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私はこたつに潜ったの。
探してもらおうと思って。
軽い悪戯。
引き戸の音がして。
布団の隙間、買い物から帰って来た二人の姿が見える。


「神楽ちゃーん・・・あれ、居ないや」


ほら、新八が不思議そうにしてる。
神楽ちゃんが居ないって。
その後ろで銀ちゃんも首をひねってる。


「どっか遊びに行ってんじゃねーの」


なんて云いながら買い物を床に下ろしてる。
違うヨ、私はここにいるアル!そう叫んで飛び出したい。
でも我慢するの。
もうちょっと二人の様子を見たいから。

私の潜む部屋を、新八が襖から顔を覗かせて見回してる。
全然気づかないみたい。
銀ちゃんも天パ頭を掻きながら部屋を覗いてる。
二人して家中、私を捜すといいアル!
私はドッキリが成功したときのことを想像して顔がにやにやするの。


「どこに行っちゃったんだろう・・・」


心配そうな顔の新八は予想通り。
天パは?
早く驚かせたくてウズウズするけど、一番心配させたい天パの反応をまだ見てない。


「だぁから遊び行ってんだって」


何でもなさそうに同じ台詞を云う銀ちゃん。
鼻をほじってる。
それだけかヨ!心配しろヨ薄情者・・・。
私は頬を膨らませる。
でもいいの。
ビックリさせた後でたくさん文句を云ってやるから。


「夕飯時にいないなんてあります?あの神楽ちゃんが?」


新八が銀ちゃんを見上げてる。
そうそう、そうやって天パーの不安を煽るヨロシ。
ギシッと床が鳴った。


「アイツなら大丈夫だって・・・」

「ちょ・・・」


あ、死角で二人が見えなくなった。

・・・・・・・・・・・・?

突然静かになってしまった。
おかしい、二人ともそこに居る筈なのに。
・・・なに?
ちゅ、ちゅくっと聞き慣れない音がしてきた。


「はぁ・・・止め、ン、あ」


???

新八の声。
だけど何か変。
聞いたことのない新八の声。


「や・・・止め、て・・・はぁっ」

「新八・・・」


囁くような銀ちゃんの声。
新八は何か止めようとしてるみたい。
シュル、と布ずれの音が聞こえてきた。


「うあ・・・っ、ぎ、んさんっ、ダ・・・メっ」


新八が辛そうな声で銀ちゃんを呼んでる。
すごく気になるんだけど、なんとなく出ちゃいけない気がして動けない。


「うっ、あ・・・あっあぁっ、や・・・は、はぁ、ん・・・・・・」


呼吸の荒い新八の声は完全におかしくて私は鳥肌がたつ。
ねちゃねちゃぐちゅぐちゅ、気持ち悪い音がしてる。


「新八・・・ほら・・・見てみ?」


銀ちゃんの声もいつもより低くて掠れてる。
私が居ないとき、銀ちゃんはこんな声で新八を呼ぶの?
何してるの?
知らない二人が怖くて強く唇を噛んだ。


「やだ・・・」

「やだじゃないだろ・・・こんなに垂れてんじゃん」

「・・・あ、やんっあ!」


高く跳ねる声と低く笑う声が重なって耳に入ってきて吐きそう。
口に手を当てたら、じっとり汗をかいていた。


「か、神楽ちゃんが・・・もう・・・」

「あとちょっと・・・挿れねーから・・・」

「あ、いやっ・・・!そ、こやだぁ・・・」


ぬちっ、ぐちっ、と違う音が聞こえはじめて。
新八の半泣きの声が聞こえる。
銀ちゃんに何かされてる。
助けた方がいいのかな。
でも新八の言葉が頭の中で響いてる。
今ここで私が出て行ったら。
万事屋がバラバラになる気がする。


「あっ、あっ、あっ、はあ、銀さあんっ」


新八の声が高く大きくなっていく。
銀ちゃんの名前を繰り返してる。
なのに銀ちゃんの息は荒くて獣みたいで怖い。
ぬちゃくちゃ食べてるみたいな音がしてる。

向こうに居るのが誰なのかわからなくなってきたの。
これ以上ここに居たくない。
出て行って、止めたい。
でも行きたくない。
新八じゃない、銀ちゃんじゃない。
何か違うモノが居る。
どうしよう。
怖い。
心臓が痛い。
耳を塞いでも聞こえる。

助けて、銀ちゃん、新八。
いつもの二人の顔が浮かんでくる。
さっきまで居たのに。
早く私を見つけてヨ。
怖いのが居てこたつから出られないの。


怖いヨ・・・・・・




私ハドウスレバイイノ・・・・・・?



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