅子に座ったまま後退りする。
チラッと東雲さんを見ると、斜め45度の上から目線で見下ろされる。
いつもは自信満々な顔しているが、表情はなんとも読めない。
東雲「………で、どうなの」
桃山「や!まだ、えっ、いま!?いまここで言わないどダメな雰囲気ですか!?」
東雲「キミ、言わないで逃げそうじゃん。………で、どうなの?」
東雲は表情を変えずに、じっと見返してくる。
桃山「そ、それは…」
瀬戸内「あ〜俺お腹空いたから先上がっていいですぐあはっ」
東雲さんが、足でガッと瀬戸内くんの椅子を蹴っ飛ばした。
(なんか加賀さん化してるんですけど、怒ってるような怖いんですけど…!!!)
東雲さんと大石くん、2人の眼差しが、眩しいくらいに突き刺さる。
桃山「えーっと、あの、私この後、な…な、難波さんに呼ばれてまして…すみません!失礼します!」
バタバタと後片付けをして、署内を後にする。
幸い、今日は津軽さんも百瀬さんも外に出ていて直帰の予定でいない。すんなり帰れる。
帰り際、東雲さんの舌打ちが聞こえた気がした…。
帰り道、スマホの電話が鳴る。
東雲さんからの電話かと思ったら、津軽さんからのLIDEのメッセージだった。
『ウサ、寂しくて死んでない?』と一言。
(死んでないけど…生きてて色んな意味で心臓がバクバク言ってますけど…)
駅の改札口に差し掛かる前に立ち止まり、津軽さんに返信をする。
『残念ながら生きてます。…寂しいかもしれないけですけど』
いやいや最後の一文は女々しい、やめよ。
タップして文字を消し、打ち直す。
『生きてます。人参でも食べます。』
送信…っと。
そもそもメッセージの意図がわからない。
百瀬さんと遠出で捜査、だったよね。
行き先は告げられてないから知らないが、潜入捜査の可能性もあるのに、LIDEしてて大丈夫なんだろうか。
まぁ、大丈夫なんだろうけど…。
??「桃山」
考え事をしたままスマホに向いた視線をあげると、後藤さんが立っていた。
桃山「あ、後藤さん。お疲れ様です」
後藤「ああ、お疲れ様。誰かと待ち合わせか?」
1人で改札にも入らず、スマホを見ていたせいだろう。キョロキョロと辺りを見回しながら聞かれた。
桃山「いえ、上司からの連絡があったので返信をしていただけです…」
それだけ言うと仕事熱心な部下だが、実際は雑談レベルの会話を返信しただけだ。
(思わず仕事してる風の言い訳してしまった…)
後藤「そうか…、仕事熱心だな。あまり根を詰めすぎるなよ」
優しく心配そうな視線を向けられる。
(いらん心配かけてしまった…!!!)
桃山「お気遣いをありがとうございます。全然ほんと大丈夫です!後藤さんにも心配かけさせてしまうなんて、私まだまだですね!」
後藤「にも?」
桃山「あっいえ、その、教官たちはみんなお優しいので、つい甘えてしまう自分がいて…だから、もっとしっかりしないとと思います」
ニコッと作り笑顔を浮かべて、なんとか心配させまいとしてみる。
(ってうかほんと、心配かけるようなことなさすぎて逆に恥ずかしい!
後藤「………アンタは、すぐ無理をするから」
ぐしゃぐしゃと頭を撫でられた。
(えーっと…逆効果だった?いやむしろ得した?なんだこの状況…役得すぎる…)
照れるような気恥ずかしい気持ちもありながら、ふふっと顔が緩んでしまう。
その瞬間、ぐいっと誰かに引き寄せられた。
自然と後藤の手から離れて、引き寄せられた相手の温もりが背中越しに伝わってくる。
??「ほら、そうやってすぐ撫でられる」
桃山「!!その声は…」
津軽「ウサ、いくらお腹空いてるからって、その辺に生えてる雑草は身体に毒だからやめておきなさい」
桃山「つ、津軽さん!雑草なんか食べてないですし、後藤さんから励ましていただいていたんです!」
後藤「とにかく、何かあったら遠慮せず言ってくれ。じゃあな」
後藤さんは津軽さんに一礼し、改札を通っていった。
津軽「…………誠二くんち、連れてかれそうになっていた?」
桃山「はぁ!?そんなわけないじゃないですか、後藤さんは誠実な方なので、誰かも違って、すぐ家に連れ込んだりはしません」
津軽「ふーん…(とかなんとか言って、実際連れ込まれてたじゃん。家の事情はあるにしても、無防備に…)」
呟きながら、津軽さんはどこか不機嫌そうな表情になる。
(なんか…嫉妬されてる…?それとも、後藤さんが単に苦手だから…?うーんわからん)
桃山「あ、あの!」
津軽「ん?」
桃山「津軽さん、ずっと距離が…」
背中越しにハグされたまま会話しているせいか、だんだん意識しちゃって顔が熱くなってきた。
熱を冷ますようにスッと離れて、横に並ぶ。
(ふー…落ち着く。津軽さんの綺麗な顔みてるとそれはそれで緊張する…そして落ち着く…。どっちだなんだこの感情)
津軽「だってウサが草食べてるから」
桃山「食べてません」
津軽「たしかに食べてるって言うよりは、食べられる前だったかもね」
桃山「後藤さんは、そんな人じゃありませんから」
津軽「……じゃ、何か買って帰ろうか」
桃山「って、津軽さんもうお仕事終わったんですか?」
津軽「うん、もう帰るところだよ。手とか繋いじゃう?)
桃山「繋ぎません。あれ、でも今日は署によらず直帰だったんじゃ…」
津軽「ドーナツ、チャーハン、ポンデダブルショコラ」
桃山「めっちゃミスドのメニュー…。いや!普通のメニューなんですけど!津軽さんらしくない…」
津軽「ん?」
桃山「津軽さんといえば、チンジャオチョコレートといい、納豆コーヒーといい、謎なグルメだったのに…」
津軽「俺、グルメだからね」
東雲「ある種のグルメですね」
桃山「え」
改札前で津軽さんとダラダラと喋っている間に、先ほどまで後藤が立っていたあたりに、歩さんがいた。
津軽「歩くんの亡霊が見えるね、俺もう天国に来たのかな」
桃山「実体ですよ、…お疲れ様です。東雲さん」
東雲「さっきぶりだね!ちょもちゃん。それで、どうなの?」
桃山「!!!」
まださっきの問いかけを続けるのか!
っていうかここに津軽さんもいるんですけど!
逃がさないという風に、歩さんは楽しそうな顔を向けてくる。
津軽「ポンデダブルショコラだよね、じゃ行こ」
そんな歩さんを無視して、津軽さんが手を引いて改札を潜り抜ける。
歩さんの舌打ちがらまた聞こえた気がする。
あ、これ後ろからついてきてるような…。
津軽「歩くん、引っ越したの?こっち方面だったっけ?」
東雲「どうでしょうね」
疑いの目を向ける津軽さんに対して、東雲さんはニコニコと表面上の笑顔を見せる。
(さっきからイケメンに挟まれて、顔面偏差値高すぎて死にそう。ってヲタクが言いそうなことをヲタクが言ってしまうくらい、顔面偏差値高い。死ぬ…く、黒澤さんあたりをよんでくれ…)
津軽「ウサは、ポンデリング?」
桃山「へ!?あっ、ミスドの話ですか?」
まだ続いてたんだ…と思いつつ返答する。
そのまま、なんやかんやで、自宅マンション兼津軽さんのマンション前まで辿り着きーーー
津軽「歩くん、じゃあねバイバイ」
東雲「…………」
津軽さんに手を引かれ、オートロックが解除された自動ドアを抜ける。
東雲さんもついてくる。
………なんで。
津軽「歩くん、ちょっと一旦話そうか」
流石の津軽さんも向き合うようだ。
ずっとツッコミたかったが、触れるとまずい気がして何もいえなかった。黙って2人の様子を見守る。
…その隙に家に入りたい。
東雲「………」
津軽「俺のストーカーになっちゃった?……それとも」
東雲「ちょもちゃん」
話しての津軽ではなく、私に問いかける。
え?私?
東雲「もう、言っちゃってもいいけど…」
急に照れ顔45度で、じっと見つめてくる。
え?なんか企んでる…?こわ。あっ舌打ちしそう。
津軽「言っちゃってもって?ウサ、なになに」
桃山「なにを…?」
東雲の顔がふっと間近に寄り、私にだけ聞こえる囁き声で「さっきのバラすけど」って言われた。
脅しじゃん!!!!!!!!!
桃山「な!!!………あ、あの、今日は東雲さん、うちでその、鍋パーティでもしようと言う話をしてまして、あっ、健全なやつです。安心してください!」
履いてますよなノリで津軽さんに説明する。
津軽「…………」
一瞬、ムッとしたような。ほんの一瞬…。
東雲さんは、口角をあげてやや勝ち誇った表情にもみえる。
津軽「ふーん、いいよ。じゃあ俺も食べてあげる」
ウサたちじゃ小動物だから食べきれないでしょとかなんとか言いながら、私が住む部屋のフロアまでやってきて、いつの間にか鍵もあけられて…。
(いや!!!なんで津軽さんが私の家の鍵持ってるの!?)
桃山「津軽さん、まさかと思いますけど合鍵つくりました?」
津軽「へー、今日は片付いてるね」
絶対聞こえてるのに、無視して部屋に上がられる。
東雲「へぇ…。まぁ、いいんじゃない」
もう1人、絶対聞こえてるのに、上から目線で部屋に上がられる。
ーーーそんなこんなで、豆乳鍋作りました。
イケメン、両手に花です。なんだこれ。
東雲「豆乳鍋なら、キミの肌も潤うね」
津軽「歩くんは、これ以上美肌になる必要ないんじゃないの。あっそれ、津軽さんのおにくなんですけど」
東雲「肉も大事なビタミン源ですよね。いただきます」
左右で肉の攻防戦(歩さんが圧勝)が繰り広げられる。
津軽「ウサ、食べないと大きくならないよ」
桃山「なにが…ですか」
津軽「えっ言わせるの?」
津軽さんの目線で言いたいことはわかる。
くっそ………。
桃山「余計なお世話です!でも食べます!」
東雲「………」
津軽「でさー。歩くんと、ウサは、付き合ってんの?」
桃山「んぐっ」
東雲「汚…」
桃山「す、すみません!」
ふきふき…
津軽「………ウサ、銀室は恋愛禁止だけど。知ってるよね?」
桃山「………はい。えっと、付き合ってないです。そこはハッキリしてます。」
津軽「ふーん。歩くんは?」
東雲「ちょもちゃんの言う通りですよ」
ニコッと営業スマイルかます歩さん。
そう、付き合ってはいない。
両思いかも…わからない。
(いま思えば、曖昧な関係すぎる…)
津軽「ふーん…。じゃあ、ウサ、俺がもらっちゃってもいいんだね」
桃山「はい?」
津軽「ウサぼっちは、津軽さんが拾ってあげるね」
よしよしと引き寄せられて、頭を撫でられる。
桃山「私、ぼっちでもいいです!エンジョイしてますから!」
なでなでは嬉しいような、でも飼い慣らされそうになってる気がして、ムカついて津軽さんから離れた。
桃山「ほら、それにいまこうしてお二人と鍋食べてて、幸せですし…」
歩さんをチラッと見ると、自信ありげな表情でこちらを見ている。
(どういう心境…)
東雲「………いいんじゃないですか。本人がそれで良いなら。あゆむさんが拾ってあげても良かったけど」
桃山「え!」
津軽「なんで歩くんには拾われたそうにしてるの」
桃山「別にしてないです!意外だなっていう…」
津軽「…歩くん、俺のウサだからね?」
ぐいっと津軽さんに引き寄せられる。
(鍋もう少し食べたかった…人形じゃないんすけど…)
東雲「………へぇ、本人はまだ鍋食べたいって顔してますけど」
(歩さんには表情読まれてるなぁ…)
津軽「ウーサ」
桃山「ひゃっ耳元で呟かないでください!くすぐったい…」
津軽「………え?このまま食べて良い?」
津軽さんの唇が耳に当たりそうになり、手をジタバタさせると、歩さんが引っ張ってくれた。
体制が元通りになる。
桃山「!!!津軽さん、もう良い加減にしてください!すぐそうやって人をおもちゃにしようとする…」
津軽「ウサが可愛すぎるのがのが悪い。後歩くんとは手を離してね」
引っ張ってもらった勢いで繋いでいた手を津軽さんのチョップで外される。
東雲「悪ノリも程々にしてくださいね。セクハラとか何とかなっても大変なんで」
猛獣の津軽さんとサーバルキャットな歩さんと、鍋食べて解散…と思ったけど、帰り際。
津軽さんを先に送り出し、歩さんが扉から出るときに声をかけてきた。
東雲「また今度、聞かせてね。ちょもちゃん」
桃山「………わ、忘れてた!それはもう、わかってるんじゃ…」
東雲「また明日、おやすみ」
いたずらな笑みを浮かべて去っていく歩さん。
永遠の少年であれ…作者ねむすぎて終了。
※津軽→ウサ←東雲
東雲ルートのはずだが付き合ってない
桃山「あああ、あますぎだろーーーーーはんばーーーぐ!」
東雲「………」
瀬戸内「桃山先輩がとうとう壊れた…南無南無…」
大石「………(いつものこと…)」
桃山「いや!ふつうに、あまーーいって言いたかったのに拗らせてハンバーグ!の方が出てくるぐらい、気が動転している」
東雲「…あ、そう」
桃山「え!つめたい」
東雲「………」
桃山「んんな!ほっぺうにうにうにゃぐがが」
両頬を手でガッと掴まれてうまく話せない。
瀬戸内「俺はなんでも良いですけどね、な、大石」
大石「桃山先輩は、津軽さんのことが、好きなんですか?」
桃山「!?!?」
大石くんは、大真面目にこちらを向いて質問してきた。
質問に驚いた勢いで、東雲さんから掴まれて手から抜けて、椅子に座ったまま後退りする。
チラッと東雲さんを見ると、斜め45度の上から目線で見下ろされる。
いつもは自信満々な顔しているが、表情はなんとも読めない。
東雲「………で、どうなの」
桃山「や!まだ、えっ、いま!?いまここで言わないどダメな雰囲気ですか!?」
東雲「キミ、言わないで逃げそうじゃん。………で、どうなの?」
東雲は表情を変えずに、じっと見返してくる。
桃山「そ、それは…」
瀬戸内「あ〜俺お腹空いたから先上がっていいですぐあはっ」
東雲さんが、足でガッと瀬戸内くんの椅子を蹴っ飛ばした。
(なんか加賀さん化してるんですけど、怒ってるような怖いんですけど…!!!)
東雲さんと大石くん、2人の眼差しが、眩しいくらいに突き刺さる。
桃山「えーっと、あの、私この後、な…な、難波さんに呼ばれてまして…すみません!失礼します!」
バタバタと後片付けをして、署内を後にする。
幸い、今日は津軽さんも百瀬さんも外に出ていて直帰の予定でいない。すんなり帰れる。
帰り際、東雲さんの舌打ちが聞こえた気がした…。
帰り道、スマホの電話が鳴る。
東雲さんからの電話かと思ったら、津軽さんからのLIDEのメッセージだった。
『ウサ、寂しくて死んでない?』と一言。
(死んでないけど…生きてて色んな意味で心臓がバクバク言ってますけど…)
駅の改札口に差し掛かる前に立ち止まり、津軽さんに返信をする。
『残念ながら生きてます。…寂しいかもしれないけですけど』
いやいや最後の一文は女々しい、やめよ。
タップして文字を消し、打ち直す。
『生きてます。人参でも食べます。』
送信…っと。
そもそもメッセージの意図がわからない。
百瀬さんと遠出で捜査、だったよね。
行き先は告げられてないから知らないが、潜入捜査の可能性もあるのに、LIDEしてて大丈夫なんだろうか。
まぁ、大丈夫なんだろうけど…。
??「桃山」
考え事をしたままスマホに向いた視線をあげると、後藤さんが立っていた。
桃山「あ、後藤さん。お疲れ様です」
後藤「ああ、お疲れ様。誰かと待ち合わせか?」
1人で改札にも入らず、スマホを見ていたせいだろう。キョロキョロと辺りを見回しながら聞かれた。
桃山「いえ、上司からの連絡があったので返信をしていただけです…」
それだけ言うと仕事熱心な部下だが、実際は雑談レベルの会話を返信しただけだ。
(思わず仕事してる風の言い訳してしまった…)
後藤「そうか…、仕事熱心だな。あまり根を詰めすぎるなよ」
優しく心配そうな視線を向けられる。
(いらん心配かけてしまった…!!!)
桃山「お気遣いをありがとうございます。全然ほんと大丈夫です!後藤さんにも心配かけさせてしまうなんて、私まだまだですね!」
後藤「にも?」
桃山「あっいえ、その、教官たちはみんなお優しいので、つい甘えてしまう自分がいて…だから、もっとしっかりしないとと思います」
ニコッと作り笑顔を浮かべて、なんとか心配させまいとしてみる。
(ってうかほんと、心配かけるようなことなさすぎて逆に恥ずかしい!
後藤「………アンタは、すぐ無理をするから」
ぐしゃぐしゃと頭を撫でられた。
(えーっと…逆効果だった?いやむしろ得した?なんだこの状況…役得すぎる…)
照れるような気恥ずかしい気持ちもありながら、ふふっと顔が緩んでしまう。
その瞬間、ぐいっと誰かに引き寄せられた。
自然と後藤の手から離れて、引き寄せられた相手の温もりが背中越しに伝わってくる。
??「ほら、そうやってすぐ撫でられる」
桃山「!!その声は…」
津軽「ウサ、いくらお腹空いてるからって、その辺に生えてる雑草は身体に毒だからやめておきなさい」
桃山「つ、津軽さん!雑草なんか食べてないですし、後藤さんから励ましていただいていたんです!」
後藤「とにかく、何かあったら遠慮せず言ってくれ。じゃあな」
後藤さんは津軽さんに一礼し、改札を通っていった。
津軽「…………誠二くんち、連れてかれそうになっていた?」
桃山「はぁ!?そんなわけないじゃないですか、後藤さんは誠実な方なので、誰かも違って、すぐ家に連れ込んだりはしません」
津軽「ふーん…(とかなんとか言って、実際連れ込まれてたじゃん。家の事情はあるにしても、無防備に…)」
呟きながら、津軽さんはどこか不機嫌そうな表情になる。
(なんか…嫉妬されてる…?それとも、後藤さんが単に苦手だから…?うーんわからん)
桃山「あ、あの!」
津軽「ん?」
桃山「津軽さん、ずっと距離が…」
背中越しにハグされたまま会話しているせいか、だんだん意識しちゃって顔が熱くなってきた。
熱を冷ますようにスッと離れて、横に並ぶ。
(ふー…落ち着く。津軽さんの綺麗な顔みてるとそれはそれで緊張する…そして落ち着く…。どっちだなんだこの感情)
津軽「だってウサが草食べてるから」
桃山「食べてません」
津軽「たしかに食べてるって言うよりは、食べられる前だったかもね」
桃山「後藤さんは、そんな人じゃありませんから」
津軽「……じゃ、何か買って帰ろうか」
桃山「って、津軽さんもうお仕事終わったんですか?」
津軽「うん、もう帰るところだよ。手とか繋いじゃう?)
桃山「繋ぎません。あれ、でも今日は署によらず直帰だったんじゃ…」
津軽「ドーナツ、チャーハン、ポンデダブルショコラ」
桃山「めっちゃミスドのメニュー…。いや!普通のメニューなんですけど!津軽さんらしくない…」
津軽「ん?」
桃山「津軽さんといえば、チンジャオチョコレートといい、納豆コーヒーといい、謎なグルメだったのに…」
津軽「俺、グルメだからね」
東雲「ある種のグルメですね」
桃山「え」
改札前で津軽さんとダラダラと喋っている間に、先ほどまで後藤が立っていたあたりに、歩さんがいた。
津軽「歩くんの亡霊が見えるね、俺もう天国に来たのかな」
桃山「実体ですよ、…お疲れ様です。東雲さん」
東雲「さっきぶりだね!ちょもちゃん。それで、どうなの?」
桃山「!!!」
まださっきの問いかけを続けるのか!
っていうかここに津軽さんもいるんですけど!
逃がさないという風に、歩さんは楽しそうな顔を向けてくる。
津軽「ポンデダブルショコラだよね、じゃ行こ」
そんな歩さんを無視して、津軽さんが手を引いて改札を潜り抜ける。
歩さんの舌打ちがらまた聞こえた気がする。
あ、これ後ろからついてきてるような…。
津軽「歩くん、引っ越したの?こっち方面だったっけ?」
東雲「どうでしょうね」
疑いの目を向ける津軽さんに対して、東雲さんはニコニコと表面上の笑顔を見せる。
(さっきからイケメンに挟まれて、顔面偏差値高すぎて死にそう。ってヲタクが言いそうなことをヲタクが言ってしまうくらい、顔面偏差値高い。死ぬ…く、黒澤さんあたりをよんでくれ…)
津軽「ウサは、ポンデリング?」
桃山「へ!?あっ、ミスドの話ですか?」
まだ続いてたんだ…と思いつつ返答する。
そのまま、なんやかんやで、自宅マンション兼津軽さんのマンション前まで辿り着きーーー
津軽「歩くん、じゃあねバイバイ」
東雲「…………」
津軽さんに手を引かれ、オートロックが解除された自動ドアを抜ける。
東雲さんもついてくる。
………なんで。
津軽「歩くん、ちょっと一旦話そうか」
流石の津軽さんも向き合うようだ。
ずっとツッコミたかったが、触れるとまずい気がして何もいえなかった。黙って2人の様子を見守る。
…その隙に家に入りたい。
東雲「………」
津軽「俺のストーカーになっちゃった?……それとも」
東雲「ちょもちゃん」
話しての津軽ではなく、私に問いかける。
え?私?
東雲「もう、言っちゃってもいいけど…」
急に照れ顔45度で、じっと見つめてくる。
え?なんか企んでる…?こわ。あっ舌打ちしそう。
津軽「言っちゃってもって?ウサ、なになに」
桃山「なにを…?」
東雲の顔がふっと間近に寄り、私にだけ聞こえる囁き声で「さっきのバラすけど」って言われた。
脅しじゃん!!!!!!!!!
桃山「な!!!………あ、あの、今日は東雲さん、うちでその、鍋パーティでもしようと言う話をしてまして、あっ、健全なやつです。安心してください!」
履いてますよなノリで津軽さんに説明する。
津軽「…………」
一瞬、ムッとしたような。ほんの一瞬…。
東雲さんは、口角をあげてやや勝ち誇った表情にもみえる。
津軽「ふーん、いいよ。じゃあ俺も食べてあげる」
ウサたちじゃ小動物だから食べきれないでしょとかなんとか言いながら、私が住む部屋のフロアまでやってきて、いつの間にか鍵もあけられて…。
(いや!!!なんで津軽さんが私の家の鍵持ってるの!?)
桃山「津軽さん、まさかと思いますけど合鍵つくりました?」
津軽「へー、今日は片付いてるね」
絶対聞こえてるのに、無視して部屋に上がられる。
東雲「へぇ…。まぁ、いいんじゃない」
もう1人、絶対聞こえてるのに、上から目線で部屋に上がられる。
ーーーそんなこんなで、豆乳鍋作りました。
イケメン、両手に花です。なんだこれ。
東雲「豆乳鍋なら、キミの肌も潤うね」
津軽「歩くんは、これ以上美肌になる必要ないんじゃないの。あっそれ、津軽さんのおにくなんですけど」
東雲「肉も大事なビタミン源ですよね。いただきます」
左右で肉の攻防戦(歩さんが圧勝)が繰り広げられる。
津軽「ウサ、食べないと大きくならないよ」
桃山「なにが…ですか」
津軽「えっ言わせるの?」
津軽さんの目線で言いたいことはわかる。
くっそ………。
桃山「余計なお世話です!でも食べます!」
東雲「………」
津軽「でさー。歩くんと、ウサは、付き合ってんの?」
桃山「んぐっ」
東雲「汚…」
桃山「す、すみません!」
ふきふき…
津軽「………ウサ、銀室は恋愛禁止だけど。知ってるよね?」
桃山「………はい。えっと、付き合ってないです。そこはハッキリしてます。」
津軽「ふーん。歩くんは?」
東雲「ちょもちゃんの言う通りですよ」
ニコッと営業スマイルかます歩さん。
そう、付き合ってはいない。
両思いかも…わからない。
(いま思えば、曖昧な関係すぎる…)
津軽「ふーん…。じゃあ、ウサ、俺がもらっちゃってもいいんだね」
桃山「はい?」
津軽「ウサぼっちは、津軽さんが拾ってあげるね」
よしよしと引き寄せられて、頭を撫でられる。
桃山「私、ぼっちでもいいです!エンジョイしてますから!」
なでなでは嬉しいような、でも飼い慣らされそうになってる気がして、ムカついて津軽さんから離れた。
桃山「ほら、それにいまこうしてお二人と鍋食べてて、幸せですし…」
歩さんをチラッと見ると、自信ありげな表情でこちらを見ている。
(どういう心境…)
東雲「………いいんじゃないですか。本人がそれで良いなら。あゆむさんが拾ってあげても良かったけど」
桃山「え!」
津軽「なんで歩くんには拾われたそうにしてるの」
桃山「別にしてないです!意外だなっていう…」
津軽「…歩くん、俺のウサだからね?」
ぐいっと津軽さんに引き寄せられる。
(鍋もう少し食べたかった…人形じゃないんすけど…)
東雲「………へぇ、本人はまだ鍋食べたいって顔してますけど」
(歩さんには表情読まれてるなぁ…)
津軽「ウーサ」
桃山「ひゃっ耳元で呟かないでください!くすぐったい…」
津軽「………え?このまま食べて良い?」
津軽さんの唇が耳に当たりそうになり、手をジタバタさせると、歩さんが引っ張ってくれた。
体制が元通りになる。
桃山「!!!津軽さん、もう良い加減にしてください!すぐそうやって人をおもちゃにしようとする…」
津軽「ウサが可愛すぎるのがのが悪い。後歩くんとは手を離してね」
引っ張ってもらった勢いで繋いでいた手を津軽さんのチョップで外される。
東雲「悪ノリも程々にしてくださいね。セクハラとか何とかなっても大変なんで」
猛獣の津軽さんとサーバルキャットな歩さんと、鍋食べて解散…と思ったけど、帰り際。
津軽さんを先に送り出し、歩さんが扉から出るときに声をかけてきた。
東雲「また今度、聞かせてね。ちょもちゃん」
桃山「………わ、忘れてた!それはもう、わかってるんじゃ…」
東雲「また明日、おやすみ」
いたずらな笑みを浮かべて去っていく歩さん。
永遠の少年であれ…作者ねむすぎて終了。