さらば愛しき殺人鬼
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人は不死身ではない。いつかは誰だって死ぬ。
そんな事は知っている。
しかし、あなたはそれを覆す存在だった。
「明智さん。起きて下さいよ。風邪ひきますよ」
目の前には全身を赤く染めて横たわるあなた。
寝てると思った。でも何となくわかっていたのかもしれない。
やっぱり人殺しの鬼はただの人間だった。
信じたくなかった。
鬼が人だったなんて。
信じたくなかった。
目の前の情景を。
信じたくなかった。
あなたの死を。
あなたみたいな人は色んな人から恨まれていただろう。
だから殺されたって仕方なかったかもしれない。
だけど私はあなたを手に掛けた人が憎い。憎くて仕方ない。殺せるなら殺してやりたい。
でも
どうする事も出来ない。私は無力だ。何も出来ない。あなたの為に何も出来ない。最悪だ。
「…帰りましょうよ」
あなたより前に立つ私。
いつもはあなたが私より先に歩いてた。
「待って下さいよ!明智さん!」
そう言うとあなたは待ってくれた。
「大丈夫ですよ」
「私はここで名前を待っています」
「どこにも行きません」
……ああ……あの時を思い出して
今頃、私は涙を流す。
「…っ明智さ…ん…」
あなたは今、どこに居るんですか?
私より先を歩いているんですか?
そこで私を待っているんですか?
無力な私はただ
貴方の為に泣く事しか出来なかった。
「………これから…………どうしよう…」
明智さんの屍をこのままにしておきたくなかった。
でも、どうすれば良いのだろう。
あまりにも無能で無力な自分に嫌気がさした。
「……………今日は……先に帰りますね……明智さん……」
帰って火葬出来る道具を探そう。
一先ず私は明智さんの屍を枯れ葉で隠した。
「…………待ってて下さいね。直ぐ……………戻ります…」
明智さんを火葬した後、私はどうしようか。
もう良いや。
行く末はみんな同じだ。考えるのは止そう。
私は明智さんに背を向けて覚束ない足取りで歩き出した。
「名前」
「……明智さん…?」
振り返って見えるのは、さっきと同じ景色。
あなたは枯れ葉に包まれ安らかに眠っている。
「………
さよなら 明智さん」
いつか私もそこに逝きます。
私が逝くまで、待ってて下さい。
それまでは…―
さらば愛しき殺人鬼
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**0919/MANA3
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