東雲 歩
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バレンタインを書きたかった
(歩さんに片思い)
公安課に所属して、2年目のバレンタイン。
(訓練生時代から、いろんなバレンタイを過ごしたな…)
訓練生時代は、たぶん、人生ではじめて山盛りのチョコを見た。教官たち宛に積まれたチョコは、アイドルの差し入れかと思うほど。
(びっくりしてたら加賀さんに無理やりチョコを食べさせられて…大変だったな)
(あんなにチョコあったのに…なんだかんだ、教官たち、チョコ受け取ってくれたんだっけ)
公安課に配属して、1年目。
今度は、元教官たちに向けたチョコと、津軽さん宛のチョコにまみれ、チョコ仕分け担当として任務を果たした。
(津軽さん、人づかいが荒かったな…)
(………いまもか)
そして、2年目。今年は、後輩と共に、チョコを仕分け担当として任務にあたっている。
数日前から届いていたチョコは、平日の今日も増え続けている。
(全然、公安の仕事じゃないけど)
(っていうか、思い返しても甘い記憶がないんですけど!)
心のメモリーにツッコミしながらも、手は止めず、宛先を確認しながら、ダンボールにチョコを仕分けていく。
いまのところ、津軽班、加賀班、石神班と、負けず劣らずの量が振り分けられている。
瀬戸内「加賀さん宛のチョコに、後藤さん宛のチョコに…ああ、俺もチョコになりたい…」
瀬戸内くんが、はぁぁあとチョコに向かってため息をつく。
大石「………」
隣の大石くんは、黙々とチョコを分けている。
桃山「今年も凄い量……」
それもこれも、彼らが独身だからなのか。
更には顔面偏差値も高いからなのか。
(後藤さんは、無自覚に、老若男女モテるし)
(石神さんは、アンドロイドと言われてるけど、ここぞという時に、素直な言葉を投げかけてくれるし)
(颯馬さんは、見た目も言動も紳士だし)
(加賀さんは、すぐ舌打ちするしキレるけど、情に熱いし面倒見いいし)
(歩さんは、塩対応ばっかでも、たまにくる糖度の高い対応が神過ぎるし)
(津軽さんは、…………)
(…………黙ってたらイケメンだもんな…)
大石「……桃山先輩、眉間の皺が」
瀬戸内「うわっ、万年チョコもらえない男みたいな顔してますよ」
教官たちのこと考えたら、眉間に皺が寄っていた。
眉間の皺を手で伸ばしながら、一息つく。
桃山「…瀬戸内くん、私はあげる側だからね?」
瀬戸内「たしかに、桃山先輩とはカップルになってた時期もありますけど、本気にされたら困るっていうか…。俺、義理なら受け取れます!」
桃山「いや、そんな気遣いいらんし!義理は後で渡すけどさぁ!」
わちゃわちゃ言い合いながら、作業すること数時間。やっと終わりが見えてきた。
(これなら定時にあがれそう…!)
(まだ教官たちにチョコ渡せてないから、帰る前に渡したいな…)
津軽「ウサ、どんな感じ?やっぱり今年も津軽さん宛のチョコが一番多い?」
桃山「津軽さん、お疲れさまです。残念ながら、後藤さんが一番かと…」
津軽「えっ、誠二くん?」
桃山「後藤さんだけ、男性の同僚やおばあちゃんおじいちゃんからも届いてまして…」
津軽「…誠二くんって、聖人君主?」
津軽さんは小さく呟き、どこかへ行ってしまった。
入れ替わりで、黒澤さんと後藤さんが向かってくる。
黒澤「後藤さんがモテモテなのは、当然でしょう。後藤さん、俺のチョコも受け取ってください!」
後藤「………桃山、毎年すまないな」
黒澤「ああっ俺の!チョコは!」
桃山「いえ、みなさんのお力になれるなら全然です。あっ後藤さん、私も後でチョコお渡ししてもいいですか?」
後藤「!…もちろんだ」
黒澤「後藤さん、俺のチョコも受け取ってください★」
後藤「………」
後藤さんは無言で通り過ぎていき、後ろから黒澤さんが追いかけていく。
その合間に、瀬戸内くんと大石くんの仕分けも終わり、残すところあとわずか。
桃山「あとは私がやっておくから、2人は先にあがっていいよ。あっあとこれ…」
2人に市販の義理チョコを手渡す。
瀬戸内「義理ですよね…?」
桃山「安心して。義理チョコだから」
瀬戸内くんは良かった〜と顔を綻ばせている。
大石「ありがとうございます」
大石くんは、…ちょっと嬉しそうな気がする。表情は読みづらいが、口角が若干上がっている。
2人を見送り、最後のダンボールに手をかけた。
数十分後ーーー
桃山「終わったー!」
津軽さんに終わったことを報告して、チョコを手に取り、教官たちの座席に向かう。
(あれ、加賀さんと颯馬さんは、もう帰っちゃったのかな)
加賀さんと颯馬さん以外は、席にいるようだ。
後藤さんから順番に渡そうと準備する。
もちろん、義理じゃない。
(教官たちの好みを詰め込んだ、思いやりチョコ…)
己のネーミングセンスにはスルーして、後藤さんのチョコを手に取り、声をかける。
桃山「後藤さん、いつもありがとうございます。こちらよければ、受け取ってください…!」
後藤「ああ。もちろん受け取る。ありがとう」
桃山「いえ!」
黒澤「ちょもちゃん、俺もきました!」
桃山「……あっはい、どうぞ」
黒澤「なんか、後藤さんの時と違って気持ちがこもってなくないですか!?」
桃山「なくなくないです」
黒澤「なくなくないからあるある……??」
黒澤さんは、喋り過ぎると色々誘導尋問されるので、さっと渡して通り過ぎる。
加賀さんと颯馬さんの席にもチョコとメッセージカードを置いて、石神さんの席にも向かう。
桃山「石神さん、お疲れさまです。いつもご指導ご鞭撻をありがとうございます。今年もよければ、こちら食べていただけたらと思います…!」
石神「桃山、いつもすまないな」
限定プリンの入った袋を渡す。
メガネの奥で、フッと石神さんの目が笑う。
桃山「そんな、石神さんに喜んでいただけたら嬉しいです。少しでも息抜きになればと‥思います」
石神「息抜き…か」
桃山「……?」
石神「……桃山、この後は…」
桃山「あとは、歩さんと津軽さんにチョコをお渡ししてきます」
津軽「俺のチョコはとっておきだもんね」
津軽さんの声が後ろからして振り返ると、ひょいっと手元の袋からチョコの箱を抜かれてしまった。
桃山「津軽さん!もう…」
津軽「ウサのこと、待ちきれなくてきちゃった。それで、秀樹くんは、うちのウサになんか用だった?」
石神「………いや、なんでもない」
桃山「それじゃあ石神さん、お疲れさまでした」
石神「ああ」
石神さんの席を離れて、歩さんの席に向かう。
(ドキドキ…って)
桃山「……津軽さん?」
津軽「ん?」
桃山「なんでついてくるんですか」
津軽「えっ、もうチョコ渡し終わるんだよね?」
桃山「え、ええ。東雲きょ…東雲さんに渡したら終わります」
津軽「だよねー。じゃあ俺とデートできるね」
桃山「え?」
(いまデートって言った?)
桃山「そんな約束した覚えは…」
津軽「え?俺とデートだよ?」
驚いたように津軽さんが目を見開く。
(その自信はどこから…)
(でも津軽さんが本気で誘うわけないから、捜査の一環なのかな…)
仕方ないので津軽さんも連れたまま、
歩さんのデスクに向かう。
桃山「東雲さん、お疲れ様です」
東雲「桃山さん、お疲れさま」
ニコッとサービススマイルで返事した後、後ろの津軽さんにギョッとする表情がみえる。
東雲「へぇ…。上司付きなんだ。今年は」
桃山「いえ、これは津軽さんが勝手に…」
津軽「歩くんは、もうチョコいらないんじゃないの?」
東雲「そうですね」
桃山「だ、大丈夫です!そう思って東雲さんには、ピーチネクターの限定スイーツにしましたから!チョコじゃないです!」
でんっと袋から箱を取り出して、歩さんに手渡しする。
東雲「…ふーん。キミにしては、悪くないね」
桃山「えへへっ…」
歩さんに褒められて、頬が緩む。
東雲「ひどい顔…」
桃山「な!!」
津軽「歩くん、素直にありがとうって言えばいいのに」
東雲「……で、まだなんか用?」
桃山「い、いえ…失礼します」
(歩さんともっと喋りたかった…!)
(わかってる。片思いだってわかってるけど…)
はぁぁと小さくため息をこぼすと、津軽さんに頭をポンポンとされた。
桃山「……はい、津軽さんのチョコ、の袋です」
津軽「ありがと。ウサ、俺のために選んでくれたの?」
桃山「え?ああ、はい。津軽さんは普通のチョコだと喜ばないかなって思って、ハラペーニョサイダー味のチョコを探したんですよ」
津軽「………」
桃山「まぁ、津軽さんほどチョコもらってたら、もう知ってる味かもしれないですけど」
津軽「……ウサ、行きたいとこある?」
桃山「えっ」
津軽「俺とデート、するよね?」
桃山「いやいや、捜査ですよね。はい、いけます。津軽さん、14日なのに予定ないんですね」
津軽「俺だって好きな子といたいからね」
(どこまでが本気で嘘か、わからない…)
チラッと津軽さんの顔を見るも、いつもの笑顔を浮かべている。
桃山「そんなこと言われたら、本気にする子もいますよ」
津軽「ウサは、本気にしないわけ?」
桃山「しないですね」
(何度この笑顔に騙されたか…!)
津軽「ふーん…」
帰り支度を済ませると、津軽さんが腕を組んでこちらを見ていた。
桃山「どういう…」
東雲「桃山さん、美味しかったよ」
桃山「えっ、もう食べたんですか」
津軽「歩くん、意外と食いしん坊だね」
東雲「ナマモノだったからね。……で、キミ、今日このあと予定空いてるよね?」
桃山「!?な、なんでですか」
東雲「別に。お礼でもしようと思って」
津軽「ホワイトデーはまだ先だけど?」
東雲「ホワイトデーに返そうがいま返そうが、返すことには変わりないですよね」
津軽「…残念だけど、ウサは俺とデート」
東雲「そうなの?」
桃山「えーっと……」
(究極の選択すぎる…!!!)
(い、いやいや津軽さんのは捜査だから、デートじゃないのか。自分を見失うとこだった)
桃山「捜査、じゃないですか?」
津軽「うん?」
桃山「……じゃ、じゃあ3人でご飯行きましょう!」
東雲「………」
津軽「えー…」
桃山「津軽さん、心の声が漏れてます。……ダメですか?」
東雲「…いいんじゃない?津軽さんの奢りってことで」
津軽「可愛いウサのお願いなら仕方ないね。歩くん、覚悟して」
東雲「怖…」
津軽「ん?なんか言った?」
東雲「いいえ。津軽さんにご飯連れてってもらえるなんて、楽しみだなー。ね、桃山さん」
桃山「は、はい…」
津軽さんと歩さんと、3人デートした。
ハッピーバレンタイン!
(デート模様は書かないんかいっていう)
(歩さんに片思い)
公安課に所属して、2年目のバレンタイン。
(訓練生時代から、いろんなバレンタイを過ごしたな…)
訓練生時代は、たぶん、人生ではじめて山盛りのチョコを見た。教官たち宛に積まれたチョコは、アイドルの差し入れかと思うほど。
(びっくりしてたら加賀さんに無理やりチョコを食べさせられて…大変だったな)
(あんなにチョコあったのに…なんだかんだ、教官たち、チョコ受け取ってくれたんだっけ)
公安課に配属して、1年目。
今度は、元教官たちに向けたチョコと、津軽さん宛のチョコにまみれ、チョコ仕分け担当として任務を果たした。
(津軽さん、人づかいが荒かったな…)
(………いまもか)
そして、2年目。今年は、後輩と共に、チョコを仕分け担当として任務にあたっている。
数日前から届いていたチョコは、平日の今日も増え続けている。
(全然、公安の仕事じゃないけど)
(っていうか、思い返しても甘い記憶がないんですけど!)
心のメモリーにツッコミしながらも、手は止めず、宛先を確認しながら、ダンボールにチョコを仕分けていく。
いまのところ、津軽班、加賀班、石神班と、負けず劣らずの量が振り分けられている。
瀬戸内「加賀さん宛のチョコに、後藤さん宛のチョコに…ああ、俺もチョコになりたい…」
瀬戸内くんが、はぁぁあとチョコに向かってため息をつく。
大石「………」
隣の大石くんは、黙々とチョコを分けている。
桃山「今年も凄い量……」
それもこれも、彼らが独身だからなのか。
更には顔面偏差値も高いからなのか。
(後藤さんは、無自覚に、老若男女モテるし)
(石神さんは、アンドロイドと言われてるけど、ここぞという時に、素直な言葉を投げかけてくれるし)
(颯馬さんは、見た目も言動も紳士だし)
(加賀さんは、すぐ舌打ちするしキレるけど、情に熱いし面倒見いいし)
(歩さんは、塩対応ばっかでも、たまにくる糖度の高い対応が神過ぎるし)
(津軽さんは、…………)
(…………黙ってたらイケメンだもんな…)
大石「……桃山先輩、眉間の皺が」
瀬戸内「うわっ、万年チョコもらえない男みたいな顔してますよ」
教官たちのこと考えたら、眉間に皺が寄っていた。
眉間の皺を手で伸ばしながら、一息つく。
桃山「…瀬戸内くん、私はあげる側だからね?」
瀬戸内「たしかに、桃山先輩とはカップルになってた時期もありますけど、本気にされたら困るっていうか…。俺、義理なら受け取れます!」
桃山「いや、そんな気遣いいらんし!義理は後で渡すけどさぁ!」
わちゃわちゃ言い合いながら、作業すること数時間。やっと終わりが見えてきた。
(これなら定時にあがれそう…!)
(まだ教官たちにチョコ渡せてないから、帰る前に渡したいな…)
津軽「ウサ、どんな感じ?やっぱり今年も津軽さん宛のチョコが一番多い?」
桃山「津軽さん、お疲れさまです。残念ながら、後藤さんが一番かと…」
津軽「えっ、誠二くん?」
桃山「後藤さんだけ、男性の同僚やおばあちゃんおじいちゃんからも届いてまして…」
津軽「…誠二くんって、聖人君主?」
津軽さんは小さく呟き、どこかへ行ってしまった。
入れ替わりで、黒澤さんと後藤さんが向かってくる。
黒澤「後藤さんがモテモテなのは、当然でしょう。後藤さん、俺のチョコも受け取ってください!」
後藤「………桃山、毎年すまないな」
黒澤「ああっ俺の!チョコは!」
桃山「いえ、みなさんのお力になれるなら全然です。あっ後藤さん、私も後でチョコお渡ししてもいいですか?」
後藤「!…もちろんだ」
黒澤「後藤さん、俺のチョコも受け取ってください★」
後藤「………」
後藤さんは無言で通り過ぎていき、後ろから黒澤さんが追いかけていく。
その合間に、瀬戸内くんと大石くんの仕分けも終わり、残すところあとわずか。
桃山「あとは私がやっておくから、2人は先にあがっていいよ。あっあとこれ…」
2人に市販の義理チョコを手渡す。
瀬戸内「義理ですよね…?」
桃山「安心して。義理チョコだから」
瀬戸内くんは良かった〜と顔を綻ばせている。
大石「ありがとうございます」
大石くんは、…ちょっと嬉しそうな気がする。表情は読みづらいが、口角が若干上がっている。
2人を見送り、最後のダンボールに手をかけた。
数十分後ーーー
桃山「終わったー!」
津軽さんに終わったことを報告して、チョコを手に取り、教官たちの座席に向かう。
(あれ、加賀さんと颯馬さんは、もう帰っちゃったのかな)
加賀さんと颯馬さん以外は、席にいるようだ。
後藤さんから順番に渡そうと準備する。
もちろん、義理じゃない。
(教官たちの好みを詰め込んだ、思いやりチョコ…)
己のネーミングセンスにはスルーして、後藤さんのチョコを手に取り、声をかける。
桃山「後藤さん、いつもありがとうございます。こちらよければ、受け取ってください…!」
後藤「ああ。もちろん受け取る。ありがとう」
桃山「いえ!」
黒澤「ちょもちゃん、俺もきました!」
桃山「……あっはい、どうぞ」
黒澤「なんか、後藤さんの時と違って気持ちがこもってなくないですか!?」
桃山「なくなくないです」
黒澤「なくなくないからあるある……??」
黒澤さんは、喋り過ぎると色々誘導尋問されるので、さっと渡して通り過ぎる。
加賀さんと颯馬さんの席にもチョコとメッセージカードを置いて、石神さんの席にも向かう。
桃山「石神さん、お疲れさまです。いつもご指導ご鞭撻をありがとうございます。今年もよければ、こちら食べていただけたらと思います…!」
石神「桃山、いつもすまないな」
限定プリンの入った袋を渡す。
メガネの奥で、フッと石神さんの目が笑う。
桃山「そんな、石神さんに喜んでいただけたら嬉しいです。少しでも息抜きになればと‥思います」
石神「息抜き…か」
桃山「……?」
石神「……桃山、この後は…」
桃山「あとは、歩さんと津軽さんにチョコをお渡ししてきます」
津軽「俺のチョコはとっておきだもんね」
津軽さんの声が後ろからして振り返ると、ひょいっと手元の袋からチョコの箱を抜かれてしまった。
桃山「津軽さん!もう…」
津軽「ウサのこと、待ちきれなくてきちゃった。それで、秀樹くんは、うちのウサになんか用だった?」
石神「………いや、なんでもない」
桃山「それじゃあ石神さん、お疲れさまでした」
石神「ああ」
石神さんの席を離れて、歩さんの席に向かう。
(ドキドキ…って)
桃山「……津軽さん?」
津軽「ん?」
桃山「なんでついてくるんですか」
津軽「えっ、もうチョコ渡し終わるんだよね?」
桃山「え、ええ。東雲きょ…東雲さんに渡したら終わります」
津軽「だよねー。じゃあ俺とデートできるね」
桃山「え?」
(いまデートって言った?)
桃山「そんな約束した覚えは…」
津軽「え?俺とデートだよ?」
驚いたように津軽さんが目を見開く。
(その自信はどこから…)
(でも津軽さんが本気で誘うわけないから、捜査の一環なのかな…)
仕方ないので津軽さんも連れたまま、
歩さんのデスクに向かう。
桃山「東雲さん、お疲れ様です」
東雲「桃山さん、お疲れさま」
ニコッとサービススマイルで返事した後、後ろの津軽さんにギョッとする表情がみえる。
東雲「へぇ…。上司付きなんだ。今年は」
桃山「いえ、これは津軽さんが勝手に…」
津軽「歩くんは、もうチョコいらないんじゃないの?」
東雲「そうですね」
桃山「だ、大丈夫です!そう思って東雲さんには、ピーチネクターの限定スイーツにしましたから!チョコじゃないです!」
でんっと袋から箱を取り出して、歩さんに手渡しする。
東雲「…ふーん。キミにしては、悪くないね」
桃山「えへへっ…」
歩さんに褒められて、頬が緩む。
東雲「ひどい顔…」
桃山「な!!」
津軽「歩くん、素直にありがとうって言えばいいのに」
東雲「……で、まだなんか用?」
桃山「い、いえ…失礼します」
(歩さんともっと喋りたかった…!)
(わかってる。片思いだってわかってるけど…)
はぁぁと小さくため息をこぼすと、津軽さんに頭をポンポンとされた。
桃山「……はい、津軽さんのチョコ、の袋です」
津軽「ありがと。ウサ、俺のために選んでくれたの?」
桃山「え?ああ、はい。津軽さんは普通のチョコだと喜ばないかなって思って、ハラペーニョサイダー味のチョコを探したんですよ」
津軽「………」
桃山「まぁ、津軽さんほどチョコもらってたら、もう知ってる味かもしれないですけど」
津軽「……ウサ、行きたいとこある?」
桃山「えっ」
津軽「俺とデート、するよね?」
桃山「いやいや、捜査ですよね。はい、いけます。津軽さん、14日なのに予定ないんですね」
津軽「俺だって好きな子といたいからね」
(どこまでが本気で嘘か、わからない…)
チラッと津軽さんの顔を見るも、いつもの笑顔を浮かべている。
桃山「そんなこと言われたら、本気にする子もいますよ」
津軽「ウサは、本気にしないわけ?」
桃山「しないですね」
(何度この笑顔に騙されたか…!)
津軽「ふーん…」
帰り支度を済ませると、津軽さんが腕を組んでこちらを見ていた。
桃山「どういう…」
東雲「桃山さん、美味しかったよ」
桃山「えっ、もう食べたんですか」
津軽「歩くん、意外と食いしん坊だね」
東雲「ナマモノだったからね。……で、キミ、今日このあと予定空いてるよね?」
桃山「!?な、なんでですか」
東雲「別に。お礼でもしようと思って」
津軽「ホワイトデーはまだ先だけど?」
東雲「ホワイトデーに返そうがいま返そうが、返すことには変わりないですよね」
津軽「…残念だけど、ウサは俺とデート」
東雲「そうなの?」
桃山「えーっと……」
(究極の選択すぎる…!!!)
(い、いやいや津軽さんのは捜査だから、デートじゃないのか。自分を見失うとこだった)
桃山「捜査、じゃないですか?」
津軽「うん?」
桃山「……じゃ、じゃあ3人でご飯行きましょう!」
東雲「………」
津軽「えー…」
桃山「津軽さん、心の声が漏れてます。……ダメですか?」
東雲「…いいんじゃない?津軽さんの奢りってことで」
津軽「可愛いウサのお願いなら仕方ないね。歩くん、覚悟して」
東雲「怖…」
津軽「ん?なんか言った?」
東雲「いいえ。津軽さんにご飯連れてってもらえるなんて、楽しみだなー。ね、桃山さん」
桃山「は、はい…」
津軽さんと歩さんと、3人デートした。
ハッピーバレンタイン!
(デート模様は書かないんかいっていう)