血液恋愛


今日は書類も事件もないので、刀の手入れでもするかと思っていたら。
突然やってきた銀時が俺の部屋で、隣で寝そべっている。
なんでだ。

******


「土方くんの血液型はー、どうせAだろ。ハイハイ」

「なんだその言い種。文句あんのか?つか、なんでここに居んだ」

「A型はーっと・・・・・・」

「オイ、その大福ウチのだろ。茶だって玉露のいいやつじゃねぇか。どっから見つけてきた?不法侵入と荒らしで逮捕すんぞ」

「んー」

「・・・・・・おまえ今日も仕事ねぇのか?」


耳を掻く銀時から返事はなく。
とんと無視かよ。
話しに来たんじゃねーなら、なんなんだ。
いつも噛みついてくるクセに・・・、調子が狂う。


「チッ、本読むなら他所でも読めるだろが。・・・・・・そも、テメーがジャンプ以外の読み物するとは驚いたぜ、なに読んでんだ?」


片手に大福、片手で本をペラペラ捲って、器用な奴。
こいつの手、実は俺の手よりデカいんだよな・・・。
とり粉にまみれた指は深爪していて痛そうだ。
大福みてーなほっぺたしやがって、共食いかよ。
つか・・・答えろやァア!!
わざわざ俺の部屋に来て、隣で寝そべって、会話のキャッチボールを見事見送って、なにコレ、漫喫代わり?
そんなん俺のとこじゃなくてもいーだろが!
・・・・・・なんだか、期待して損をした。


「・・・"女性への警戒心は強くない"?いや、むしろ強過ぎるよなおまえ。過去になんかあった?」

「は?」


口を開いたと思えば、突然変なことを云う。
何の話だ??


「後は・・・、"シビアに観察"って、怖ッ!キモーい」

「はあっ!?」

「"誠実で無難な女性を求める"ぅ?・・・ははっ」

「ちょ、おま、何読んでやがる!」

「あう゛っ・・・・・・」


背中を向けて寝転がっていた銀時にのしかかる。
本を覗き込むと大きな字で"A型の男性"。


「・・・"血液型でわかる恋愛傾向"?」

「うん、ね、重い」

「なんで、こんなもん読んでんだ」

「それは~、付き合い始めたし、もっとひじかたクンの事が知りてーなぁ~って、ね?」


言うついでに頬にキスをされた。
・・・悪い気はしねえ。


「あっは、顔赤くなってるぜ」

「はっ?ばっか、ちげ・・・。これは、あれ、蕁麻疹」

「なにそれ、銀さんからチュウされて蕁麻疹でんの?ならオメーが腰振って顔真っ赤になるのも、蕁麻疹って訳か?」


俺の下で銀時が睨みをきかせる。
その顔を見つめると、悪戯っぽく笑いかけてきたが、歯にはあんこの皮がついている。
間抜け面だが、それでも情事の時の銀時が思い出される。
自分を棚に上げてなに云ってやがる。
なら、おまえも蕁麻疹だってのか?


「あ、今なんかエロいこと」

「うるせぇな・・・」


うるさい口を唇で塞ぐ。
ペラペラよく喋る舌はあんこの味がする。
マヨネーズ味にしてくれ。


「ン・・・モグモグすんなよ・・・、なに、ひじだらくん・・・・・・」

「フッ・・・、口周りに大福の粉ついてんぞ。しかも歯にあんこの皮ついてた」


舌先を出して、さっきのあんこの皮を見せてやる。


「取ってやったんだから礼でもいえ」

「げ・・・助平な奴!」


口元をこすって赤くなる顔に気分がいい。
このヤローとじゃれつかれ、互いの耳を噛んだり頬をつねったりとしばらく戯れた後。
まだ本を読むらしい銀時。
そんなもん当てになんねーと思いながら、俺も本を覗き込む。


「"愛情表現が苦手"っ、確かに確かに!」


ヒーヒー笑いながら銀時が畳を叩く。


「なんでだよ、さっきあんなに表現しただろーが!」

「ばっか、愛情表現て、好きだの愛してるだの囁くもんよ?」

「は?んな恥ずかしいこと云えるか!」

「だぁから、この本に苦手って書いてあんだろ!」


・・・・・・そうなのか?
そんなんばっかが、愛情表現とは思わねぇけど、そうして欲しいのか?おまえ。


「"自分にとって扱いやすい女性を好む"?何、俺って、誠実で扱いやすい訳?」

「んな訳ねーだろ。お前が扱いやすいなら、怒り狂ったサイと添い寝できるわ。つかお前、誠実でもねーし」

「ムカつくわー。ならサイと添い寝しやがれ。・・・・・・"慎重に恋を進めていく"?・・・そーでもねーな」

「そーだろ」

「どーかな。俺と付き合ってる時点でもう危ない橋っつーの?最早溺れてんじゃん」


・・・・・・確かに。
昼間から仕事もせず、やって来ては人をからかう、ちゃらんぽらんなこの男を好きなことが自分でも不思議だ。
しかも付き合ってる本人が、笑ってちゃしょうがない。 


「つか、俺ばっかじゃなくてお前はどうなんだよ」

「はあ~おいおい、銀さんは銀さんよ?こんな本で何がわかるってんだよ、チミは俺だけ見てればいーんだよ」

「O型は100ページだな」

「おーい、今の聞いてた?」

「O型の男性、"優しくて男性を立てる女性を好む"・・・・・・」

「そ。だから俺のこと立てて?」

「無理だな」

「無理じゃないでしょ、ほら」


俺を勃てて?と銀時は自分の股間を指差す。
・・・セクハラもいいとこだ。


「ソッチじゃねーだろっ」


俺は中指を立ててやった。
後で、ガンガン突いて勃たせてやる。


「はぁ、"外見を重視"」

「その点は土方くん、花丸合格だぜ」


銀時が指で丸を作ってみせる。
んなこと云っても喜ばねーぞ、俺は!
・・・いや、やっぱ嬉しい。


「"好きな女性にはのめり込む"?そうかよ」


笑いながら云ってやったら、鼻ほじってやがる。


「そんな柔じゃねーから。寧ろ俺はのめり込ませちまう側だし」


照れてんだろう、素っ気ない態度で鼻くそを服に付けられた。


「チッ・・・、"ロマンチックな恋愛を求める"だあ?」

「そうそう、だからよろしく~」

「なにが」

「なんで今の流れでわかんねーの?うすらとんかちマヨ野郎。黙って俺に、美味い飯屋とサプライズプレゼントを用意してくれる?」

「突然の罵倒ォ!?テメーが云うロマンチック、都合良すぎンだろ」

「はぁ・・・お前にロマン求めても無駄な。これいーじゃねーか。"女性を守り抜く正義感あり"」

「主人公っぽいな。何処ぞの流浪の剣士か?」

「こちとら銀魂の主人公ですけどォ?ちぇっ、おまえは守ってやらねーからな、このヤロー」

「いらねー世話だ。"甘える一面あり"・・・確かにな」

「は?どの辺ですか?銀さんがいつ、ヒジカタくんに甘えたよ」

「・・・・・・教えねぇ」

「なんだよ、いつどこだよ?云ってみやがれってんだ」


飽きたらしい銀銀は本を閉じると、欠伸をして俺に抱きつく。


「・・・銀時」


万事屋、銀髪、おまえにテメー。
まだ呼び慣れねぇ名に、ホワホワ綿毛みてーな頭を撫でると、胸に顔を擦り付けてくる。


「・・・・・・んー?煙草くっせーなあ。・・・・・・と、十四郞。銀時大好き♡って言ってみてよ?」


だからそーゆーところだ。

******


「ひじだらくん、見てみろよ」

「ひじだらって誰だ、ちゃんと呼べや」

「O×Aの相性95%だってよ」

「へぇ、悪くねぇんだな・・・ってコレ、俺が女側?役的に言えば女はおまえだろが。ちゃんと見ろ」

「あ゛ーもう、Aが男だと相性が90%になっちまうの!5%も減るんだよ?それでもいいってのか?俺は悲しいね!これを認めねーってんなら、いっそ俺は布団でお前に女役やらせっからな」

「わかったから、俺が悪かった。頼むからとんでもねー事云うな」

「ちなみにセックスの相性はどっちの方でも"多少のズレも絆でカバーできる"ってよ・・・ふーん」

「な・・・なんだよ、ズレがあんのか?俺達・・・・・・」




※キャラの血液型/血液型による性格診断は本作中のみのものとなります。
参考:正統派/血液型/占い/石/井/琉/香
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